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10年後の・・
作者:榛原藍
一応読みきりです。皆さんの反応で続けたいと思います。
 皆さん、僕のことは知ってらっしゃいますよね?円谷光彦です。僕らはこの春、高校2年生になりました!僕は名門校に行けと両親に言われていたのだけれど、僕はそれを断り、ここ帝丹高校に去年入学しました。理由はもちろん、友達のためです。幼稚園のころからの友達の小嶋元太君。昔からの食いしん坊です。でも、彼のお気楽なところや、常識にとらわれない発想は変な意味ですが尊敬しています!そして同じく幼稚園のころからの友達、吉田歩美ちゃん。実は、ずっと好きでした!元気がよくって、可愛くて。それは今も変わりません。小学校からの友達、江戸川コナン君。推理力、行動力、運動神経、ルックス・・・正直、羨ましいくらい完璧な人です。歩美ちゃんは彼のことが好きで、嫉妬もしていたのですが、彼はいざというときすごい頼りになって、尊敬している人物です。そして同じく小学校からの友達の灰原哀さん。頭脳明晰で、博学多才でミステリアスで、大人の雰囲気がして・・憧れの女性でした。最初はツンツンしてて、好きになれそうになかったのですが、いつの間にか気になっていて、二股みたいで嫌だなぁって思ってました。でも、そんな彼女も、素直じゃないからあまり表に出しませんが、コナン君のことが好きだとわかり、またも嫉妬してしまいました。
 そんなみんなと離れたくなくて、僕はみんなと同じ高校に進学しました。これは、僕たちが高校性になって2年目のお話です・・・。

 4月8日、帝丹高校始業式から数時間後・・・・。
「また一緒ですねぇ、元太君、歩美ちゃん!」
「おう!腐れ縁だなぁ、、光彦!」
「なんかもう、先生に仕組まれてるみたいだよね」
 3人の元気の良い声が、教室に響く。それもそのはず、元少年探偵団の面々は、まるで神様の悪戯かと思うほどに、小学校から高校まで同じクラスだった。
「あれ、コナンと灰原がいねぇなぁ」
 がっしりした体形になった元太が、キョロキョロと辺りを見回す。
「また事件じゃない?去年も遅刻とか欠席多かったし」
「去年はあの2人、出席日数ギリギリでしたからね・・」
 高校に上がってすぐ、コナンは時々高校生探偵として活動していた。哀も、想いからなのか、自ら助手を引き受け、コナンと行動を共にしている。授業を受ける回数は元太たちよりはるかに少ないのに、成績はダブルトップという並はずれた記録を残している。
「最近じゃあ、【工藤新一の再来】って呼ばれてますもんね、コナン君」
「ああ、そーいや新聞の一面になってたなぁ」
 元太が思いだすようにして言った。
「でも、だからって新学期初日から休むなんてねぇ」
 歩美が呆れたように言う。
「今日はもう休みじゃねーか?あいつら。もうすぐ終わっちまうぜ?」
 と、元太が言った瞬間、教室のドアを噂の2人が通り抜けてきた。既に眼鏡を外し、身長も高くなったコナンと、変わらない雰囲気を漂わせいる哀。
「よお、おめーら。また同じクラスだな」
 ふぁ・・とあくびをしながらコナンが言う。その後ろでは、同様に哀もあくびをしていた。
「おう、もう腐れ縁だな」
 元太がコナンに笑いかける。
「ホント、学校側が裏から手をまわしてるって感じよね・・」
 眠そうに、哀が言った。
「2人とも、どうしたんですか?ずいぶん眠そうですけど」
「寝不足?」
 光彦と歩美が、心配そうに声をかけた。
「ああ・・まあ・・うん、昨日、アメリカから返ってきたばっかでよォ・・」
 うんっとコナンが伸びをする。
「アメリカぁ!?」
 元太の素っ頓狂な声が響いた。それで、話に夢中だった周りの生徒がコナンと哀の登校に気付く。
「灰原さんも?」
「ええ、仕方ないでしょ?私は彼の相棒だから」
 ねぇ?と哀が確認するようにコナンを見ると、コナンはまぁな、と答えて見せた。
「助手じゃなくて、相棒?」
「そう、助手なんかよりも親密な・・・ね?」
「変な言い方よせよ、誤解招くから」
 そう言うコナンの後ろから、男子生徒達が現れる。
「よっ!夫婦そろって海外旅行の次は登校・・・バラ色人生だねぇ」
 なんとなく、10年前にこの学年だった連中に似ている気がする。
「うっせーっての!海外旅行じゃなくて事件だ事件!依頼が来たんだよ!」
 鬱陶しそうにするコナンの横で、哀がクスリと笑った。
「ねぇ、哀ちゃん。事件が終わったんなら、しばらくは学校来れるんだよね?」
 歩美が哀の顔を覗き込むようにして言った。
「さあ、どうかしら。それは彼の気分次第じゃない?」
 哀は歩美に微笑みかけると、私の席はどこ?と尋ねた。
「ほんで?探偵クラブの方はどうなんだ?」
 コナンが元太に尋ねた。
「おう、お前が事件解決して新聞に乗ってくれたおかげで、オレ達探偵クラブも人気急上昇!遺失物届より先に俺たちのところへ依頼してくるようになって、まだ手をつけてない依頼もたくさんあるぜ」
「へぇ、よかったじゃねぇか。今までまともに活動できてなかったもんな」
「そういえばコナン君、今すごい人気みたいですね。“工藤新一の再来”って呼ばれてるんでしょう?」
 光彦がコナンに詰め寄る。
(その工藤新一が、江戸川君なのにね)
 クスリと哀が小さく笑った。
「あ?ああ、まあな」
 どちらも自分を指す単語なのでどちらを誇ることもできず、曖昧に頷いた。そこでチャイムが鳴り、休憩時間の終了を告げ、瞬く間に時は流れて放課後になった。
「久しぶりだよね、哀ちゃんとこうして歩くの」
 イチョウの並木道を歩きながら歩美が言った。
「そうね、春休みを挟んで、その前は事件事件で、最後はかなり前になるわね」
 哀も懐かしそうに天を仰ぐ。しかしその視線は、少し前を同様に歩くいつもの3人の中の1人に注がれている。歩美はその視線を追うと、残念そうな表情になった。
「哀ちゃんはいいよねぇ」
「え?」
 ポカンとした表情を歩美に向ける。
「だって、いつもコナン君と一緒にいられるんだもん」
 なんだそんな理由か、と哀はほっと息を吐いた。
「一緒って言っても、所詮は事件が絡んでの関係よ?あなたが想像しているような、ロマンチックな関係じゃないから。気にしないでくれる?」
 10年前、見知らぬ館に泊まることになったときのように、哀があしらう。
「それでも羨ましいよ。哀ちゃんが」
 刺すような視線を、横顔に感じた。
「良い機会じゃない」
 唐突に、哀が口を開いた。
「え?」
「彼、アメリカでの事件で疲れ切ってるから、しばらくはココに留まろうとするはずよ。その間に、告白なり何なりした方がいいと思うわ。これを逃せば、またどうなるかわからないんだもの」
 哀がにっこりとほほ笑んだ。
「・・・いいの?」
「なにが?」
「コナン君に告白しちゃっても」
「っ・・・別に構わないわ」
 一瞬哀が息をのむのを、歩美の耳は聞いていた。すると、歩美は突然にこにこ・・ニヤニヤと笑いはじめた。
「・・・なに?」
「やっぱり嫌なんだね」
「ッ」
 わかりやすくなった。そう、歩美は思うのだ。10年前のポーカーフェイスと違い、徐々に表情豊かになってきている哀に、良い傾向だと。
「・・・・どうやら、隠し通せなさそうね」
 やれやれとでも言いたげに、ため息をつく。
「隠し通せると思ったの?小学校の時からなんとなく気付いてたけど」
 瞬間、哀は目を見開いてカーッと頬が夕陽色に染まっていった。
「おい、灰原。目暮警部から連絡来たから、行くぞ」
 だるそうにコナンが哀に言った。
「えっ、ええ」
 頬を染める赤は、夕陽のおかげで目立たなかった。
「コナン!灰原!がんばれよ!」
「明日はちゃんと定刻に学校へ来るんですよ!」
「またね哀ちゃん!コナン君!」
 背後からする声に、コナンは振り向き、笑顔をたたえる。
「おう!また明日な!」
 ここでの別れを境に、自分たちは江戸川コナンと灰原哀ではなく、工藤新一と宮野志保の関係になる。そんなことを思いながら、哀はかつて、太陽の断末魔と比喩した夕日を眺めた。
コ哀or新志で短編・中篇・長編に挑戦します。ご期待ください。
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