第四十三話[いざ!東京へ《後編》
《次は神戸。神戸です》
アナウンスが流れる。
「まだまだかかりそうだね中原君」
後ろを振り向き原田さんは浩に言う。
「そうだな」
「ねぇ、浩はどこにいきたいの?」
「あのな原田。前々から言おうと思ったけど《中原君》とか《浩》とか別々に名前を呼ぶな。どっちかに統一しろ」
「別にいいじゃん。気分で名前の呼び方は変えたいの」
変な考え方である。
「あーそれより暇だよ。何か暇つぶしの道具とかないの」
原田が足をバタバタさせていると田辺がそれを注意する。
「うるさいですよ。携帯でもいじってたらいいじゃないですか」
「その手があった」
「ばか!由美がいる前で携帯は禁句だぞ」
浩が原田の耳元で囁く。
「あ!」
「ごめん」
「どうせ僕だけ携帯を持ってませんよ」
「何、上野さん携帯持ってないの?今どきださくない?道理で携帯をいじくる光景を見ないわけだ」
聖子はそう言うとポケットから携帯を取り出しわざと画面を開いたり閉じたりした。
「別によくね?俺も携帯は持ってるけどよ、バイトを最近し始めてやっと買ったばっかりだしよ。だいたい由美ちゃんにイチャモンつけすぎだよお前」
「あんただって浩さんにイチャモンばっかつけてるじゃない」
「は!キレていいかなおれ」
「どうぞお好きなように」
お互い睨み合う二人。
「喧嘩するほど仲が良い♪」
原田さんは龍平と聖子に聞こえるように今の言葉を口ずさんだ。
「な!原田テメー、これが仲が良い風に見えるのか」
「マジありえない。こうもうるさいなんて。やっぱり浩さんの隣が良かったわ」
お互いご機嫌ななめ状態がマックスである。
「あ!そうそう由美」
「何?原田さん」
「あんたバイトっていつから始めるの?」
「ん〜、春休みが終わってぼちぼち探してみるよ。携帯も買いたいし」
「早くしないとなくなっちゃうよ」
「うん」
その会話を隣から何気に聞いていた浩が会話にはいってくる。
「別にそんなに焦らなくてもいいと思うけどな。全員が全員携帯電話を持ってるわけでもないし。ゆっくりと探せば・・・なぁ由美」
「・・・そだね」
「はぁ、それにしても」
原田はため息を一回つき言葉を続ける。
「お腹すいた」
「まぁ確かに腹はへったな」
龍平はお腹をおさえる。
「僕は全然大丈夫」
「あんたはさっき大福を十個ほど食べてたでしょ」
「高木さんだってコンビニで買ったシュークリームをたくさん食べてたじゃん」
「シュークリームは別よ。あれは・・・え〜と・・・とにかくシュークリームは関係ないわよ」
「ほらよ」
いきなり龍平が聖子にコンビニで買ったおにぎりを四つ渡した。
「な!どういう風の吹き回し」
「お前らがごちゃごちゃうるさいからだよ。原田と分けて食えや」
「・・・ありがとう」
「つーか早く東京に着けこの野郎」
「もう少しだから頑張ろ龍平君」
由美が席の隙間から龍平に言う。
「別にイライラなんか・・・全然・・・してないぜ」
「良かった♪」
「何でれでれしてんだか」
聖子がおにぎりを食べながら言う。口にシーチキンのマヨネーズを付けたまま。 |