41話 龍の襲撃?があっったんですが…
急いで書きました。投稿遅れてしまい申し訳ない
寝たフリをしようと目を閉じると同時に、いくつかの気配が馬車に近づいてくるのがわかった。しかし、危機感地スキルが発動していないと言うことは俺に危害はないようだが、あまりに早い速度なのでサリバンとアンドレスを見つめる。二人も気配を感じたようだが、同じく敵意を感じなかったため俺に意見を求めているようだ。
「警戒はしてこう。サリバンは入り口付近に移動して盾を出しといてくれ」
「おう。」
「何ですか!急に!また勝手なことしないでください!」
サリバンが立ち上がり入り口の近くで盾を出し、構える。俺はその後ろに移動する。
俺とサリバンの行動にエリカが騒ぎ始めたが、すぐにアンドレスが口を押さえて黙らせる。英雄の母親とロゼに、優しくマリアが声をかけている。マリアも気がきくな…こういうのはアンドレスにやってもらいたかったが、エリカを抑えるので必死のようだ。気配はやがて他の勇者達がのる馬車の先頭に着くと突然移動していた勇者達の気配が止まった。まあ、気配はあるので死んではいないようだ。
「なんかやべーんじゃねぇか」
「そうですね…なにかこっちに仕掛けてきたら出れるようにしてください」
俺とサリバンが話していると、突然馬車が止まった。馬の気配はなくなっていないので、殺してはいないようだ。さっきからどうやって無力化している?なぜ馬車を狙う?ミツコか?盗賊程度が勇者を無力化するなんて到底考えられない。なら、なんだ?
「ぼ、ボルト…なんだか体が急にさ、寒く…」
サリバンが震える声で俺に話してくる。顔は真っ青になりブルブルと体が小刻みに揺れている。明らかに様子がおかしい。俺はすぐに振り返りみんなの様子を確認するがすでに女性陣は気を失っていた。唯一英雄の男の子だけが母親の名前を叫びながら体を揺らしている。俺はすぐにサリバンの様子をみるが、同じく気を失っていた。すると、突然馬車の扉が開き始めた。
「やりすぎてしまったかのぉ…おお、やはり起きておるか!」
扉の前に居たのは一人の老人だった。白髪で白いひげを胸まで伸ばし、ボロボロな黒いローブをまとっている。顔はまさに老人でシワが深いが、眼光は鋭く知性を感じる。老人は手に持つ杖を使いながら馬車の中に入ってくる。俺はすぐに絵収納から銃を取り出し、意識のある男の子を担いで老人と距離を取る。今の状況で誰かを救うならまだ意識のある男の子が一番生き残る可能性高いからだ。老人は俺を見ることなく倒れているサリバンの背中に腰掛けると、懐からパイプを取り出し吸い始める。もくもくとした煙が馬車の中を満たしていく。
「何者だ…お前。みんなに何をした…」
『スキル『龍覇』を入手しました。』
「ははは、お前とは失礼な使徒様じゃ。いや、使徒じゃからこれくらい無作法のが良いか!ははは!」
老人は笑いながらパイプを蒸し続ける。懐かしい匂いだ…これは日本にいた時俺の親父が吸っていたタバコと同じ匂いだ。
「おや?一人お客さんが居るようじゃが…どうやらその子にも素質はあるようじゃな」
「なんの事だ!お前は何が目的だ…
「ははは!なんのただ話がしずらいじゃろうと思うて、他の者には眠ってもらったのじゃ。龍覇と言っての。龍の力を持たぬ者にはその重圧に耐えきれん。じゃから、他の者は気を失っておる。」
「お前…龍なのか…?」
「おお、名乗り忘れておったわい。ワシの名はパルティコじゃ。ミラル様が鑑定の力をもつ不思議な少年が風龍の力を使っておったと聞いての。その時、容姿などを聞いてのおっての〜それがちょうど使徒様とピッタシじゃったから使って見ただけじゃ。その子は龍の力を扱うことができそうじゃのぉ。」
「ユーグリッド様…そろそろ入っていいですかね?」
「おお、そうじゃった。さあ、入りなさい。」
若い女性の声が聞こえるとパルティコと名乗る自称龍の老人が、笑顔で扉へ手招きをする。あの声はどっかで聞いたことがあるんだよな…
「こんにちは!ボルトさん!覚えていますか?」
そこには見覚えのある黒髪の少女カエデだった。この間メルと一緒に街にきた勇者を一向の一人で神眼の持ち主だ。カエデはきまずそうに頬をかく
「何を座っておる。さあ、ここに座りなさい。使徒様ももっとこちらに寄ってきたらええじゃろ。その距離じゃ会話もしずらい」
「はぁ…まあ、カエデがいるならいいか。それにしてもここまでするからには理由があるんだろうな」
俺は男の子…マグネを抱えながら二人に近づく。てか、パルティコが座れと言ってるのはサリバンのうえじゃねーか!カエデも座るなよ!というツッコミを心の奥に隠す。マグネはおとなしくじっと、パルティコを見つめている。
「さて、ここまでした理由を教えてもらおうか。」
「ええ…それは帝都が危険な場所だからです。ですので帝都に入る前にお話がしたかったのです。帝都では召喚した勇者の記憶を抜き取り、単純な記憶のみを残しその上から洗脳をかけ何でも言うことの聞く奴隷を作っています。おかしいと思いませんでしたか?親子丼の作り方を勇者全員がしらないなんて。誰かが知っていてもおかしくはないはずですよね。私も記憶を奪われている一人です。これはすべてユーグリッド様から聞いた話です」
「それに関してはしってる。エリカのステータスを覗いたら、洗脳と書かれていた。それにさっきの言葉で色々わかったぜ。英雄を必死になって捉える理由…それは勇者と同じような能力を持ちこの世界の事を理解している存在が怖い訳だ。ところで、そのユーグリッドってのはだれだ」
「ワシじゃ。わしは人間に化けて帝都で貴族をやっておるからの。一応人に合わせた名じゃ。
それでじゃ。使徒様の職種『使徒勇者』…使徒とは神に仕えるものじゃろ、その勇者。つまりお主をこの世界に呼んだのは神ではないのかと、この娘がいっておっての」
「そうか…」
これはいっていいのかわからんな…おーい、ルシフェル。この件はいっていいのか>
俺は久しぶりに頭の中でルシフェルに呼びかけて見る。
『はい。今神に伺ったところ、『良いのではないか』とおっしゃっていたので良いかと。ただ、神が頼んだ事は言わないでもらいたいそうです。』
そうか…なら言うか。神が頼んだ事…ああ、世直しか。俺は一切世直ししてないな …なぜ言っちゃいけないんだ?
『神がきちんと管理しておけばこんなことにならなかったのにと、他の神に言われたくないらしいです。だからこそわざわざ君を転移させた。らしいです。』
そうか…俺は尻拭いか。あの神らしいな。まあ、請求は神に行くし俺にはかんけいないか。
「ああ、俺を転生させたのは神だ。それで俺に何をしてもらいたいんだ。あいにくだが帝都をどうにかしろなんて無理だぞ。」
「ええ、わかっています。ですので、一つだけ頼みたいことがあるのです。それは多くの勇者の記憶を記録し続けた一冊の本を盗んできてほしいのです。」
「本?どういうことだ?」
「今までの奪われた記憶は一冊の本にすべて移されています。その本さえあれば私の記憶が取り戻せる。どれだけ重要かわかりますか?今の私には母や父の顔も楽しかった思い出が一つもありません。それも違和感なく。とても…つらい…
「そうか…できるだけの事はしてやる。それでその本の場所はわかってるのか?」
「王の書斎あると思います。本は真っ黒なはずです。すいません…それしか記憶にないので…」
「そうか。何とかしてみるがとりあえず、こいつらの命が第一だ。」