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残酷な真実の果てに・・・

作者: 忍龍

心を広く持って下さい、真に受けたら負けです、さらっと流す感じで頼みます、乙女の皆さんごめんなさい

パチン、パチン、と保健室にホチキスの音が響く

いくつかの印刷物の山から一枚ずつプリントを取り、纏めたものをホチキスで留める、この繰り返し



「あ~…だりぃ~……」


「だるいのはあたしも同じ、早く終わらせないと帰りがとんどん遅くなるじゃん

 口より手ぇ動かしてよ、手っ!」


「あいよ~」



保健委員として仕事を頼まれ、早一時間

作業はざっと見たところ三分の二終わっていて、わりとはかどってはいるんだけど、窓の外がほんのり茜色に染まり始めると、やっぱり気持ちは焦ってくる



「あ、あれ佐々木と石森カップルじゃん?」


「え、どこどこ?

 あ、ほんとだ、夕暮れのカップルって絵になる~」


「しかも学区一の美男美女カップルだしな」


「あ~、いいなぁ…

 生まれ変わったら美人になりたい」


「オレもオレもっ、モテてぇーマジで」


「ま、あたしら並だもんね」


「並って言うなよ里中、牛丼みたいだろ」


「ま、所詮儚い夢ってことですわよ山村サン、さっさと終わらせよー

 よーし、後30分以内に終わったら明日は購買のスペシャルフルーツサンドが手に入る!」


「お、昔よくやったわソレ

 じゃオレは30分以内に終わったら晩飯はカツカレー!」



子供の頃によくやった、バスケットで一発でゴール決められなかったらオレ死ぬとか

入ったら復活、とか 次入ったらさっきの帳消し、とか

そんな一人遊びを持ち出してラストスパートを掛ける


そして…



「30分以内に終わったら、成績アップ!」


「玉の輿!」


「美形になれる!」


「「っし、終わったー!!!」」



その瞬間



ピカァァァアアアアアアアッッ!!



「ぅわ眩し!!」


「なにこれっ」



強烈な光があたしたちを包み世界は一度、そこで途切れた












*** *** ***











「……はぁ」



ヤツがアンニュイなため息をつくと、そこかしこでキャーと黄色い声が上がる



「ちょっと、やめてよ」


「んなこと言ったってお前……」



あたしもつられて出そうになったため息を呑み込む



あの強烈な光の後、あたしは何故だか赤ん坊になっていた

よく見えないけどすぐ隣には、時折触れる感触から察するに多分あたしと同じような赤ん坊が一緒に寝ていて

周囲の大人たちの会話で、その子があたしの双子の兄弟だということと、あたし達はとある国の王子王女だということを知った


会話を聞く感じでは、その赤ん坊はかなり容姿が整っていることが分かる

となれば、当然、双子であるあたしも周囲の反応からそっくりであることが分かって相当将来有望な顔に生まれたんだという結論に達し、うはうはというかなんというか

とてもはしゃいだのを覚えている



……しかし



しかし、それもつかの間で、なんだか兄弟の様子がおかしいことにも気付いた

なんていうか…そう…赤ん坊らしくない…っていうの?


喋れるようになるまでぐっと我慢して、記念すべきあたしの第一声はコレだった



「あんたましゃかやまむりゃ?」


「そうゆーおみゃえはさとにゃかか?」



双子の兄弟は、クラスメートにして委員仲間の山村だった……


まぁ、別にこいつが双子の兄弟でもいいわよ

だって夢の美形だもん!


なんてお互い考えてたけど、甘かった


あたし達はお互いの様子や周囲の様子を伺うことに必死で、ある問題に気付いていなかった

その、ある問題とは



「だから、やめてって言ってるでしょそれ!」


「無茶言うなよ、勝手に出るんだからよっ」



漫画とかで、ほら

背後にシャボン玉みたいな背景描写とか、可憐な花とか、でるでしょ?

アレよ、アレ!


ざわざわと不気味とも思える透き通るような美しい白薔薇が山村の背後で生えた


唐突に


キモッ!




しかも




「だってよぉ、落ち込むだろ?

 オレら17年もトイレ行ってないんだぜ?」


「口に出して言わないでよ、余計滅入るでしょ!」



そう、トイレに行かない…っていうか、行けない…

美形はトイレ行かないって、そんな漫画じゃあるまいし…

そうは思うけど、この17年、行きたくなったことすらない


鼻とかは、穴はあるけど毛は無いし…

山村の話ではスネ毛もヒゲも生えてこないらしい…



「オレら、人間じゃねぇのかな?

 飯は食うのに、出ないなんて…」


「……。」


「おい、何で黙んだよ…おい?」


「……。」



あたしは、ヤツからそっと眼を逸らした



「…まさか、何か気付いたのか?」


「……。」


「おい、教えろよ!」


「…そんなに知りたいの?」


「あたりまえだろ!」


「後悔しない…?」


「するわけねぇだろ! 勿体つけないで早く教えろよ!!」



あたしは、ティーカップから紅茶を一口飲んで、長いため息をついた



「あたしらって、ほら…」


「うん?」


「色々出るじゃない?」


「あ?、ああ、花とか妙な空気とかな」


「それじゃないかなー…って」


「は?」


「いや、だからさ……

 ご飯とか食べた分、花とか妙な空気として"排泄"されてるんじゃないかな、って……」




……。



……。



……。




「…え…それってウン……ッ」




最後まで言えずに青ざめたヤツを見て思った

流石に驚愕に青褪める顔も美しいな、こいつ


とか冷静に眺めてる時点であたしもダメだなこりゃ



「え、だ、おまっ、ウ、ウン○だとぉぉおおおオオオオ゛オ゛オ゛ッッ?!」



美形なのにウン○とか叫んだ山村は、この世界の王族の平均寿命530年をウン○王子と影で呼ばれてすごすことになる

いや、即位しても王子なのかよ、とか<突っ込むところはソコかよ

色々力尽きた感が否めませんが、ご容赦下さいな


とりあえず雪融けはやっと入れておいた矛盾に触れました、もうちょっともうちょっと、頑張れ自分!!

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