第三十四話[仲直り]
浩は気絶している龍平の頭を指でつんつんと動かす。
「やっべ、やりすぎたかな」
浩の背負い投げ?は見事に龍平の頭から地面にクリンヒットしてしまった。まぁ、下がコンクリートではなく芝生で良かったよ。
「に、兄ちゃんーーーー!!」
その場の出来事で放心状態だった武弘はやっと正常な意識に戻り泡を吹いている兄貴の場まで駆けつける。
「兄ちゃん、兄ちゃん」
「ぅ〜・・・」
弟の武弘のかけ声に龍平は目を半開きにさせ意識を取り戻した。
「大丈夫、龍平君」
由美が近くまで行き龍平の体を起こした。さきほど自分にされた事を微塵にも感じさせていない。
「いたた・・・」
腰をさすりながら龍平は起きあがる。
「この糞野郎!!」
意識が正常に戻り戦闘モードに切り替わろうとする。
浩と龍平の睨み合いがバチバチと響き合う。
「死ねコラーーーー」
「上等だかかってこい」
二人がまさに衝突する瞬間!
「ちょっと待ったーーーー!!」
由美が二人の間にわって入る。
「!」
「!」
二人の拳が由美の顔すれすれでストップした。
「おい由美!危うく顔面をグーで殴るところだったぞ」
「浩は黙ってて」
「・・・はい・・・」
由美はそう言い龍平の方へ振り向いた。
「僕達の目的は僕の弟の大介をいじめていたこの武弘君に注意をしようと思って来ただけなんだよ。なのになんでこうなっちゃったんだよ。それに喧嘩は駄目!何も解決しないよ」
「・・・」
黙りこむ浩。
そして龍平が一言。
「うぜーよ」
この言葉に由美も一言。
「うざくないよ」
「いやうざいね。男の喧嘩に女は口を出すな」
「いやうざくないね」
「うざいって言ってるだろうが」
「いやうざくないね」
「うざいんだよ」
「うざくないよ」
「・・・」
「・・・」
「ひかねーな」
「ひかないよ」
「・・・」
「・・・」
「家に戻れ武弘」
「え?兄ちゃん」
「戻れって言ってんだ」
「わ、分かったよ」
武弘が時々後ろを振り向きながら大介を睨む。
「いいか。今日はこの女に免じて引いてやるがまたここに来て見ろ。殺すぞ!」
「それはこっちのセリフだ」
またお互い睨みはじめた。
「はいはい終了ーーーー!!僕達はもう来ないから。そのかわりに武弘君にはちゃんと注意をしてね。大介から奪った金はもういいからさ」
「金を奪った?」
「うん、そうだけど・・・知らなかったの?」
由美達はこの兄がその事を知っているとばかり思っていてた。そして僕は龍平君にこうなった事情を丁寧に説明してあげた。
「ガキのただの喧嘩だと思ってたわ。それがまさか恐喝でそいつから金をふんだくるなんて」
あれ?さっきと様子が違うような?
「あのバカ!男同士の殴り合いならいざ知らず金銭的トラブルだったとわな」
いや殴り合いもどうかと・・・
「すまん!!一応謝っとく。俺は人の物を盗る奴とぶりっこ女は大嫌いなんだ」
「俺は好きだぜぶりっこ女」
浩の目が変わってる。違う意味で恐いよ。
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
「ごめん・・・な・・・さい」
それから龍平が武弘を呼び出し頭にゲンコツを一発入れた。
「おら!もっと心をこめて謝れ」
「もういいよ」
大介が武弘の側まで行き手を前に出す。
「仲直りの握手」
「・・・」
「あ・く・し・ゅ」
《ギュッ》
二人の手が合わさってこの一件は事を得た。
「俺も悪かったよ。髪なんか引っ張ったりして」
「大丈夫大丈夫!全然気にしてないよ。それに龍平君は弟思いのお兄ちゃんということが分かったから安心したよ」
「そうか・・・」
「うん♪」
「あ!あと一つ言いたい事があるんだけど」
「何?」
「お前さっきの度胸といい、言葉の使い方といい・・・ なんつーか・・・男みたいな奴だな。そういうの俺タイプなんだぜ。活発少女みたいな」
「え?」
「ちょっとたんま!!」
その会話を妨げたのが浩であった。
「残念だがこいつはお前には興味はない。と言うか論外だ。さ、学校に行くぞ由美。今頃、先生は怒りに満ちてるはずだからな」
そう浩は言って大介と由美を引っ張って去っていく。
「ちょっ!浩、痛い」
「うるさい早く行くぞ」
「浩兄ちゃんヤキモチ妬いてるんでしょ」
大介の言葉に浩の顔は真っ赤になった。
「違うわい。早く中学校に行け大介」
「はーい」
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