僕とお義母さんは人を殺しました
僕、山田 薫のお義母さんは高校生で僕と同じクラスだ。
一週間前、僕と交際していた彼女は、どういう運命なのか僕の実父と再婚した。
「何で結婚したんだよ!?」
僕の家の家族会議で父がいきなりそれを公表した。
正直、びっくりした。僕と彼女、深山 美咲は互いに愛し合っていたのに、突然父と結婚。驚くなという方が無理だ。
「お前にも母親が必要だと思ってな」
「だからって、何でミサちゃんなのさ!?」
「それは、美咲くんがお前の母親になりたいと言ったからだよ」
「それを理由に再婚したの!?」
「ダメだったか?」
「いや、何も言わない……」
ショックを受けた僕は自分の部屋に入った。そこでは、黒い長髪で端正な顔立ちの少女、美咲が荷物の整理をしていた。
「僕の部屋──っ!」
「あ、薫くん。今日からこの家に住む事になったから荷物の整理をしてるの」
「僕の部屋で!?」
「お義母さん、薫くんと同じ部屋がいいの」
「待ってよミサちゃん!」
「ドロップキーック!」
美咲が助走を付けてドロップキックを僕に放った。
「ぐはっ!」
僕は吹っ飛んでドアにぶつかった。
「お義母さんでしょ?」
「何で僕の母親になろうと思ったのさ?」
「え? それは……薫くんを毎日起こせるから。あと、貴方のお弁当作りね」
「結婚しなくても出来る事でしょ!?」
「いや、お父さんが許してくれなくて。だから、薫くんのお父さんと結婚したいって言ったの。そしたらすんなりオーケー」
「あの人、ミサちゃんのお父さんとは中がいいからなあ……」
「薫くん、ぶっ飛ばしていい?」
「何で!?」
「私は薫くんの継母なんだよ? お義母さんと呼ぶのがスジってものじゃなくて?」
「そうですね、お義母さん」
もうどうにでもなれ。
「薫くん、荷物の片付け手伝って」
「一人でやれよ」
「薫くんはお義母さんの命令が聞けない悪い子なんだ。じゃあお仕置きだね」
そう言って美咲が僕に襲いかかった。
僕は一瞬で傷だらけになった。
「薫くん、手伝って」
「……はい」
僕は美咲の荷物の整理を手伝った、と言うか、殆ど一人で片付けさせられた。
「有り難う、お陰で綺麗になったわ」
段ボールだらけだった部屋はすっかり綺麗になった。
「お義母さんは何もしてないよね」
「こういう事は息子がやるものだわ」
その時、僕の中で美咲に対する殺意が芽生えた。
「ミサちゃん、殺していい?」
「殺せるものなら殺してみな」
僕は美咲を押し倒してマウントで首を締め上げた。
何分経過しただろうか。気が付くと、美咲は動かなくなっていた。無論、呼吸もしていない。
「ミサちゃん?」
僕は美咲の胸に耳をあてがう。しかし、心音はしていなかった。
美咲が死んだ。この手で美咲を殺してしまった。
僕は部屋の窓を開けた。
死のう。
僕は、二階の部屋から飛び降り、人を殺した罪で地獄に堕ちた。
地獄には美咲も居た。
「どうしてミサちゃんがここに?」
「殺したから」
「誰を?」
「貴方のお母さんを通り魔の犯行に見立てて」




