【15話(閑話)】 “その頃の幼稚園…”
おともだちの“陶哉くん”と“和史くん”と“聖くん”といっしょに、すなばで○○レンジャーごっこをして遊んでると、おんなじひまわり組の“真奈美ちゃん”がやってきた。
「ひかるくん!」
ん?
「なに?」
あそんでいたのをやめてへんじをすると、真奈美ちゃんがまわりをきょろきょろみてから、ぼくにひそひそばなしをした。
「あのね、ひかるくんにおはなしがあるの。」
はなし?
…はぁ…。
きょうは、ないとおもってたのに。
「なんのはなし?」
しってるけど、いつもみたいにしらないふりできいたら、真奈美ちゃんは『いいからきて!』っていって、ぼくの手をひっぱった。
「わっ!いたいよ!ぼく、いま○○レンジャーごっこのとちゅうなんだよ〜〜!」
「そんなのいいからきて!」
そういった真奈美ちゃんは、ぐいぐいぼくの手をひっぱって、どっかへつれていく。
でもぼくはしってる。
いっつもつれていかれるのは、おゆうぎしつなんだ。
たまには、ちがうところにしたらいいのに…ってぼくはおもう。
おんなって、なんでみんなこうなんだろう。
そういえば、パパがいってた。『ママいがいのおんなのあいては、すごくつかれる』って。
ぼくもさいきん、パパのきもちがちょっとわかる。
真奈美ちゃんにずるずるひっぱられるぼくをみて、陶哉くんたちがいつもみたいにぼくへこえをかけた。
「はやくかえってこいよな〜、ひかる〜」
「おぉ〜!すぐくるからあそんでて〜」
「りょーかい!」
ぼくのへんじに“ぴーす”していった陶哉くんは、いつもみたいにぼくぬきで○○レンジャーごっこをはじめた。
◆
真奈美ちゃんにひっぱられてつれていかれたのは、やっぱりおゆうぎしつ。
「まなみちゃん、はなしってなに?ぼく、はやく○○レンジャーごっこのつづきしたいんだけど。」
はやくあそびにいきたくて真奈美ちゃんにきくと、真奈美ちゃんはまわりをきょろきょろみてからぼくをみた。
「あのね…、ひかるくん、いますきなこいる?…もしいなかったら…あたしと…」
…やっぱりそのはなしか。
なんかもう、いっつもへんじするのつかれた。
「わるいけど、ぼく、“おんなのこのみ”うるさいほうなんだよね。おあそびおんなならいいけど、つきあうのはごめんだね。じゃ。」
パパにおしえてもらったことばをいってからいこうとしたのを、真奈美ちゃんにつかまれてとめられた。
「まって!じゃあ、ひかるくんの“このみのおんな”って、たとえばどんなひと??おしえて!あたし、がんばってひかるくんの“このみのおんな”になるから!」
へ?
ぼくのこのみのおんな?
「ママみたいなひとかな。」
だってママは、ぼくのいちばんだいすきなひとなんだ♪
きれいで、やさしくて、いつもいいにおいがする♪
でも、ママはすごくなきむしなんだ。
ぼくはしってる。
ずーっとずーっとまえ、ぼくがまだママのおなかのなかにいたとき、ママはぼくにいったんだ。
『ごめんね、輝。産んであげられないかも知れない。ごめんね。』って。
いっぱいいっぱいないて、ぼくにいったんだ。
ほかのことはおぼえてないけど、そのことだけはちゃんとおぼえてる。
だからぼくは、なきむしなママにいった。『ママなかないで。』『ぼくはママにあいたいよ。』『ぼくがママをまもってあげるから。』って。
でもママは、ぼくがうまれたときに、またないていた。
だからぼくはきめたんだ。
パパがいないときは、ぼくがママをまもってあげるんだ!って。
で、おおきくなったら、ぼくはママとけっこんするんだ!って。
へへへ。
「ひかるくんのママ…みたいな…ひと…。…あたしにはむりだ…。だってひかるくんのママ、すごいびじんだし…。」
くちびるをきゅーってかんだ真奈美ちゃんは、そういってなきそうなかおしておゆうぎしつをでていった。
ふぅ。
これでやっと○○レンジャーごっこができる♪
はやくいかなきゃ!
パタパタはしっておゆうぎしつをでたら、いりぐちでせんせいにつかまった。
「わっ!」
「輝くん、ちょっといいかしら。」
「なに?ぼく、いまから○○レンジャーごっこしにいくんだけど。」
せんせいにつかまれたままきくと、せんせいは『ちょっと、大事なお話があるの。』ってしかいわなかった。
うぅ〜。
「そのおはなし、はやくおわる?」
なんだよぉ、ぼくははやくあそびたいのにぃ。
「うん、すぐ終わる。だからちょっと先生とお話しよう。」
わらっていったせんせいは、そのままぼくをきょうしつにつれていった。
「せんせい、なに?おはなしって。」
いすにすわって、あしをぶらぶらしながらきくと、せんせいはまっすぐじっとぼくをみた。
「あのね、輝くん、前々から言おうと思ってたんだけど、いつも女の子に使ってる言葉…、あんなの何処で誰に教わってくるの?輝くんは、まだ4歳なのよ?そんな大人びた言葉使っちゃいけません。」
ぼくのかたをつかんでいったせんせいは、こわいかおをした。
「なんで?『すきじゃないこが『すき』っていってきたら、そういいなさい』ってパパはいったよ??」
ぼくにとって、パパはせんせいよりもせんせいなんだ。
いっぱいいろんなことおしえてくれるもん。
それに、ぼくのパパはちょーカッコいい!
だからぼくも、おおきくなったらパパみたいになるんだ♪
「いくらパパがそう言っても、使っちゃダメです!!輝くんの使ってる言葉は、4歳の子が使う言葉じゃないの!」
キーッてめをさんかくにしておこったせんせいは、“ぎんのじじ”んちにいったときにあった、ぼくをいじめた“あのくそじじー”とおんなじかお。
「せんせい、おこりっぽいおんなには、おとこがよってこないんだよ。だから“かれし”もできないんだって。りょーたがいってた。」
「なっ…、またそんな言葉を使う!!誰ですか!?そんなことを輝くんに教えた“りょーた”って人は!!」
キーキーおこるせんせいに『パパのともだち』っておしえてあげたら、せんせいはかおをまっかにしておこってた。
なんでそんなにおこるんだろ?
あっ!そっか、せんせい、“かれし”いないんだ。
な〜んだ。
りょーたのいってたとおりだ。
おこりっぽいおんなは、もてないんだ。
りょーた、すごいや。
やっぱりパパのともだちだ! |