最強の天使(13/27)PDFで表示縦書き表示RDF


今回は少し短めで…。
最強の天使
作:久條 要



【12話】 “お前だけは断固拒否!!”


 挙式3週間前―…。夜。
 子供たちが寝静まってから、ソファで紅茶を飲む月華に、声を抑えて話しかけた。
「月華、そろそろ招待する親戚を考えようよ。」
「あ、うん。そうだね。まず、うちの家族と拓海くんの家族は絶対参加でしょ。勿論、圭介くんと望くんにも来てもらわなくちゃ。あと、お爺様とお婆様も呼ばなくちゃ。お母さんの方のお爺様お婆様は、呼ばなくていいや。」
 え?
「何で?呼んであげればいいじゃん。それに俺、まだ奥様の方のお爺様とお婆様には会ったこと無いし。」
 そういや、結婚してから、この屋敷に奥様の両親が来たことって一度も無い…よな?
 何でだろう?
 普通、孫が結婚したら顔見に来るものじゃないのか?
 何ともあっさり言い切った月華に思わず突っ込みを入れると、苦笑いをされた。
 ほえ?何だ?
「あ〜〜…、あっちのお爺様とお婆様ね、私があんまり好きじゃないんだ。お兄ちゃんのこと悪く言うし。だってね、お兄ちゃんがどんなに頑張ってるか知りもしないで、『あの子は沢村の後継には相応しくない』とか言うんだよ?酷いでしょ??許せないよ、ほんっと!だから呼んであげない。お兄ちゃんのことを悪く言う人は大嫌い。」
 きっぱり言い切って紅茶を飲み干した彼女は、ぷりぷりとお怒りモード。
 月華…。
 そうだね…、君にとって悠斗は、最高に優しくてカッコいい兄貴だからね。
 でも俺から言わせると、悠斗って“スペシャル妹バカ”で“妹LOVE”で“鬼”で“悪魔”で“妖怪”で、“変な物収集癖(軍用ヘリとか戦闘機とか…)”があったりする実に困った奴だけどね…。
 はははっ。
「そっか。じゃあ、その辺は月華に任せるよ。他はどうする?俺は、川凪さんと由胡を呼びたいんだ。それと、千尋のところと涼太かな。」
「うん、賛成♪あ、じゃあ、惺さんも呼ぼうよ♪ダメ??」
 俺をぎゅっと掴んで聞く月華に『いいよ。』とOKすると、がばっと抱きつかれた。
「ほんと??ありがと〜、拓海くん。」
 はははっ。
 すっかり惺と本友達だからな、月華は。
 にしても、胸が当たって気持ちいい♪
 にへへ♪
「あ、そうそう!あとはね、おじ様や圭介くんたちと一緒に、亮二さんも呼びたいんだけどいいかな??」
 抱きついたまま更に笑顔で尋ねかけた月華に、俺はちゅっとキスをしてから答えを返した。
「うん、いいよ。あいつも月華のこと心配してたし。」
「ほんと?やったぁ!久しぶりに亮二さんに会える。元気かなぁ、亮二さん。」
「あぁ、元気だったよ。後輩への指導もばっちりだし。」
 にっと笑って教えると、月華はにこにこと笑みを浮かべた。
「そっかぁ、さすが亮二さんだね。私が下っ端生活してた時も、掃除や洗濯のこと優しく教えてくれたもん。ふふふっ。」
「うん、そうだったね。あ、それはそうと、他はどうする?」
 思い出して話を戻すと、俺にくっついたままうーんと唸り頭を悩ませ始めた月華。
「ん〜〜…、どうしよう。お母さんの方のお爺様お婆様は呼ばないとしても、叔父さんたちは呼んだ方がいいかなぁ。…となると、大輝も呼ばなくちゃ…」
 ぴくっ。
 大輝だと…?
 あのクソガキか!?
 うぬぬぬぅ〜〜。
 忘れもしねえ、あの野郎。
「あいつだけは絶対却下!!死んでも却下!!」
 言いかけの月華を遮り断固拒否すると、『でも、叔父さんたちを呼んで大輝だけ呼ばないワケにいかないし…』と困った顔をされた。
 うぅ〜〜。
「それでも却下!!あいつだけは絶対拒否!」
 だって、また月華にベタベタくっつくのは目に見えてる!そんなことされてたまるか!
 がうぅ〜〜。
 う〜〜っと唸る俺を見上げて苦笑した月華は、ポリポリと頬を掻いた。とその時―…月華のケータイが鳴り出した。
 むむっ。嫌な予感が…。
「誰だろ?」
 俺から離れテーブルの上に置きっ放しのケータイを掴んだ月華は、『あっ…』と声を漏らしたあと、『大輝だ』と苦笑いで呟いた。
 うがっ!あの野郎〜〜!何でこんなタイミングがいいんだ!!
 うむむぅぅ〜〜、何処かに盗聴器でも仕掛けてやがるんじゃ!?
 うきーっと怒りながら辺りを窺い盗聴器を探す俺を見て苦笑いをした月華は、そのまま電話に出て話を始めた。
「大輝どうしたの?こんな時間に。…え?…あ、うん。あ〜〜…はははっ。そうなんだ?…うん、身内だけでしようと思ってね。…そうそう、お互いの親兄弟だけ呼ぼうかって話をしてるの。籍入れてもう何年も経ってるしね。…え゛っ!!…それは…う〜…、拓海くんにも相談してからまたメールするよ。…うん、ごめんね。じゃあおやすみ。」
 電話を切ってからはぁっと大きな溜め息とともにうな垂れた月華。
「あの野郎なんだって?」
 むっとしながら尋ねると、『うちのお母さんから連絡が行ったみたいでね、大輝も参加したいって…』と苦笑まじりに告げた月華。
 なぬっ!!
 やっぱり参加希望の話か!
 そうはさせるか!
「月華、ケータイ貸して。俺がメール送ってやる。」
「えっ、ちょ、ちょっと、拓海くんっ」
 月華が手にしていたケータイを奪い取り…大輝のメアドを表示させると、早速奴に一言お断りのメールを送ることに。

『お前だけは断固拒否だ!!By悠斗』

 ひひひっ。これでどうだ。
 いくらあのクソ生意気なガキでも、恐ろしい悠斗には反抗出来まい。
 ピッとメールを送って数分後、送り返されて来た返事を見ると、そこには…『悠兄ちゃんが怖いから、後日お祝いにだけ行くよ。』と書いてあった。
 うひゃひゃひゃ。
 バカめ、簡単に引っかかってやんの。ざまあみろ、クソガキめ。
「た、拓海くん…やり方が子供だよ。大輝がお兄ちゃんのこと怖がってるの知ってて嫌がらせメール送るなんて…。ちょっと大輝が可哀想。」
「何が可哀想なもんか。俺と月華のラブラブ挙式をぶち壊されるよりは、ずーっと可愛い嫌がらせだぜ。けっけっけっけ…」
 苦笑まじりに言う月華へあっさりきっぱり返し、高笑いをしながらご機嫌にソファへもたれると、隣りで彼女は『あはははっ。ま、まぁ、そうとも言うけど…』と更に苦笑を零していた―…。
 はぁ〜、スッキリした♪
 でも、まだ苛め足りないな。
 よし、今度からこの方法であいつを苛めてやろうっと♪…いや、もっと違う方法がいいかな?
 どっちにしても、これからが楽しみだぜ。
 うけけけっ。
 
 今頃家で暗い空気を漂わせてる大輝とは逆に、俺はひとり超〜ハイテンションだった。












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