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やりすぎな彼女と乙女みたいな俺 作者:ジュゲ
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第五話 付き合うってなに?

 嵐のようなセブンでーず。
 マウンテンが帰っていった。
 思い出しただけでも鳥肌が。
 生還した喜びに一人浸りつつ自分で挽いた豆でコーヒーを飲む。
 ふと思った。

 皆どうやって付き合い始めるんだ?

(俺は中学生か!)
 心の声が聞こえる。
 でもしょうがない。
 思うんだから。
 これが厨二病をこじらせた末路か。

「皆どうやって付き合いはじめるんだろうな」
 思ったことがすぐ口をつく。
「そりゃ~好きって気持からじゃないの?」
 彼女は返事が早い。
 メソは相変わらず我が家のようにくつろいでいる。
 暇なんだろうか。
 いや、俺もだけど。
 口元が濡れてイヤらしい。
 彼女は目をキラキラさせて答えた。
 本当に魅力的な瞳。
 大きいけど圧がなく、優しく包み込まれるような。
「好きって気持と付き合うってのは結構距離あるだろ」
「ないよ」
 なんだこの可愛い生き物は。
「ないか~」
「うん」
 俺にはあるんだ。
 そもそも付き合うかどうか相手もあることだから、”好き”だけじゃ始まらない。
「じゃさ、好きってどこから来るんだ」
「ここから」
 胸の辺りに手をおく。
「オッパイ?」
「む・ね」
「そうとも言う」
 デカイ。しかも綺麗。無敵。
 なんでオッパイを見てしまうんだ。
 大きいから見るなと言う方が酷だ。
 サチコだったか、あいつは女だけど見るって言ってたな。
 ブッチャケ俺は女の方がオッパイを気にしていると思う。
 男の気がかりとは次元が違う。
 結局は惚れた女が大きかろうが小さかろうが気にしない。
「胸・・・、胸?」
「そう」
 胸に手をあててみる。
「ん~」
「違う」
「え?」
「そうじゃなくて」
 彼女は目を閉じると俯き、両手を胸にあてた。
「こう」
 なんとも絵になる。
 おれがパブロ・ピカソだったら「そのまま!」と叫んだに違いない。
 そして絵を描いただろう。残念ながら画力はない。
 俺の口が何かを求めヒクヒクと動いた。
 真似てみる。

「わからん」

「形の問題じゃないから」
「そうか・・・・、余計にわからん」
「感じるもの」
 エロい・・・。
 なんてエロいんだ。
 思い出した。
 高校の時、メソのエロ発言集を作って同級生に売ったことがある。
 ”好き”とか”もっと”とか言ってもらい録音、俺なりに編集したものだ。
 ランクをつけ最上級のSランクデータは日常会話からピックアップ。
 メソ厨を極めると、それが一番いいという結論に至った。
 今でも思い出したように聞く。
 また録らせてもらおうかな。
 当然ながら本人の許可はいるが。
 メソは山の天気のように変わる。
「そうじゃないよ」
「何が?」
「今、Hなこと考えたでしょ」
「お前はエスパーか!なんでわかった!・・・って、声に出てるぞ俺」
「わかるよ」

 俺はメソを好きなんだと思う。

 でも言葉にならない。
(なぜだ?好きってなんだ?)
 彼女がやりまくっているからイヤなのだろうか。
 でも俺は処女厨ではないと思う。
 ヤリまくりのアベ曰く「初めてのは相手は色々と面倒くさいぞ」だそうだ。
 ヤツの言うことはなるほどと思う。
 どこまで前歴があるなら許せるんだろう。
(ん~・・・)
 小さい男なんだろう。
(小さいには小さいが)
 それもあるか。
 メソに嫌われたくない。
 他にもあるな。

 俺にはメソがわからないんだ。

 なんで俺なのか。
 こんな俺の何がいいのか。
 俺ならイヤだ。
 何にも無い。

 メソ以外にも好きになったヤツはいるにはいる。
 いい感じにもなった。
 デートも行った。
 でも・・・。

「彼女のこと考えていたでしょ」

 何度か言われたことがある。
 メソのこと。
 自分で何を考えていたかわからないが多分違うと思う。
 逆に「周囲からはそう思われるんだ」とだけはわかった。
 普段から自分がいかにメソの話題をしていたか。
 意識してなかった。
「彼女はヤリマンだよ」
 そう言った子もいた。
 黙っていたのにその子は俺の顔を見ると泣きながら帰った。
 自覚はないけど腹が立ったんだろう。

(童貞をこじらせている)

 自分で思う。
 でも・・でもだよ。
「何考えてるの?」
 メソ・・・。
 綺麗な目をしている。
 その目は演技なのか?
 真っ直ぐ子供のように見る。
 お前が天使過ぎるから俺は悩むんだ。
「お前のこと」
「目の前にいるのに?」
「昔の、お前のこと」
「若かったとか?」
「今も若いだろ」
「でも昔の方が若かったじゃない」
「そりゃまあ・・・お前は昔の方が良かったと思う?」
「思わない」
 彼女は言葉を躊躇わない。
「お前って本当にいいな・・・」
「なになになにどうしたの急にムード作っちゃって」
「作ってないって」
「やりたくなった?」
「俺はいつだってやりたいよ」
 じっと見てる。
 身体が熱くなる。
「ヤメヤメ」
「なによ~、今日は黙ってたでしょ」
「黙ってたけど、目で訴えてただろ!」
「細かいなぁ・・・わかった?超能力者みたいね」
「やっぱり」
 なんでこんなに嬉しいんだろう。
 じゃれつく腕は柔らかく女を感じさせる。
(鎮まれマイサン!)
*
「嘘だろお前!まだやってないのかよ、ふざけんなよ!」
 久しぶりにユウジに会った。
「ふざけちゃいねーよ」
「お前の彼女だからっていうから誰も手を出さないように我慢したんだぞ。さんざ世話になったからって」
「え・・・?マジで」
 全く知らなかった。
「ホンキ、本気!モンキーだよ!」
(ホンキな)
 だからなのか。
 彼女は明らかに俺を特別扱いにした。
 さすがの俺もそれはわかる。
「まぁ・・・彼女みたいなもんか」
「お前にその気ないなら譲ってくんないかな」
「ダメだよ」
「なんでだよ」
「だってマダなんだから」
「だからさ~・・・」
「なんだよ」
「はよーせーや!」
「んなのは俺の勝手だ」
「童貞こじらせやがって」
「やっぱりそう思うか?」
「思うわ!でもさ、まさかここまでとは驚いたぞ。信じられない。お前裏では仏って呼ばれていたんだぞ」
「ホトケってお前ら・・・。自分でもわからんのだ」
「彼女の側にあんだけいてヤラないなんて、腹へってクタクタの犬を前に腐るまで待たせているようなもんだぞ」
「メソが?」
「そうだよ」
「酷いこと言うね」
「酷いことさせるね!の、間違いじゃないのか」
「そんな状態?」
「あたぼーよ」
 変わらないなユウジ。
「取り敢えずさ、付き合うとか付き合わないとかおいといて、ヤレよ」
「いや・・・それは」
「なら付き合えよ」
「付き合っているようなもんだろ」
「あ~もう面倒くさいな~」
「うるせー」

 その後、どうやったら恋人として付き合ったことになるのかを聞いてみるも、ピンとことなかった。ヤツの言うことが本当なら俺は完全に付き合っていることになる。言葉で確認し合ってないだけ。ある意味では付き合っているとも言えるが。付き合うってどういうことだ。

 家に帰るとメソは俺より先に部屋にいた。
「おかえり~」
「ただいま」
 俺はいつメソに合鍵を渡したんだっけ。
 ああそうだ。
 コイツが入り浸るようになってから外で待っていたことが何回かあったんだ。
 そこからだな。メソなら誰よりも信用が出来る。

 俺の夕飯を美味しそうに食べる。
(お前ならもっとウマイもん食べられるだろうに。どうして)
「あのさ」
「なに?」
「俺らって・・・恋人同士なのかな?」
 ユウジに言われたことが引っかかっていた。
 メソは何かを考えるように上をみた。

「違うんじゃない」

 俺は凍りついた。
 反応出来ない。

「片思いかな」

「え?どういうこと」
「だってチーちゃん、私のこと恋人と思ってないでしょ」
「思って・・・」
 どうしてか止まった。
「ほら」
「いや、好きなんだぞ。好きなんだけど、凄い好きなんだけど、恋人って言われるとなんか・・・こう違和感がある・・・」
「うれしっ」
「なんで」
 あーなんでこうも哀しいんだ。
 わからない。
 苦しい。
 頭の中がワヤクチャする。
 こういう時のメソはサッパリしていた。
 何事もなかったようにパスタを食べている。
 髪を結いあげた彼女の肩からウナジのラインが実にソソル。
 お前ななんでこうも美しいんだ。
 どうして何も言わない。
「どうして酷いこと言うの!」って俺を責めない。
 いや、わかっている。
 お前は俺を気遣って何事もないような顔をしているんだろうよ。
 それが感じられるだけに余計に胸が締め付けられる。
 それともお前の作戦なのか?
(それはない)
 卑しい男だ俺は。
 恋人って定義はなんだろうな。
 ネットで調べてみよう。
 今は生きた芸術を鑑賞させてもらおう。
 いつまでも続いて欲しい。
(ヤバ。それフラグだ。なしなしなしフラグキャンセル)
「可愛い」
 俺の質問に応えずメソは笑顔で言った。
「お前の方が可愛いけどな」
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