第三十三話[万死に値する」
《バタン!!》
家のドアが勢いよく開く。
「ん〜、どうした武弘[たけひろ]」
この子供の名前は武弘と言うらしい。
「このブスと変な男が俺をいじめるんだよ」
「だーれーがブスだってーーーー!!」
ブチ切れ状態の僕を浩が必死に両手でおさえる。大介はその場でおろおろしていて何をしていいか分からない様子。
「へぇー、俺の弟をいじめるとはお前らいい度胸・・・ん?」
そいつは僕の方に近づきまるで品定めをするかのように見つめる。
「おいお前!由美に近づくな!殺すぞコラ」
浩の声はそいつにはきこえてはいなかった。
「か、可愛い」
「は?」
何をいきなり言ってんだ。
「この松本龍平[まつもとりゅうへい]の目に狂いはない」
あ!バカだこいつ。なんか分からんがバカだと僕は心で思った。
「兄ちゃん・・・何を言って・・・早くとっちめてよ」
「武弘は黙ってろ」
「ひ!ごめんなさい」
展開がおかしくなってきてるよ。
「黙るのはお前だぜ龍平ちゃん」
僕の前に立ち浩が龍平に目で睨みつけ威嚇をする。浩にこんな表情が作れるなんて・・・恐いよ浩・・・
「なんだお前・・・誰に向かって口を聞いてるんだ」
龍平も負けずと睨み返す。
「誰ってお前に決まってるだろ。バカだろお前バカだろ」
そう言ってる浩も言葉が幼稚じゃん。
「あん?あれがお前の彼女だろーが俺はいただくぜ」
なんの話をしてるんだよ。話題が180度違うんだけど。
「彼女じゃねーよ。彼女を超えるほどにもう大人の関係なんだ・・・ゲフ!!」
「気持ち悪い事言うな」
浩の顔に僕の拳がめりこむ。うん、これは絶対痛いね。
「ゲホォ!・・・っと言うのは冗談とし・・・え?あ、あれ、天から神様が」
「ちょっ!浩大丈夫!!ごめんやりすぎたよ」
龍平と武弘を完全に無視・・・と言うか完全に忘れている由美と浩。龍平の頭には血管が浮かんでおりブチ切れモードになりつつあった。
龍平は由美の髪の毛を掴み自分の顔に強引に近づけた。
「いくら可愛いかろうがシカトはないだろこのアマ!!やっぱ駄目だ!!こいつはクズに等しいようだ。こういう糞は俺にはあわん」
龍平はそう言い由美に向かって言い放った。その迫力により大介はガタガタと足を震わせ、武弘はニコリと笑みを浮かべた。
「そーのー手を」
後ろから龍平の髪の毛をグッと掴む怒りのオーラ全開の男がいた。
「どけろコラーーーー!!」
龍平の茶色く染めているロングヘアーをまるで芋掘りでもしているかのように思い切り引っ張る。痛さのせいで由美を掴んでいる手は離れる。
「浩」
さすがの由美もあの龍平の迫力に圧されたのか目は涙目になっており足がガクガクと震えている。
「由美の髪の毛を引っ張る行為は万死に値する」
浩はそう言いながら龍平の髪の毛を持ちながらなんと!!
「どりゃゃゃゃゃ浩流背負い投げだ死ねゴラーーーー!!」
「おい?ちょっと・・・」
《ドゴ!!》
「ぎいゃぁぁぁぁぁ」
龍平は家の玄関の目の前でガックリと倒れそのまま動かなくなった。
「ふ、正義の裁きだ」 |