第十二話[商店街でお買い物《後編》]
どうしてこうなってしまったのだろう?
今僕が着ている服装は、可愛い熊の絵がついているシャツを着て、その上にはピンク色の、僕にしては大きすぎてダボダボしたパーカを羽織っている。
そして下は今まで僕がはいた事がないようなグレー色のミニスカートをはいている。
「お!いい感じ」
女の店員は僕を見るなりいきなり《あら?可愛い人!》と言ってきて《なんか格好が男の子っぽいわね》とか言いだしたと思ったら、ほぼ無理矢理に僕の今着ている服を脱がして更衣室に連れていき……
…そして今に至る…
「え〜と帽子は…これなんかどう?」
店員はそう言い、ブルーのニット帽を差し出した。またもや可愛い熊の絵がついているし…
「いや、あの…この格好はちょっと」
「あら?可愛いのに。どう?安くするわよ」
「いや、本当にこの格好はちょっと…」
「こんなに素敵なのに…じゃあ、これ全部で三千円!普通の半値以下よ。可愛いからオマケしちゃう」
どうしても僕に買わせたいのかなこの人。
三千円という値段はかなり安いと思うがこの服装はさすがにキツい。というより恥ずかしい。
僕が必死に断る中、片手に新しいスポーツシューズが入っているビニール袋を持った浩が僕を呼びに来た。
そして浩は僕を見るなり黙りこんで、一歩後ろにさがった。
「……」
目を見開いたまま僕を見つめる。
「…それ…買うの?」
浩は僕に指をさし言った。
「いや、これはちが…」
「可愛いじゃん!」
ん?反応が少し違うな。浩の事だから《似合わねー、》とか《ダサいなー》とか言ってくるだろうと思っていたけど。
まぁ、そう言ってくれたのは嬉しいけどやっぱり…
「すみませんやっぱり…」
そう言う僕の言葉を遮り、女の店員が浩に向かっていき、
「そうですよねー。やっぱり可愛いでしょ!あなたは彼氏ですよね。是非、この服とスカートを…安いですよ。全部で三千円です」
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五分後… 商店街の帰り…
僕の反対を全ておしきり結局、この服を買わされてしまった。前着てた服は、浩が持っていたリュックに入れてもらい、グレー色のミニスカに熊の絵がついたピンクのパーカを着用している。
なぜ、嫌いな服を着て商店街を歩いているのかと言うと、浩が《一回でいいからその格好で外を歩いたら…塩大福五つ買ってやるから》と言われたから…
食べ物の誘惑には勝てませんでした。
「どう?そういった服装?」
僕はこの服装の恥ずかしさを塩大福を食べながらまぎらわす。
「ミニスカートって動きずらいし、なによりちょっと恥ずかしいんだけど」
下半身をモジモジさせる僕。
「そうか?そういう由美もいいと思うけどな」
《ドキ!!》
「ま!またー。嘘つくのうまいね浩はー」
なんでこんな言葉にわざわざ変な気分になるんだよ僕は。
なんか体が熱いよーな。
黙りこんだ僕を見て浩が一言。
「何、黙ってんだよ。嘘に決まってるだろ」
その言葉になぜか知らないが…
「あーそーですね」
不機嫌になってしまった僕。
心のどこかで何か浩に言われてほしいとでも思っていたのだろうか…
僕は浩に向かってお馴染みの顔つきで頬を《プー》と膨らませた。
「……」
それを見て浩は…
「何?やっぱり《素敵だよ》とか《綺麗だね》とか言われるのを希望してんのか!」
からかった浩の言葉に僕は最後の塩大福を食べながら言う。
「ホウ!ヒラハイ《もう!知らない》」
大福を一気に口に頬張って言った僕の言葉に浩は《なんて?》と言う顔をする。
まぁ、この服は僕の部屋の押し入れにでも隠しておこう。
弟にでも見つかったら多分、からかってくるだろうから。
しかし、この服装…
今思えば、まんざらでもないかも…
多分だけどね。
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