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17話 誰も死なせたくないですから…

オーガ

肉食で肉ならなんでも食らうほどの食欲。人のように二足で立ち、武器を持っている者もいる。ゴブリンより知性は高いらしい…力が強く、その強靭な肉体は防御にもなる。Bランク指定で、群れでいる場合はランクが上がる。


これは後で聞いた話だ。まあ、正直怖い。まさに日本で言われていた鬼のような存在だ。今すぐにでも帰りたい…

俺は今、冒険者ギルドで一室借りてサリバンとアンドレスと会話をしている。シャルルガはゴブリンを連れてどこかに去っていった。二人もかなりビビってはいるものの戦う気はあるそうだ。まあ、死を覚悟しているようだが

明日の午後になったらオーガの討伐に向かうそうだ。今は午後8時なので、16時間後だ…


「それで、お前のあの武器は何だったんだ?一瞬爆発音がしたと思うと大木が弾けたぞ」


「私も気になりました。魔法では何ですか?魔導具?」


「まあ、深くは言えない。俺の奥の手だからな」


「まあ、いいけどよ。それにしても、お前はその喋り方のほうがいいぜ。ボルト」


「そうですね…私もそう思います」


「そうか?俺もこっちのほうが楽だからこれで行かせてもらう」


「おう。」


コンコン

「失礼します。ボルト様、お客様です」


「え?」


受付嬢の声が部屋に響く。お客様?…俺にか?誰だ?

扉が開かれ入ってきたのはシスター服ではなくゆったりとした服に、ロングスカート姿のマリアだった。マリアは俺を見つけると駆け寄ってくる。驚きから動けなくなっていると、俺まであと少しというところでマリアが床につまずき倒れこんでくる。俺はとっさに彼女を受け止める。


「大丈夫ですか?マリアさん」


「はい!その…大丈夫です!」


顔を真っ赤にしながら俺の目を見てくるマリア。なんだか、俺も照れくさいぞ…


「フゥ〜。見せつけてくれるね〜」

「結婚されていたんですか!?…」


まるでマリアが俺に抱きついてきて、俺が抱きしめているような絵に見えるのか…

とりあえず、アンドレスの発言は嬉しいが、訂正しなければ…


「結婚なn「け、け、結婚!?」


「ありゃ?してねーのか?それじゃあ、カップルか?」


「か、か、かカップル!?」


顔を真っ赤にしてまるで茹で蛸のようになったマリアはその場で気絶してしまった。仕方ないな…

俺はそっとマリアを持ち上げ、お姫様だっこをする。


「やめてください。彼女とはそのような関係ではありません。オーガ討伐に関しては詳しくは明日、ここで。受付嬢さん、この場所を明日も借りていいですか?」


「は?え、ええ…いいと思うわ」


「では、明日の9時にここで。」


「わかった。それじゃあ、また明日な」


「おう、明日。せいぜい今日はいちゃついてろ」


「では…明日…」


俺はそのまま気絶しているマリアを抱っこしながら冒険者ギルドを出て行く。ギルドを出ると何人ものむさ苦しい男たちがマリアを見てよだれを垂らしていたが、気にせず教会に急ぐ。

教会についたが両手がふさがっているので扉を蹴るようにして開けると、少女が飛び出してくる。しかし、相手が俺だとわかると笑顔を向ける。


『おかえりなさい!』


『心読』で言葉を聞くと、俺も笑顔で答える。初めて声を聞いたが、見た目と同じように綺麗なかわいい声だった。


「ただいま!それと、マリアなんだが…気を失っているだけだ。部屋まで連れて行くな?」


『うん!わかった』


満面の笑みで頷く少女に、心がぽかぽかするのを感じながらマリアの部屋まで向かう。言葉が伝わっているのがなぜか疑問に思わないのは子供だからだろう。マリアの部屋はこの前教えてもらったのでわかっている。正直乙女の部屋に入るのは野暮かと思ったが、この状況では仕方あるまい。そう、自分に言い聞かせながらマリアの部屋に入り、ベッドにマリアを寝かせる。


「ん〜…ボルトさまと…結婚…」


寝言だと思うが…なんて夢を見ているんだ…、少し嬉しいじゃねーか…

俺はそっとマリアの寝顔を見て、心に刻む。明日俺が生きているかわからないしな…ふと、視線を机の上に向けると一枚の紙が置かれていた。その内容を読み…紙をたたんでポケットに入れた。

そっと扉を閉じる。階段を降りて、夕飯を食べているリビングに向かう。リビングでは少女…ロゼが椅子に座ってボーとしていたので、俺はそっと少女の頭を撫でる。少女は何も言わないが笑顔を俺に向ける。


「今日は何かしていたのか?」


少女は手で何かを表そうと、必死に動かしているが声が出ないので伝わらない。俺はそっと少女の目を見て『心読』を発動する


『えーとね!マリアさんとね!お祈りしてね!冒険者ギルドに入ってねマリアさんのお手伝いしてたの!』


ジェスチャーじゃ伝わらないが、心を読んだことで伝えたいことがわかる。


「そうか。お祈りか!お手伝いとはいい子だな〜そうだ、ご飯は食べたか?」


『ううん…食べてないの。お腹すいた…でも大丈夫なの!』


「よし、待ってろ…」


ロゼは困った顔でお腹に手を当てたが、すぐに笑顔を俺に向ける。俺は非常食の中から親子丼を発注すると、そのまま机の上に置いた。ロゼは親子丼に興味深々だ。


「食べていいぞ!口に合うかわからないがな」


俺はプラスチックのスプーンで適当に親子丼を掬うとロゼの口の辺りに持って行く。ロゼは恐る恐る口にすると、目を見開いて俺を見る。


『美味しい!初めて食べたよ!!』


「美味しいか!なら、ほらたくさん食べろ!早く大きくなるんだぞ!」


『うん!』


俺はプラスッチクのスプーンをロゼに渡すと、ロゼは一心不乱に親子丼を頬張り始めた。スプーンをくわえながら美味しそうに笑顔を向けるロゼは本当に可愛かった。

それからロゼが食べ終わるまで見ていたが、すぐに食べ終わりお腹をさするロゼ。俺はそっとキッチからコップを拝借すると、備品のココアを発注し濃い目入れロゼに渡す


「暑いからゆっくりと飲むんだぞ?」


『うん!なにこれ!いい匂い!』


「そうか。」


もう一つコップを借り、そこにはコーヒーを注ぐ。ロゼが飲みたそうに見てきたが『これはにがーい、お薬だぞ?』というと舌を出して嫌そうな顔をしながらココアを飲みはじめた。


「なあ、ロゼ。欲しいものはあるか?」


『欲しいもの?ご本!昔ね!パパとママがね!いたときはこーーーーんなにたくさんの本があったんだよ?』


ロゼは腕いっぱいに広げながら俺に教えてくる。本か…確かあったが…言葉が通じるかどうか…


『言語は統一して変換してあります。どうぞ』


ルシファーないす!と心の中でガッツポーズする。


「なら、お手伝いできるえらい子には本をあげよう…キテます!キテます!ハッ!」


俺は大袈裟に腕を伸ばし、ミスターマ○ックのように手を出し備品を発注する。本は机の上にドサドサと落ちる。まあ、絵本だ。

これは待合室で子供ように設置されていた絵本だ。しかし、かなり種類があるんだな…

ロゼは椅子の上で膝立ちし、机に身を乗り出す。目はキラキラとしている。


「本が好きな子は勉強ができる子だぞ〜」


『本当にいいの!?』


「ああ、読みなさい!」


俺は一番上にあった『シンデレラ』をとり、ロセに手渡す。ロゼは満面の笑みで絵本を開く。

それにしてもどの子供も本が読めるのか?案外この世界の識字率は高いんだな…

ロゼが本に夢中の間、俺は自分の部屋に向かう。部屋にはまだ何もないので、すぐさま簡易ベッドと机を発注し置く。てか、誰の備品だよ…まあ、いい。そっと部屋の鍵を閉めると、机に向かう


「さて…やるか…」


俺は机の上で髑髏マークの備品を発注していく。最初のほとんどは銃の類だった。ショットガンやらマグナム、ロケットランチャーに手榴弾やダイナマイト。次は日本刀やら刃物系だ…西洋の甲冑は置物だろう。その次は何やら透明な液体や注射器だった…

つぎの項目に行こうとした時、突然ルシファーの声が入る


『質量が大きいため、ここで発注すると床が抜ける恐れがあります』


なんかやばい気がするな…やめておこう。そして発注で適当にいいものを集め、付与魔法をかけていく。

明日は…絶対に誰も死なせはしない。



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