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時限理論の法則 作者:星村直樹
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戦艦ギャラクシー

 その大戦艦からファイターが一機、舞い降りて、中から、怖そうな人が出てきた。背が高くて、ビシッとした感じなのに、パイロットジャケットをいい加減に着ている。

「お前、アカデミーに入ることにしたのか」

「いえ、冒険者学校です」

「ちっ、つまらん奴だな。艦長がお呼びだ、ついてこい」

「おれの相棒が、いなくなったんです。助けてください」

「その話をするためだ。相棒か、そいつを助けるのはお前だ」

 実際は、何言っているのかわからないのに、相手の言っていることが、頭では、わかっているし、ライトボードで、応答している。

「相棒の奪還ねえ。いずれにしても喧嘩するんだろ。面白いじゃねえか。いいから乗れ」

 この人、とても悪そうに笑っている。でも、この時は、藁にでもすがりたい気分だった。なぜなら、この人は、春菜を奪還すると言ったからだ。

「お、お願いします」
 この人、人だよな
 ライトボードが翻訳機代わりなのだろうと思って、出しっぱなしにしてファイターに乗ろうとした。

「馬鹿野郎、そんな物騒なもん仕舞え」

「すいません」
 ライトボードを仕舞っても、翻訳の状態は変わらなかった。 

 このパイロットは、ファイターに乗ると、途端に機嫌がよくなった。

「おれは、ファングだ。よろしくな」

「蒼介です」

「蒼介。今、ギャラクシーにゃあ戦艦魔導士がいないんだ。なんも分からんだろうが、何とかしろ」

「何とかしろって・・」

「ストロング艦長が、伊織を呼んだ。ぼけた女だが、ライトボードの仕様を知ってる。安心しろ、ぼけたこと言いやがったらおれが突っ込んでやる。とにかく艦長に、ギャラクシー乗艦の許可を貰え。話は、それからだ。行くぞ」

 ファイターは、ズガンと発進した。上空に浮かんでいる戦艦は、大きいと思っていたが、近づくたびに、認識を書き換えられる。あれは、大きいなんてものじゃない。町が一つ、空中に浮かんでいるようなものだった。


「ファングさん、あれ、戦艦なんですか」

「長期の宇宙探査にゃあ、家族が一緒の方がいいだろ。コロニーも兼ねてる。ウルフ族のおれにゃあ、関係ないけどな」

「ウルフ族って?」

「おれは、冒険惑星の元住民だ。冒険者を追い出すのに手を貸してな。女神の祝福を失ったのさ。後で、ヘルプを読め。それより、一度、ギャラクシーの上空に出るぞ。これは、艦長の機体なんだ。艦橋のすぐ下に着艦するぞ」

 戦艦ギャラクシーの威容は、広大なものだった。幅広の三角の機影に、丸いドーム。ドームの中には、町がすっぽり入っている。その周りを囲むようにある巨大な水晶群。後方に戦艦の施設らしい影塔が見える。そのてっぺん付近にファイターが着艦した。おれは、ファング大尉に連れられ、艦橋を突っ切って艦長のオフィスに到着した。ファングは、ここに入る前に、しっかり身なりを整えて軍人らしくビシッと敬礼した。

「ストロング艦長。相場蒼介を連れてきました」
 そう言って、ファングは退席した。

「蒼介君、座り給え。伊織が来るまで待っていなさい」
 ストロング艦長は、髭を生やしていて眼光が鋭いのだが、童顔に見える。たぶんそれを隠すために髭を生やしているのだろう。

「ファングさんから、乗艦の許可を貰えと言われました」

「許可する。なぜ、こんなことになったか聞きなさい。君は、モーラの鱗粉を持っていただろ。それが、海賊に狙われた理由だ」

「モーラの鱗粉?」

「このぐらいの丸い水晶に入った、キラキラする鱗粉だ」

「さっき、春菜にあげた。あのビー玉か」

「モーラの鱗粉には銀河の知識が詰まっている。あんなもの、持ち主でも、その知識の一部しか理解できないものだし、盗んでも、そのうち持ち主に戻るものだ。それでも、ほしがるコレクターがいたということだろう。君の相棒は、それに巻き込まれた。春菜君には気の毒なことになったな」

「おれの性で・・」

「冒険者は、銀河同盟の法律に守られている。春菜君は冒険者だ。モーラの鱗粉と共に奪還するぞ」

「はい」

 艦長の話し方は、きっぱりしていた。それに力を貰った。
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