邸_少女と竜と兄
「ただいま~、今帰ったよ~~」
その声とともに、この部屋に入ってきた人物がいた。
レクライ・マクウェント。愛称レク、私の双子の兄だった。
「あっ、おかえり~、レク、あのね・・・」
レクは、私達の方を見て唖然とした顔をした。そして私の方に歩いてきて、ぎゅっと私を抱きしめた。そして、顔を耳元に近ずけて、震えた声でささやいた。
「ミナ、ただいま・・・。で、あの人は誰・・・?」
レクの視線は、私の前に座っているアリィ(人化済)に向いていた。
レクは鋭く、アリィを見据え。アリィは微笑みながらも敵意を持った目でレクを見つめた。
「ん?え~とね・・・。私の、使い魔・・・なんだ・・・。」
二人の間に流れる不穏な気配を鈍いながらも感じ取った、私はつい、どもってしまった。
「使い魔?何で、ミナが使い魔を使役できるの?そもそも、人間でしょ、この人。騙されてるんじゃないの?」
レクの言葉は、疑問を挟んでいるが言葉の端はしに強い感情がある。
「え~とね、この子はちゃんと私の使い魔だよ?ちなみに、この子は人間じゃないよ」
レクはまだ、警戒を解かない。
そうだよね~、だってアリィの人化、完璧だもんね~、私も実際に変身してる時見たから信じられるけど・・・。ありえないよね~、だってこの白銀の髪に金の目だよ~、すごく美人さんなんだよ~、竜の時も綺麗だったけど、あの時は人外だったもんね~、どれほどの美しさかわかんなかったんだよ、実際
「じゃあ、何だって言うんだよ。目とか髪とか見たことない色だけど・・・」
「そろそろ、話してもよろしいでしょか、主」
アリィが控えめに聞いてきた。
私が返事をする前に、レクが口を開いた。
「あるじ・・・?ミナが主人なのか?」
アリィは一行に話そうとしない。ただひたすらに、私の方を見ていた。
「おいっ、聞いてるのか?」
「あっ、そうか、アリィ、話してもいいよ」
「はい、それでは失礼します。
レク様、初めてお目にかかります。ミナ様の使い魔、アリクト・ホルウェールでございます。以後よしなに・・・。」
「あ、・・・そうか。で、人間じゃないなら何の種族なんだ?獣人と違うみたいだし、妖精でもないようだけど・・・」
アリィが自己紹介すると、危険はないと判断したか警戒を解いた。
「う~ん、と怒られると思うから言いたくないんだけど・・・。」
「大丈夫だよ、怒らないから言ってごらん?」
「ほんとに怒らない?」
「怒らないよ・・・。僕が今まで嘘ついたことある?」
「昔、・・・結婚しようね?って」
「・・・それは、まだ結婚するって意味を、一生一緒にいる・・・て言う事だと思っていて・・・」
「主。話が逸れました。」
レクがなぜだか、涙目になってきたところで、アリィが助け舟を出した。
このあとで、二人が友情を結んだのは、また別の話・・・。
「そうだったね。え~と、それで・・・何だったっけ?・・・
ああ、思い出した。アリィと何処であったか?と何の種族なのか?だったよね?
ほら、レク、いつもの場所あるでしょ?」
「いつものって、あの洞窟?
・・・ミナ、もしかして一人で行ったの?
危ないから、一人で行ったらだめだって言っただろ・・・?」
「レク、怒らないって言ったよ・・・?」
「これは、怒ってるんじゃなくて注意だよ。
それで。そこがどうかしたの?」
「だから。誰もいなっかたから、奥まで入って・・・」
「我の居た世界とこちらの世界に繋がる扉を開いた・・・
そして、我と契約し、魔法使いになることにした。」
「・・・扉?そんなもの、あそこにはなかったはず・・・」
「扉というのは、力と資格を持った者が扉の絶対領域と言う範囲に入って初めて、その姿を現します。」
「・・・力と資格?それは何なんだ?」
「力とは絶対的な魔力。資格とはその者が持っている魔力属性=召喚。その中でも特に稀なランク、異界召喚。
つまり、主は魔法使いになるべくして生まれてきたような、そんな方なのです。
・・・それと。レク様、あなたも、竜玉をお持ちのようですね?あなたからも主ほどではないにしろ、一般の魔法使いの何倍もの魔力を感じます。属性は・・・とてもやさしく、暖かな・・・その様な魔力は確か・・・いやし・・・。だったように思います。
ご兄弟揃って素晴らしい物をお持ちのようだ・・・。」
そう言って、微笑んだ。それは、さっきの様な冷たいものではなく、あったかくて懐かしいような微笑だった。
「そうなのか?よく分からないけど・・・」
レクは胸に手を当て、首をひねった。
「私は解るようになったよ。契約した時に。すごく気分がいいの・・・」
そう、すごく気分がいい。体も軽くなったみたいだ。
洞窟からの帰り道、いつもだったら軽い疲労感があるんだけど、今日はなかった。
「契約を行ったことで、主自身が魔力を認識しました。そのおかげで体が魔力を使って、負担を軽くしているのでしょう。
普通の魔法使いですと、それを行うには、魔力すべてを常時体に廻さなくてはいけない量です。
なので普通の魔法使いでは、余程奇特な思考の持ち主しかなさないことです。」
「へ~、そうなんだ・・・」
「で?アリィさん?は、いったい何なんだ?」
「我は竜族。二つある頂点のひとつ、光を司る竜。人間的に言えば、竜神や竜王ですね」
「・・・竜って、ここ数百年、姿を現していない・・・。もう滅んだ、と言われている・・・?」
「その様に云われているらしいですね。しかし、竜は滅んではいません。竜はもともと、こちらの世界の生き物ではありません。
何かの弾みによって、この世界に飛ばされた者。または暇をもてあまし、こちらの世界に自ら来た者。と、さまざまな理由でこちらに居たようですね。」
「・・・でも、竜は巨大な姿と言われている。だけど今のあなたはまるで人間のようだ。」
「アリィは今ね、変化してるんだよ。大きいままじゃ、お家には入れなかったから。
本当はすごく大きくて、綺麗なんだよ~」
「恐れ入ります、主」
「へぇ~、一度見てみたいな」
「あ、じゃぁ、アリィと一緒に暮らすことが出来るように、お父様やお母様を説得するの手伝ってくれたら見せてあげるよ。どう?」
「え~、そこまでする程、見たくはないな」
「・・・アリィすごく綺麗なんだよ。この世の者とも思えないくらい・・・」
「実際、この世の者ではないようだけど・・・」
「私はアリィよりも綺麗な者見たことないよ・・・」
「う~ん・・・」
「アリィの本当の姿を知っているのは、私しかいないんだよ?それでレクがアリィの本当の姿見たら、二人しかしらない秘密になるんだよ?」
私は賭けに出た。普段、レクは私の意見を可能な限り聞いてくれる、だけど偶にかたくなに聞いてくれない時がある。そういう時はだいたい、危険だとかレク自身どう仕様のないことなんだけど。でも、「誰も知らない」とか「他の人には秘密だよ」とか言うと、自分の持てるすべてを使い、叶えようとしてくれる。なぜだか知らないけど(それはレクが極度のシスコンだから、この技はもちろん幼馴染ズにも利く。耐性のない人間はぶっ倒れる。自分が超がつくほどの美少女だと自覚のないミナは毎回不思議に思っている)
「わかったよ」(即答)
「やったぁ!ありがとうレク!
これからも一緒だね、アリィ」
「ありがとうございます。レク様」
「でも、人間の姿はだめだ。他には化けれないのか?」
「どう?できる?アリィ」
「はい、出来ますよ」
そう言うと、白銀髪の美青年は、モフモフ四足動物。イタチのような猫のような、丸顔にひげと大きな眼、モフモフなのにスラッとした体に長く綺麗な尻尾、その先に金色の竜玉。といった完璧なまでに、私の趣味ど真ん中のフォルムになった。
可愛すぎたので、ぎゅ~と抱きついた
「何これ、可愛すぎる。決めた、アリィ私が良いと言った時意外はず~とこの姿だよ?いい?」
「はい、わかりました。主」
「うん、これならいいかな。じゃあ、僕はお父様お願いしてくるよ」
「うん、ありがとう、レク~」
「でもなんて言えばいいんだろう・・・?使い魔?ペット?どちらにしろなんて説明すればいいんだろう・・・」
「あっそのことなら大丈夫。私が魔法使いになることを言えば説明は要らないでしょ?」
「そういうものかい?」
「大丈夫、大丈夫。
ねぇレクはならないの?魔法使いに」
「うん、そのこと考えてたんだけどね。僕もなろうかなって、ミナ一人じゃ心配だし。双子で魔法使いって言うのも面白いしね?」
そうして、私達の夢は魔法使いになった。
魔法使いになるということを両親に説明すると、心配そうにするけれど、笑って許してくれた
それから、私達の魔術との生活が始まった
10歳編最後です。 次回は14歳です 学園に入る予定です 誤字脱字報告、感想などまってます。
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