第15章 措置入院
坂田先生、昨日措置入院で入院された患者さんのカルテを出しておきます。
救急集中治療部から、精神科に転科になりました。
うむ。
高木は事務的に坂田に言った。
坂田がカルテをみて目を丸くしたのは、この患者が以前スーパーで働いていたことで
そこがこの間、診た患者が働いていたところだったことからだ。
あの時そういえば、この患者のことを言っていたのかもしれない。
閉鎖に今は入ってるのか?医長はどう指示したのだ?
医長先生は一応閉鎖に入ってもらってその後、坂田先生に診察指示を仰ぐようにと。
ということは人格障害の疑いなのかな?・・統合失調なら医長が診るだろうし。
かもしれませんが、私には判断つきません。
そうだったな・・君は精神科医ではなかったもんな、ちょっと閉鎖に行って来る。
はい、わかりました。
閉鎖病棟は開放と違って、他の病棟とは隔離されている空間だ。
精神的な病状が重いというより、危害を加えたりする可能性があったり、治療の必要上、他の患者との接触をしないほうがいいと判断した場合に入ることになる。
閉鎖病棟はすべての病室はカメラで監視されている。
もちろん廊下もだ。
病室にはいると、あきらが一人でぼんやり窓を見ていた。
あきら・・君だね?
はい・・あなたは?ここの医師ですか?
そうです。名前を坂田といいます。
坂田先生ですか・・
君は以前、スーパーで働いていたね?
はい。そうですが・・
やはり君か・・
なにか?あるんですか?
いやね。ちょっと聞きたいのだけどいい?
はい。
今回ここに入院した理由について、自分ではどうしてなのかわかってるの?
はい。わかってます。
乱暴したからでしょ?
そうそう。それが一番。
でも2番もある。
どういうことですか?
一番の理由だけなら、君は病院に来ることはない。おそらく留置所だ。
でしょうねぇ・・
ここは精神科の閉鎖病棟。・・つまり社会からは隔離された社会だ。
はい。それはわかります。救急部から転科するときに聞きました。
ここに入るのはそれなりの理由があるし、その治療のためにはいったわけだ。
だから治療には君の協力が必要だ。
そりゃ聞かれたことにはなんでもこたえますよ。
うむ・・それじゃ今までのいきさつを教えてほしい。なにせこちらはなんのデータも持ち合わせていないのだからな。
あきらは今までのいきさつをすべて話した。
その上で、自分に治療が本当に必要なのか疑問だとも坂田に言った。
今回はこれだけの事件になった。相手は全治2週間だ。
これは立派な傷害事件なんだよ。
治療の必要がないわけないじゃない?
今日のところは疲れただろうからまた明日来るから。
はい・・
坂田は悩んだ。
やはり病認識はまったくない。
弓子と同じだ。
罪悪感もない。
フェチのニュータイプといえる。
過去のフェチシズムはどういう形にしろ、人と違うという後ろめたさをもちつつ生きていた。
しかし病認識がないところで立派な人格障害といえる。
しかし、統合失調との違いはきわどい。
あきらの場合は、正常生活に及ぼす影響が出始めていることから統合失調の可能性もはらんできていた。
やはり進行している。・・・坂田は確信していた。
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