12話 ギルドに報告したのですが…
「こいつはすげーな…」
一発でここまでの威力か。だけど、怖いな。弾が切れたら怖いし、腰袋に入れとくか。さて、銃に関してはこれくらいでいいか。確か森の奥で、水を汲んできてほしいとか言ってたな…適当にぶらぶらしてみるか
グギャグギャ!ギャオギャオ!
少し行すぐにくとゴブリンが現れた。しかしどうも様子がおかしい。俺は結構ゴブリンを殺してきたが、今目の前にいるゴブリンは目がラリってるというか…凶暴になっている。今も、ものすごい鳴き声を叫んでいる。
俺は鎌を取り出し、いつものように影から襲撃しようとするがすぐにゴブリンが俺のいる茂みを見て突っ込んでくる。いつもと違うぞ…
突っ込んできたゴブリンを冷静にかわすと同時に首に鎌をかけて引き、ゴブリンの首を刎ねる。凶暴になっているが、身体能力や知性は低いままか…
鎌についた血を振って払い、そのまま構えていく。気配察知にかなりの数の気配が近づいているのがわかったからだ。
比較的気配の薄いところにすぐに向かう。あくまで様子をみるだけだ…。気配の集団がくるまえに俺はそっと木に登り、気配を消す。しばらく待っていると騒がしい声が聞こえてきた。ほとんどがゴブリンだが、ちらほらと巨大な鹿やさっきのイノシシ…四つ足のクマなどのモンスターも混じっている。
「これはまずいな」
しばらく息を潜めていると、そのままモンスターの集団は右に集まっていく。しかし、かなり街に近いな…
これはギルドに報告した方がいいってやつだろう…気配が全て去ったところで俺は木から降りる。
「さて、報告に…?」
「ギィ?…」
俺が降りると、真っ黒い肌のゴブリンと目が合ってしまった…え?ゴブリン?
俺とゴブリンは数秒見つめ合う…や、やばい!騒がれる前に…殺す!
「ギー…!」
ゴブリンは俺に向かって指を立て唇に当てる。まるで『静かに』と言っているように感じた。俺がそっと頷くと、ゴブリンはもう片方の腕で左を指差す。『こっちに行け』ってか?…
ゴブリンを信じるのはおかしいと思うが、そのゴブリンは他のゴブリンと違う何かを感じた。知性…理性?何かわからないが俺はそのままゴブリンを信じ、左から大回りしながら街に帰ることにした。
「何なんだ?あのゴブリン」
ゴブリンに言われた通り左に行くと、一切のモンスターに会うことなく森を抜けることができた。しかしなぜあのゴブリンの気配はわからなかったんだ?…
初めて別の場所から森を出たが、森を抜ければ畑が広がっており、見晴らしが良く街の城壁が確認出来る。
「さて、急ぐか…」
△
俺はかなり本気で走っていたのだが、息切れをすることもなく速度も変わらない…これもレベルアップのおかげか?景色がものすごい速さで流れていく
門まで数分で着くと、すぐに門番が声をかけてくる。
「誰だかと思ったら、お前か…どうかしたのか?」
「モンスターの集団が近くに来ている。かなりの数だな」
「なんだと!?あの森は強い魔物はいないが…集団となるとかなりまずいぞ?」
「そうだな。ギルドに報告してくる。」
「あ、ああ!それじゃあ、俺は農家の奴らが全員が戻り次第、閉門作業に移る。」
「わかった。」
俺はギルドに向かって走り、門番は門から出て畑に向かっていく。おいおい、お前は仕事が残って…まあ、いいか。
森から来たように全速力で走っていく。森だと全然速さがわからなかったが、街で走ると速度がわかる。普通自動車くらいあるんじゃないか?多くの馬車を追い抜いていく。しばらく走っているとすぐにギルドのついた。そろそろ速度を落とそうとしたが、どうやら勢いが止められないようだ…こ、これはまずい…
俺はそのままギルドに突撃し、ギルドの壁にぶつかってようやく止まった。
「何事だっ!」
ギルドの中では、多くの冒険者が身構えていた。俺はそっとあたりを見渡した後、受付嬢の元に向かう。受付嬢はもの引きつった顔で俺を見てくる
「はぁはぁ…ギルマスはいるか」
「わ、私なら…っここだが?」
みると、受付の奥の扉から顔を出しているテューガがいた。受付嬢はすぐさまテューガの方向を指差す。
「少し話がある」
「わかった。奥に」
ギルド内にいた全員が俺を睨むが、俺はそのままテューガのあとを追ってギルドの奥に向かう。向かうのはもちろんテューガの部屋だ。俺はソファーに腰掛ける、
「それでどうしたんだ?」
「森で多くのモンスターが集団になっていた。ここに来ることはないか?」
「なんだと?…それは…」
「どうするんだ?籠るのか?」
「いや、籠るのもいいんだが、この街の特産の蜜草に大打撃だ。冒険者を集めて戦った方がいいだろう」
「そうか、わかった。俺もできるだけ協力はするつもりだ」
「当たり前だ。では、待っていてくれ」
そういうとテューガは部屋から出て行った。俺は発注の画面を見ながら戦闘に使えそうなものを探していく。正直銃を乱射しておけば勝てそうなものだが…もしグラスに銃がバレたら余計面倒になりそうな気がするのであまり使うのはやめておこう。それにこの世界で銃が存在している可能性もある。俺が銃を持っているのがバレて厄介なことになる可能性もある。
「待たせたな、今グラスさんに連絡した。それと、この街の領主様とこの街にいるランクAのハンター二人を呼んだ。緊急で呼んだことだし、すぐに来るだろう…ボルトくんに報告してもらう」
「え?俺が!?」
「当たり前だろう?領主様は呑気な方だから、あまり気をつかわなくていい。問題は…二人のハンターなんだが…ちょいと、難があってな」
「難ですか…まあ、構わないけど」
「…お!これは多分グラスさんだな…」
テューガがそういうと同時に部屋の扉が開けられた。そこにはゴツイ顔に全身真っ黒な服な服装のグラスさんが立ってたい。走ったのか若干息が荒い
「おう、連絡があって飛んできたが、どうかしたのか?」
「グラスさん!わざわざ、申し訳ないです。まあ、とりあえずおすわりください」
「おう、ん?ボルトがなんでここにいるんだ?」
「彼に報告していただくので」
「そうか」
そういうと、グラスは俺の隣に座る。