第三話[ショック]
《ピ〜ンポ〜ン♪》
(………)
《ピ〜ンポ〜ン♪》
(………)
「すみません!浩ですけど」
(………)
「家にいないのかな?」
(ガチャ)
「ごめ〜ん浩君。朝ご飯の支度をしていたから全然気が付かなかったわ」
「あ、別にいいですよ。それより由美はいますか?」
「由美……ね。今、自分の部屋にいるけど…」
珍しいな。あのいつも活発な由美が…
「何かあったんですか?」
長くこの母親に会っているせいかいつもの元気がないのが分かる。
「おととい、由美にきつい事を言っちゃったの?」
「きつい事?」
「本人が一番気にしてる事をつい…」
由美の母親の言葉を聞いて瞬時にだいたいの事は悟った。多分、体の事や性格の事だろう。
「由美に会っていいですか?今日、バスケをみんなでする事になったので由美も一緒に誘おうと思っていたんですよ」
「そうなの……どうぞあがって」
上野家にお邪魔をし、由美の部屋がある二階にあがる。
(コンコン)
「おーい由美。浩だ。ドアを開けてくれ」
ドアには鍵がしまっていた。いつも俺が来る時は鍵なんかしめないのに…
「おい由美!!バスケに行くぞ。部屋にずっといたら頭がおかしく…」
俺が声をかけてる途中、由美がドアの中から声をあげた。
「今日はいいよ。浩一人で行って」
「おいバカ。由美が行くから面白いんだろうが」
俺はそう言い、ドアをもう一度叩いた。
「お母さん…そこに…いる?…」
由美が元気ない声で話かける。
「いないよ。今は下で朝飯を作ってる」
(ガチャ)
親がそこにいないと分かって由美はドアを開けてくれた。
「中に入るぞ」
「うん」
部屋の中に入ってみると、カーテンは閉め切っており、ゴミ箱には濡れたチィッシュペーパがたくさん入っていた。相当涙を流したんだなこいつ。自分の事を《男だー》とか言いながら、やっぱり本当の心は女の子なんだな。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
「よし、外に出ようぜ。そして行こうよバスケ」
俺は元気がない由美を見て外に出したほうがいいとその時思った。
「ほら、今日は晴れだから外で遊ぶのは絶好の日だからさ。学校の冬休みも今日で終わりじゃん」
「………」
全くおとといサッカーした元気はどこにいったんだよ
「胸」
「は!胸?」
由美がやっと話かけてきた。ここまでくるのに二十分はかかったけど。
「なんで僕に胸があるんだよ」
由美は泣きそうな顔をしていた。
「……女の子だからだよ」
俺は冷静に答えた。
「前にも言ったけど胸だけじゃないし、声も、顔も、足も、手も、耳も、ほかぜ〜んぶ女の子だよ」
その答えに由美は
「中学の時から自分の体を見て自覚はしていたんだ。小学校までは男の友達がたくさんいて、いっぱい遊んでいっぱい笑った。中学になると、周りの男子が僕の事を避けるようになってきたんだ。《一緒に遊ぼ》って言ったら、《お前女じゃんか。いやだよ女と一緒に遊ぶなんて》て言われたよ」
その話を俺は黙って聞いている。
「そう言われてからみんな僕を女扱いし始めたんだ。特に胸の事は一番僕に対して嫌いな言葉だったんだよ。それを昨日、親に言われた事がショックで…」
そう由美は言い話さなくなった。
「……」
「……」
「だから!?…」
「え?」
俺はその場の空気を消そうと言葉を発した。
「親が娘の事を心配するのは当たり前だろ。そんな事をグズグズと引きずって、情けないよ」
「だって…」
「男なら……もっとシャキとしろよ。男ならな。そうだろ由・美・君…」
俺のその言葉を聞き、由美の口元が少し笑った。
「よし由美、行くかバスケ」
「……うん」
よし。いつもの上野由美だ。
「あ、そうそう由美」
「何?」
「母さん心配してたぞ」
「うん。僕がいじけちゃったからね。今日ちゃんとあやまっとく」
やべ、由美にこんな事言ったから女扱い出来なくなっちゃうな。気をつけないと…
「ハァー」
「ため息しないよ浩。幸せが逃げちゃうよ」
立ち直るの早!! |