王城_兄と幼馴染
【お披露目】
王城で行われたそれは誰もが憧れるもの・・・らしい。
「らしい」と言うのは僕にとってそれは不愉快以外の何でもなかったから
ここには、化粧臭いババァと僕の地位と将来性しか興味のない汚い貴族の野郎供、無駄にプライドばかり高い馬鹿な貴族の娘達。そんな奴らしかこの大広間にいない。
王の前でお披露目を行った僕は今、大広間に居る。
大広間は今年から社交界入りする貴族の子息や令嬢のために披露会が開かれている
そして僕の周りには貴族の令嬢たちがたかって、もとい集まってくる
正直、うざい「近寄ってくるな、害虫」って感じ
でも、そんなこと口にしないし、態度でも表さない。
だって僕は公爵家嫡子。迂闊なこと言って無駄に敵を増やしたくない。いちいち相手するの面倒だし。だから僕は本心を隠している、信用してない人間には常にポーカーフェイス
僕が自然体で居られるのは、極限られたわずか者の前でのみ
双子のミナや乳母兄弟のロンとその兄のオンそれから幼馴染で親友のクゥあとは両親と邸の古参の人達
その時、人垣が割れて1人の少年が歩いてきた。
その少年は海の様な濃く綺麗な青の瞳と軽くウェーブのかかった肩までの蜂蜜色の髪を持っていた。
そして、少年は僕の目の前で止まった
「レイ、久しぶりだな」
「お久しぶりです。王太子殿下」
僕は笑顔が引きつっていくのを感じた。いや、僕ばかりではなかった、この場に居た者全員の顔が歪んでいた。ある者は口を開けて目を見開く、所謂「ポカ~ン」ていう顔、ある者はこの世の者とも思えない様な驚愕を通り越した見るに耐えないような悲惨な顔(まぁ基が悪いから)ある者は頬を染めるを通り越し真っ赤になって鼻血を流している(女性9:1変態野朗)失神している者もいる(失禁者有)
まぁ、それくらい衝撃的な出来事だったわけ、何がって言うとね「嘲笑の王子」「犯し難き無表情」とまで言われ公の場では今まで決して笑うことのなかったイリーシャ・ランクル・グリフォールド王太子その方が笑っていたのですよ、それも、満面の笑みで、普段の無表情で分かるとおりクゥはものすごい美少年、まだ幼い事もあってか見様によっては美少女でも通るだろう。
あっ言っとくけどミナはこの無表情腹黒王子よりも何倍も可愛く綺麗だ。
僕達3人(レイ、ミナ、クゥ)が並んでいる姿は「楽園」「天使の宴」「禁欲地」「絶対的な破壊力」などよく分からないが、なぜか寒気を覚える呼び名で呼ばれている。ちなみに僕達3人が揃っている所を見ると幸せになれるというジンクスまであるらしい(ロン、オン談)
なんて現実逃避ぎみに思考の海にはまっていたら
「何やってるんだ。アホ面が余計アホに見えるぞ」
「アホではないですよ。それで・・・なぜ今日はそんなに笑顔なんですか?」
そしたらクゥはさらに笑みを深め周りを見渡してすこし眉を顰めた
「ここは人が多いな庭園に行こう」
そう言ってクゥは歩き始めた
僕はクゥの行動が分からずに両親と王夫妻を見た。
両親はいつも通り慈愛に満ちた目・・・を少し面白そうな目にしていた。王は呆れた様な愉快な物を見た様な、王妃はワクワクと言うのがぴったりな目で熱心にこちらを見ていた。
一体何なのだろう・・・?不安になってきた
「何してるんだ?いくぞ」
「ちょっとクゥ言っておくけど今日ミナはいないよ」
「知ってる、今から話すことはミナにかかわる事だ。聞きたくないなら聞かなくていいぞ」
あっ・・・何となく分かった、今からクゥが何を話そうとしているのか・・・
今は初夏まだまだ夜は寒い、そよ風が吹いただけでも肌寒さを感じる
僕達は薔薇園へと歩いていた。
薔薇園は迷路のような造りになっていて、中央にある噴水には限られた人間しかたどり着くことが出来ない
薔薇の甘い香りを感じながら歩いていると噴水の前でクゥが足を止めた。
急に止まったから僕はクゥにぶつかってしまった。
身長的にクゥより劣っている(低いわけじゃない、少し平均より小柄なだけ、決して低いわけじゃない)
僕は尻餅をついてしまった。
「はぁ、何やってるんだ、ほら」
クゥは僕に手を差し出した。僕は断る理由もないので掴ませてもらった
「ありがとうクゥ・・・それで、手、はなしてくれるかな?」
・・・反応がない、いぶかしんでクゥを見ると、なぜか僕を凝視していた、「お~い」と手を振ってみたらはっとした様になって、少し赤くなった
「ばっ・・・ちがうからな!別にそっくりだなとか思ってミナのこと思い出してたわけじゃないんだからな!お前とミナは全然似てなんていないんだからな!」
クゥはあわてすぎてぼけつを掘った
面白いからからかってみようか・・・
「あれ?ほんとう、僕達、結構似てるって言われるんだけどなぁ・・・ああそうか見分けがつくほど僕の事見てくれていたのかな?」
「ちがう!俺はお前じゃなくてミナを・・・」
「あははは、ここまで見事に引っかかるとはね、クゥはミナの事となると単純だね」
「うるさい!・・・そんな事より、俺は一応、レイには言っておかなくてはと思って・・・」
僕は微笑みを浮かべた
ずっと前から考えていた。
いずれミナは誰かの所に嫁ぐ事になる。僕はミナとずっと一緒にいたいけどこれは仕方のない。だったらその誰かは、僕の信頼できる誰かがいい。ミナを裏切らず、一生ミナを愛してくれる誰か。
僕は条件に当てはまる候補を何人か選んである、父様にもその候補の中からでないとミナと家出すると伝えてあるし父様は絶対その中から選ぶだろう、そしてその中で僕が一番いいと思ったのは今、目の前にいるクゥこいつは僕達の幼馴染だし、こいつの所に嫁いでも僕は毎日のようにミナに会える。そしてなによりクゥはミナを愛してくれる・・・。
「レイ、実は俺、前から父上と叔父様に言っていた事があったんだ・・・。
俺はずっと前からミナが好きだった、だから・・・」
「うん、いいよ」
「・・・え?」
「だからいいよ、ミナとの結婚でしょ?僕は反対しないよ
あっ言っておくけど結婚はミナが17歳になってからだよ。それまでは手、出しちゃだめだよ?君に譲ってあげるんだからそれくらい守ってよね?」
クゥは初めポカンとしていたけど途中からだんだん涙目になって最後は僕に抱きついてきた。
いつも年長として、しっかりしているから滅多にクゥが泣くことはない。それ程うれしかったのだろう。まぁ、当たり前だけどね、ミナをあげるんだもん、平然としてたら殺意すら沸くよね
薔薇園の出口で両親と王夫妻が待っていた。皆それぞれにうれしそうだ
「その様子では、認めてもらえたようじゃな。これでミナもワシの娘か」
「何言ってるんですか兄様、ミナは私の娘です!」
「なにを言ってるんですかはあなたです。いつまでくだらない独占欲持ってるつもりですか。これでクルト様が私達の息子になったのですよ。私たちの楽園ですよ。天使が3人なんですよ。あぁ・・・」
「えぇ、いいなミオちゃん・・・。レク君、私達の息子にならない?」
「遠慮しておきますよ伯母様。
父様そろそろ出ませんと帰れません。ミナが待ってるんですよ?」
ふぅ、今日は疲れた・・・精神的に。ミナに癒してもらおう
「ただいまぁ~ミナぁ 今帰ったよ~」
ミナの部屋に入ると見知らぬ美青年がミナと談笑していた
ミオはミナ、レクの母
王妃とミナ母は幼馴染、仲がよく王城に遊びに行ったり、邸に遊びに来たりしている。
だからミナ、レク、クゥの3人はよく遊んでいたけれど、クゥの立太式をした頃から忙しくなり、王妃がクゥを連れて来ることは少なくなった
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