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39話 英雄を発見しましたが…

多くの読者の方から、主人公がおかしいと意見をいただきました。

どうも時間が空いてしまうと、書き方がおかしくなってしまいますね…今回も少しおかしいかもしれません…申し訳ありません…

「『反発』と『吸引』?…」


エリカはスキル名から能力を予想しているようだが、ピンときていないようだ。馬車の中で話したが、エリカはここに転移する前は中学一年だったらしい。言葉にピンとこなくても、これくらい中学生なら考えつくと思うが。何かひっかかるな…他の勇者もどこか幼いように思える。


「キャァ!何!?」

「うわっ!」


男の子は両腕をあげると、近くにいた勇者たちが突然中に浮かびあがる。突然の浮遊感に多くの勇者たちが戸惑いの声や悲鳴をあげる。男の子は開いていた手を握りしめ、そのまま地面に振り下ろす。宙に浮かんでいた勇者たちが何かに引っ張られるように地面にかなりの速度で落下する。高さはそこまでなかったが速度が、かなり出ていたため地面に打ち付けられた勇者たちはろくに立ち上がることもできていない。しかし、男の子は止まらずドゴっドゴっと鈍い音を立てながら勇者を地面にぶつけ続ける。すでに勇者は手足がぶらぶらの状態になり、気を失っている。


「ワシは知らぬぞ…」


「はぁ…。エリカ、俺が出る。村長、それとそこの若い奴。離れていろ」


「ボルトさん!何かあったんですか!」


突然背後から声をかけられすぐに振り返ると、そこには馬車で待機させていたマリアの姿があった。マリアは心配そうな表情で俺を見た後、目の前の…少年を中心に勇者が皆倒れていることに気づくと、表情を凍らせる。


「マリア、あそこに倒れている女性に回復魔法を頼む。」


「わ、わかりました!」


俺の口調から現状の説明を求めたところで答えてくれないと理解しているようで、素直に話を聞いてくれた。マリアは走って男の子の母親の元に向かう。


「何をしているのですか!私が対堕勇班の班長です!勝手なことはしないでいただきたい!策をもっと練ってから…」


「お前は俺の実力を見たいんだろ?それに俺は帝国になんか所属しねぇ。冒険者だ。上なんて関係ない」


撤退させようとしたが、すでに勇者に動けるものはいないようだ。勇者は相当強いと思って任せていたが、正直勇者にはがっかりした。それとエリカの様子がおかしかった。まあ、男の子が強かったのだろう。俺が男の子に向き合うと、俺の左右に二つの影が立つ。


「行きますよ、ボルトさん。サリバンさん」


「いくらお前が英雄だとしても、ここまで勇者がやられてちゃ一人で行くのは無謀だろ」


「ははは!頼もしいが、二人ともここは俺に任せてくれ。」


「どういうことだ?…」


「後で説明してやる。相手がやる気になってきたようだな」


男の子は俺の目をじっと見てくる。おそらく睨んでいるつもりなのだろうが、大して恐怖を感じない。まだオーガの方が迫力があったな。年相応だな。俺は全力の威圧を当てながら男の子に近づく。怒りで周りが見えなくなっていたとしても、人の持つ生存本能が働いたのか俺に対しては身構えてくる。

男の子は同じように俺を宙にあげようと、腕を上に上げるが俺の体は持ち上がることがない。戸惑いの表情になる男の子に対し一歩一歩確実に近づいていく。


「お前の能力は欠点がある。まあ、この世界の人間が知ってるかすら俺にはわからねーが」


徐々に恐怖に感じ始めたのか、男の子は後ずさりする。

俺は一つの予想を立ててから、男の子の能力を確認した。勇者の体が地面にぶつかった時、一番最初に接地したのは胸だ。胸には勇者が共通して帝国の紋章が入った胴装備をしている。おそらくだが何かの金属製だ。


スキルの名前と金属。


「お前の能力は金属系しか効果がない。俺は今金属は外した。どうする?」


男の子は、一瞬目を見開くと両腕を広げ俺に向けてくる。すると、勇者のもっていた剣や槍が細かく振動するとまっすぐ俺の方に向かって飛んでくる。そういう使い方もあるのかって!まじか!

俺は飛んでくる刃物を全て手刀で叩きおとすが、まるで意思を持っているかのように再び俺に向かってくる。さすがに数が多すぎ対処に困る


「ボルトっ!」

「ボルトさん!」


「…大丈夫だ。そういう反応するってことは図星だな?さて、」


俺は手袋をはめた拳に力を込め、素早く目隠しをし目を閉じる。正直ここまで数が多いと、目視で追うより『気配察知』の方が確実に処理できる。それにしても目隠しも面倒だな…アンドレスのように伊達眼鏡でも作っておこうか。いや、その前に動体視力が上がるようなスキルが欲しいな。

飛んできた槍を中程でへし折り、金属製である矛先を拳で粉砕する。それにしても、スキルが付与している状態だと金属も泥だんごみたいなもんだな。ティラノサウルスの勇者はこれを食らっても平気だったのに驚きだ。


「最初からそうしろやっ!」


目隠しで姿が見えないが、サリバンの愚痴が聞こえる。まあ、甘く見ていたが…心配かけたな。

俺は飛んでくる刃物をまるで羽虫を払いのけるように粉砕しながら、英雄である男の子の元に歩いていく。


「ま、マグネ!やめなさい!」


男の子まで数メートルといったところで突然女性の叫びごえが響く。声的におそらく先ほど殴られていた男の子の母親だろう。その声と共に飛んできていた刃物の気配がなくなり、後から金属の落ちた音が響く。戦意はなくなったか…

俺はそっと目隠しを外し男の子を見る。


「はぁはぁ…おじさんは…何者なの…」


魔力を多く消費したのか、息が切れた男の子が切れ切れに問いかけてくる。


「そうだな…俺か。強いて言うなら…」


俺が話している途中で男の子に限界がきたのか、白目をむいてその場で倒れこんでしまった。俺は地面に倒れる前に男の子を抱えあげる。すると、すぐに男の子の母親が駆けてきて、俺の腕の中の男の子を覗き込む。マリアは俺に申し訳なさそうな顔をするので、「大丈夫だよ」と口パクするとこちらに向かってくる。

背後からはエリカや村長、サリバンとアンドレスが同時に向かってくる。


「これはひどいですね…子供にここまでされる勇者ですか…」


「願って得た力じゃない以上、この子を責めることはするな。」


「わかりました…それにしても、オリハルコンを素手で壊すとは怪力ですね…」


「見たかったんだろ?」


「ええ。いいものが見れましたし、男の子も回収しました。リカ、勇者全員を回復させてください。終わり次第帝国に帰還します」


エリカはそういうと、すぐに馬車の方に歩き始めた。俺はそっと鑑定を発動させる。


「はぁ…」


『状態:洗脳【中】』


面倒な帝国だな…




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