第二十三話[浩の彼女の…]
「どうしたの?いきなりこんなところに呼び出して」
浩に呼ばれて近所のファミリーレストランについた僕は浩がいる席についてウェイターにシーフードサラダと烏龍茶を頼む。
「あのさ由美」
「ん?」
なんか浩の顔が真剣な表情だ。何か深い悩みでもあるのかな。
「俺はどうすればいいんだ」
いきなり頭を抱えながら浩は僕に言う。
「いや、何が?ちゃんと説明してよ」
そんなに重大な事を抱え込んでいるのか!
「いや、実は昨日、高木聖子って言う女が俺の家に来てよ」
高木聖子って・・・えーと・・・確か・・・
あ!バレンタインの日に浩に本命チョコをあげた人か。
「それでどうしたの?」
浩は大きなため息をつきながら答える。
「《なんで連絡をしてくれなかったんですか!ずっと待ってたんですよ。・・・グスン!本当に・・待ってたのに・・・グスン!・・・》…といきなり会った直後に泣いてきて、泣くのが止まったと思ったら《好きです。付き合って下さい!》…とかいきなり言ってきてもう本当に困ってるんだよ」
浩はその事を必死に手でジェスチャーをしながら僕に伝える。
ちょうどその時、ウェイターが注文した物を運んで来てくれた。
「失礼します。烏龍茶とシーフドサラダです。ほかにご注文はないですか?」
「あ!大丈夫です」
僕は軽くウェイターに頭を下げ、再び浩に目線を戻す。
「…で、僕にどうしろと?」
箸を使いサラダの中に入っている海老やイカを摘みながら浩を見る。
「単刀直入に言うぞ」
その言葉と同時に僕は烏龍茶を口に流しこむ。
「俺の彼女になってくれ!!」
《ブフォ!》
何をいきなり言いだすんだ!危なかった!思わず烏龍茶が水しぶきをあげながら僕の口から吹き出すところだったよ。
「頼む!明日の夜にまた来るらしいんだよ。俺は付き合う事はちゃんと断ったんだけどなかなか諦めてくれなくて。明日、あいつを諦めさせる為に・・・お願いだ由美。彼女のフリをしてくれ」
両手をあわせながら必死に僕に言い寄る。
「浩の気持ちは分かったけどさー。普通女の子から付き合ってくれ!とか言われたら男子達は嬉しいもんじゃないの?」
僕のその問いに
「俺は嫌だ!」
即答に答える浩。
「確かに高木さんは可愛くて、性格も良さそうだけど・・・なんて言うか・・・なんか俺には合っていないような」
両手を交互に組み自分一人だけで勝手に頷いている。
「ま、それは良いとして・・・お願いだ由美。本当に頼む」
再び腕組みの体勢から両手をあわせる体勢に素早く変え必死に浩は僕にお願いする。
ここまで浩にお願いされたら・・・
「分かったよ。彼女のフリだからね」
「有り難う由美。助かるよ」
結局引き受けてしまった。
男として生きている僕が浩の彼女かー。
いや、別にフリだからいいんだけどさー。
なんかねー。
・・・・・・
・・・・・・
以外に僕の方が期待してるのかなー
・・・・・・
・・・・・・
・・・て、何変な事を考えてるんだよ僕は。
・・・全く・・・
しかし考えてみると、なんで浩は彼女役を僕なんかに頼んだんだろう?原田さんとかもっとほかの人に頼めば良かったのに。
僕はそんな事を考えながらホッとしている浩を見つめる。
「ん?どうした由美。やっぱり嫌だったか!」
「いや、別に・・・」
浩の彼女かー。
再び僕は浩の顔をチラリと見つめる。 |