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20話 これで終わりましたが…

そう言うとシャルルガはそっと肩から降りる。俺は痛い体をさすりながらなんとか立ち上がる。そして、身体中にスキルをかけ直す。少しやってみたいこともあったしな…

それにしても俺は性格が変わったのかもしれない…こんなに興奮しているのはなぜだ?Mになったのか?…まあ、いい。今は検証だ


「来ぬのか?貴様から来い。許可する」


「では…失礼して!」


俺は全速力で地面を蹴り、目の前にいる幼女に迫る。シャルルガはやれやれといった表情で、俺を見るが、その頃には俺はシャルルガの顔面に拳を出していた。俺の拳はそのまま10歳にも見たなそうな見た目の幼女の顔面に当たると、そのまま吹き飛ばした。俺と違って軽いせいか、俺より吹き飛んだと思う。


「どうかしましたか?」


「貴様ァアアアア!何をしたァアアア」


地響きより低く、雷轟より大きな声が響く。見ると、幼女が宙に浮かんでいた。纏っている衣はより白く、いや発光しているようにも思える。その瞬間シャルルガの姿が消えた。突然拳が顔面に飛んでくるが、そのまま躱すと、カウンターを入れる。俺が付与したスキルは単純だ。龍には龍…拳には拳だ。スキル『風龍乃移動術』と『風龍乃格闘術』それに『空場』だ。移動術のおかげか、シャルルガの動きについてこれ、格闘術のおかげで体が強化されているようだ。


「貴様…私の龍術を…」


「さあ、終わりました。帰りましょ…」


「帰れるか!この私が負けたなどありえん…本気を出スゾ」


グルゥゥ…


一瞬でシャルルガの周りに風が吹くと、その風はシャルルガを中心に渦となってまわる。どんどんと大きくなっている風の渦は周りの土や葉を巻き込み、空はさっきまで散っていた雲が集まりはじめ、空が黒くなってくる。


これはまずいと判断し、呆然と固まっていたアンドレスとサリバンに駆け寄りそのまま首根っこを掴み、近くにあった一番大きな木にしがみつかせる。どんどんとあたりのものを巻き込み成長していく渦にどうする術もなく俺もこまていると、一瞬の雷光が渦に入っていった。

すると、さっきまでの渦が嘘のように消え、渦に巻き込まれていたオーガの死体や木々が重力に従い落ちてくる。


「ったく。これじゃから、若龍は…」


ため息混じりに響いた声、聞き覚えのある声…確か…

止んだ渦の中心から老人が幼女を抱えて落ちてくる。ゆっくりと…日の光が神々しい…


「これ!あまり龍を怒らせるものでない…まあ、この子もこの子で悪い部分があったのぉ…」


「すいませんでした。ミラルさん」


「まあ、気にするでない。さあ、この子を連れて帰るか…気を失っておるし。すまぬが、そこのオーガエンペラーを持ってきてくれ」


「わかりました」


「それと、わしのことは言うでないぞ?お主達もじゃ…」


「は、はい…」

「はい…」


「うむ。では行こうかの?」


ミラルがニコッリと笑いながら歩き始める。その頃には強風で土がえぐれ、草木がぐちゃぐちゃになっていたとは思えないほど平和な光景が写っていた。



街までつくと、ものすごい警備と冒険者が門の前に集まっていた。しかし、無事に全員が帰ってきたことを皆が確認し、俺が持ってきたオーガエンペラーとやらの死体がさらに皆を安心させた。シャルルガが気を失っている件については疲労が…などと言っておいた。なぜ、老人がいるのかという話にもなったが、森に間違って入ってしまったが、すでに戦闘が終わり、保護されたとしておいた。

現在、冒険者ギルドのテューガの部屋にいる。ちなみにミラルはシャルルガの私室にいったそうだ。お説教をするそうな…


「…というわけで、なんとかオーガの群れを討伐しました。死体が転がっているので、冒険者に行けせてください」


「わかった。まさか、やり切るとはな…ボルトくん。君のギルドカードをSランクに変更しておいた。まあ、一度本部のある王都に向かってもらうがな。それと、Aランカーの二人はAAランクにあげることもできるが、どうする?」


「俺はけるぜ。Aで十分だ」

「私も遠慮します」


「ん?なんだ?アンドレス、顔つきが良くなったじゃねーか」


「そうですか?良くわかんなですね…グラスさんだけですよ。」


「ああ、そうかい。」


「わかりました…では、私はこれで…」


「ん?ああ、祝勝会には参加してもらうぞ。えーと場所は…ミルクティーだ。知ってるだろ?」


「ええ。わかりました。」


俺が止まってた宿じゃねーか…まあ、いいか。俺は肩を回しながら、そのまま部屋を出て行く。すると、後からアンドレスとサリバンが出てくる


「おい、ボルト!」

「ボルトさん!」


「どうかしましたか?お二人とも」


「その…ありがとな。多分この装備のおかげで生き残れた」


「いえいえ、それは実力もあったでしょう。」


「それで…この装備はいつ返せば?」


「差し上げます。その代わり、絶対に人に貸与しないでくださいね?」


「わかりました…」

「わかった…」


「ふふふ…ともに死線をくぐり抜けた仲間じゃありませんか。では、またいつか」


俺はそのまま二人に背を向けて歩く。何かその場にいるのが恥ずかしかったからでもある


「似てんな…あいつに」


「そうですね…大きな背中です…」


「追っかけたいか?」


「ええ。でも、あまりにも遠すぎます」


「同感だ。」



のんびり歩きながらそのまま教会を目指して歩く。通り過ぎる全員が俺に声をかけてくる。少しいい気分だな…

適当に手を振りながら、教会に着くと、そのまま扉を開ける。すると、突然柔らかな衝撃が来る


「よかった…よかった…」


「マリアさん…」


「お帰りなさい」


「ただいま」


マリアの後ろで、手を後ろで組んでいるロゼと目が会う。どうやらマリアに先手を越されたようだ。俺はそっとロゼに笑顔を向ける


「ただいま」


『お帰りなさい!』


口を精一杯開いて、お帰りなさいと言ってくれる。それでも声は出ないが、気持ちは伝わる。


「さあ、中に入りましょう。」


「はっ!そうですね…ど、どうぞ!」


マリアは俺の腕を掴んで離さない。俺は苦笑いを浮かべながら、リビングにつき椅子に座るとマリアは腕を解放し向かいの席に座る


「まさかボルトさんが、英雄様とは思いませんでした!」


「英雄ですか?…違いますよ?」


「何を言っているんですか!すごいじゃないですか!」


「まあ、そうかもし知れませんね…」


ロゼがそっと俺の近くに来ると、一冊の本を俺に見せてくる。読んでほしいのか?…

俺はロゼ抱っこして、膝に乗せ本を開く。本の題名は…『勇者物語』?

中身を適当に読んでいくと、大昔黒髪の少年が召喚され、聖剣を振るい多くのドラゴンや魔族を倒し女王と結婚した…まあ、ありきたりな内容だな。え?髪が同じだて?ロゼ、髪が同じだけじゃ勇者にはなれないよ?


「そうだ、祝勝会があるんですよね!行ってきてください!」


『いってらっしゃい!』


「うーん…そうですか?顔だけ出して帰ってきますよ。」


「ダメですよ!何を言っているんですか!」


『私は帰ってきてほしい!』


「帰ってきますよ。何時からでしたっけ?」


「すでに始まっていますよ!」


「マジか…んじゃ、行ってきますね」


「いってらっしゃい!」

『いってらっしゃい!」



教会から出て、俺のいた宿屋ミルクティーに向かう。街に人はあまりいないようで、静かだ…

まあ、いいか。

ミルクティーに着くと、多くの叫び声が聞こえる。中に入ると、多くの冒険者が酒を酌み交わしていた。


「おお、お前か。まさか、お前とは思わなかったぜ」


マスターが話しかけながら、酒を注いでくれる。俺はそっと苦笑いをしながら酒を飲み干す。



「そういえばぁ〜」


「どうしたベレッカ。もう酔っているのか?」


「何を言ってるんですかぁ〜」


「まあ、いいが。どうかしたか?」


「主を殺したのってぇ〜ボルトさんでしたよね〜何か自演っぽくないですかぁ?」


「何を言ってるんだ!お前…いや、そういえば…グラスさん!」


「どうした?」


「ボルトなんですか…何か裏がありそうじゃないですか?…」


「どういうことだ?…」


「この街に来て一週間も経っていません。それに転移陣で転移してきてしまったらしいんですよ。それで、主を討伐…オーガを討伐…」


「その報告は聞いてるが…まさか…」


「魔族では?…しかもあの黒髪…」


「調べてみるしかないな…」


「ええ…」



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