第四十二話[いざ!東京へ]
「なんで俺が高木と隣なんだよ」
「それはこっちのセリフだよ。なんで私がこんな不良少年と横にならないといけないのよ。浩さんがよかったわ」
新幹線の席がたまたま隣どおしになってしまったのを不服に思っている二人。
前の席には由美と浩が座り、その前の席には原田と田辺が座っている。
「ねぇ、浩。東京に着いたらどこにまわろうか」
「ん〜、そうだな。そういえばまだ考えてないな」
浩はカバンから何かの雑誌を取り出す。東京の案内ガイドだ。
「これもいいし、これも・・・お!ここも行きたいな」
「え!どこどこ」
由美と浩は自然にお互いくっつきながらいろいろ意見を交換していた。
その光景を後ろの座席の隙間から見ていた聖子をとても不機嫌な顔をしている。
「くー、私の前でイタャイチャしやがって」
「別にイチャイチャはしてないと思うが」
龍平は窓の風景を眺めながら言った。空は快晴で田んぼにはってある水が反射してとても綺麗に空が写しだされている。
「ふーんだ」
聖子は横を向き親指を噛み締める。
「田辺お腹すいたー」
「コンビニで買ったサンドイッチがありますけど」
「却下」
「え!何でですか?」
「おにぎりが食べたい気分なの」
「じゃあツナおにぎり食べますか」
「昆布がいい」
「・・・わがまま娘」
「何か言った」
「いや別に」
田辺はコンビニ袋から昆布おにぎりを一つ取り出し原田さんに手渡した。
「もぐもぐ・・・ん〜、やっぱりおにぎりはセブン〇レブンに限るねー」
「これロー〇ンのおにぎり何ですけど」
「・・・別にロー〇ンもセブン〇イレブンも変わらないわよ」
《無茶苦茶だこの人》・・・田辺は頭の中で呟いた。
・・・《二時間後》
「ムニャ・・・あー、だめだよ浩。そこは台風の目だよ・・・危ないってちょっ!・・・・・・だめ突っ込んだら!・・・あーだめだって.・・・・・・ムニャZZzz....」
「なんつー夢を見てるんだ。しかも俺が出てきてるし」
由美は今爆睡中である。ヨダレを垂らしながら本当に深い眠りにはいっていた。
「仕方ないな」
浩はポケットからハンカチを取り出し由美のヨダレを拭き取る。
その光景を聖子は後ろから見ていた。
「あの野郎ー、浩さんのハンカチで口元を拭いて貰って・・・くーやーしーい」
「黙れM女」
横から龍平の罵声が飛ぶ。
「何ですって」
「あん?喧嘩売ってんのか。早くさっき買った駅弁でも食って寝ろ。マジ気がちるんだよ」
「ふん!あんな自分の事を《僕》とか呼んでいる女のどこがいいのよ。私と初めて会った時は《私》とか言ってたくせに。だんだんボロがでてきたんじゃない」
「バカかお前は。その言葉使いがまた男の本能を駆り立てるんだよ」
「キモいんだけど」
「お前もな」
「ZZzz....」
同じく田辺も爆睡中である。
横で原田さんが田辺の顔をぼんやりと見ていた。
「こうして見ると田辺も結構可愛いもんだな」
「ZZzz....」
「・・・どれどれ」
田辺のほっぺを指でつまんで引っ張ってみせる。
「おー、やわらかい」
《びよーん》
《へにょーん》
ほっぺを触りまくる原田さん。
「伸びる伸びる♪・・・・・・ん?」
《ムギュッ》
田辺の手が原田さんの胸をわしづかみにした。
「ZZzz....・・・肉まん・・・」
「な!」
田辺はいやらしい手つきで原田さんの胸を揉みだす。
「キャーーーーー!!このウンコ野郎」
女の子が絶対に口にしてはいけないであろう単語を言い放ちながら田辺のほっぺをビンタする。
その大きな声で周りの人や由美が目を覚ました。
「あ!すみません。何でもないです。ホホホ・・・」
席を立ち原田さんはそう言って顔を真っ赤にしていた。そして再び座ると田辺の方を振り向いた。
本人の田辺は何があったか分からない状況で放心状態でいた。
「・・・痛い」
ほっぺを抑え涙目の田辺。
「ご、ごめんね。そんなに強く叩くつもりじゃ。でも私の胸を揉んだ罰だから少しはそっちも責任があるんだからね」
その言葉を聞き田辺の顔は驚いた様子だ。
「え、マジで?」
「マジよ。それも嫌らしい手つきで」
「・・・どっちの手?」
「・・・」
「左だけどそれがどうしたの?」
「・・・洗わないどこ」
「この変態があぁぁぁぁぁ」
原田さんが恥ずかしがる姿がここにあった。とてもレアである。 |