第六話[勝った]
今は学校の始業式が終わり、浩と一緒に自宅に帰っているところ。正直、始業式はきつかった。校長先生がつまらない話を永遠にだらだらと話すものだから、足は痛くて、腰も痛いし。なにより、席に座っている先生の一部は眠っている人もいたしね。
「あー、キツかった。校長って話長いよねー」
僕は、口を大きく開け、あくびをした。
「おい、口を開けすぎ、みっともないぞ」
「くしゃみの時、口をおさえない方がみっともないと思うけど…」
「……」
「そうでしょ」
「そのとおりです。人の事言えませんでした」
浩が頭をさげながら言った。
こういった浩の反応はいつ見ても面白い。一軒家が立ち並ぶ道を歩きながら僕は思う。こんなどうでもいい会話をするだけだけれども、なぜか、それが嬉しくてたまらない。
僕って変なのかな?
「ねぇ、浩」
「何?」
「今日、僕が浩の家に泊まりにいくからね」
そう僕が言った瞬間、浩が僕の目を《ギロッ!!》と見つめた。
「何?その眼。何か不満でも……家が隣どおしなんだから別にいいじゃん。中学二年くらいまではいつも泊まりにいってたんだから」
「いや、そういう意味じゃなくてさー。なぜ、いきなりそうなるのかなー、と思って」
浩は何か困った顔をしている。何がそんなにいやなのだろう。
「僕が泊まるのが嫌なわけ」
「違う違う。えーと、泊まってどうするのかなー、と思って」
歩道の信号が赤になり僕と浩は立ち止まる。
「一緒にお風呂に入るって約束したでしょ」
「……」
浩はその言葉を聞いて黙りこんだ。
「約束破るつもり。男と思ってくれるなら僕の裸を見ても別にどってことないでしょ」
その言葉を聞いて浩の口が開いた。
「でも、明日学校だし…」
「制服とか一緒に持っていくから学校に行く時間に支障はないよ」
信号の色が青に変わった。
「意志はかたいのね」
浩は頭を抱えまま歩道を歩きだした。
「勝った!」
僕はガッツポーズを作り、再び浩の後を追った。 |