第一話[女扱い]
「今日はもう遅いから次の日曜にまた、サッカーしない?」
一人の男子がそう言い、今日のサッカーは終わった。この調子でいつも週に一回男子と混ざって遊んでいる。
「由美帰るぞ」
「ちょっ…待って」
僕に声をかけてきたのは中原浩という男。家が隣という事と高校が同じということがあって、幼なじみという感じだ。
「まじ悔しいー。また由美のチームに負けちまったよ」
「浩のチームが弱すぎるんだよ」
「ちげーよ。由美の運動神経が良すぎなんだよ。ほとんど由美がゴール入れたじゃんか」
浩はまだ僕にスポーツで一回も勝った事がない。水泳でも、陸上でも、テニスでも、もちろんサッカーも…
別に運動神経が悪いのではないがそれ以上に僕が強いのだろう。
自分で言って恥ずかしいが…
「由美さー」
「何?」
「髪をもう少し伸ばしたほうがいいんじゃない?その長さだと男みたいだよ。そんなに可愛いんだからさ」
「僕は男だからいいの」
僕は顔を《プー》と膨らませ言った。
「またそれだ。いい加減自覚しろよ。お前は女だ。」
いつもこんなふうに浩に言われる。僕を男と思ってくれない。スポーツは浩より出来るし、喧嘩だってそこら辺の男には負けない自信もある。身長だって170センチちかくあるのに… 身長は関係ないけど
とにかく浩が自分を女扱いするのが僕はいやだ。
「なんでみんな僕を女扱いするんだよ」
その問いに浩は…
「だって由美って普通に笑ったら可愛いじゃん。」
「……」
僕はその言葉を聞き、浩から目をそらした。
「あ、照れてやんのー。そういう反応が女なんだよ由美は…」
「ばか…」
僕はそう呟いて再び浩から目をそらす。
(ビューーー)
「わっ!」
「ひっ!」
冷たい風が突然僕たちに吹いてきた。
「さみーな。そういえばもう一月だもんな。寒いはずだよ」
浩は体を《ブルッ》と震えさせ言った。
サッカーで汗をかいたので余計に寒く感じたのだろう。
二人で自宅に向かって歩いていてあと少しという時に、フッと空を見上げた。
雲一つない空と、冬の気温と空気のせいか星がキラキラと輝いていた。
「ねぇ浩」
「……ハ」
「ちょっと聞いてる」
「ハックショーーン!」
「わ!ちょっと、ちゃんと口を押さえてよ。」
「ごめんごめん……で何?」
僕はその答えを無視し、自宅の門の前に立った。そして浩に手を振った。
「あ、由美」
「何よ」
「これで100回目くらい言ったと思うけどさー。口癖直せよ。自分の事を《僕》じゃなくて《私》に変えたほうがいいぞ」
そう言っていつも言う言葉を残して浩は自宅に入っていった。
「もうバカなんだから…」 |