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四幕、任務開始だ
今俺達はある森の中にいる。

鬱蒼と繁るような、そうでないような、微妙な森だ。森と言うかただ木が多いだけのごつごつした場所ともいえるんだが、とにかくそこが目的地なのだ。

「しっかし原住民からの依頼ってこれ誰か話せる?」

「私は一応共和国内の言語は全て話せるが…どこかの原住民となると詳しい言語がわからん」

そう、今回の任務はある国の原住民からの依頼だ。今はその部族の村に向かっているわけだが、いかんせん原住民とは独自の文化を保っている場合が多いので、話が通じるかどうかわからないのだ。

「でも任務を依頼できたんですから、誰かが共和国語を話せるのではないでしょうか?」

「あぁ、おそらくはな」

ロメオの言う通り、確かに任務が発行されたのだから依頼した者がいるはずなのだが…

共和国語、というのは共和国内でいくつか流用される言語全般を意味する。もしそのうちのどれかの言語を知っていればルーファスが対応してくれるだろう。

「まぁ会ってみんとわからんわな」

それがもっとも、と俺達は頷いて進むジンに続く。

ジンは部隊長だ。大低は基本的に一番経験の深い者が部隊長となる。そしてジンもそれに慣れているようで、リーダーとして申し分ない指揮をとっている。

「おーいK早くしろよ」

「む、す、すまん…」

…実はさっきから俺は隊の後ろを必死に着いていっている。

なにせ地形がごつごつとして起伏が激しいのだ。この中で一番重装備の俺は一番進行が遅い。鎧が嵩張って岩を登ったりするのが困難なのだ。

「よいしょ…」

「…………」

やっとみんなに追い付く。…ん?何か視線を感じる。

「ひ弱だな」

「が、がんばりましょうKさん!僕もがんばりますから!」

………むぅ、このままではいかん。完全に足手まといだ。というか既に暗黒騎士の面目丸潰れだ。

「す、すまない……」

「ま気にすんな。Kが一番きついんだから」

ジンは俺の苦労を知っている。こいつがリーダーでなければ俺は置いていかれているだろうな…

『ハヴォオサケヌビカチ!!』

「!?」

って突然奇声が!なんだ!?

『フヌカラ、ケケブリョカ?テレテロト?』

「………」

岩場の向こうの木の下で、上裸の色黒男が叫んでいた。

一発でわかるコテコテの原住民だ。

「……あれか?」

「さぁ。まぁ行ってみよか」

俺達はその男に近づいていった。

『フヌカラ、ケケブリョカ?』

「ごめん、理解できん」

ジンが謝るような仕種で男に伝える。…うん、ルーファスにも理解出来ていないようだ。

男はその様子を見て言葉が通じないとわかったのか、うんうんと頷いて歩き出した。

「お、通じた」

「案内してくれるみたいですね」

俺達はその男を追っていった。

…………。

あ、もちろん俺がまた遅れまくったのは秘密だ…



しばらくして俺達は原住民の村についた。

さっきの男は村に入ると、別の男を呼び出して来た。

『ヌビレニョ、アワアワナ』

『パオ。クレニャジョニア』

何言ってるのか全くわからん。何か俺達を指差して話しているようだ。

と思うとさっきの男はどこかへ行ってしまい、呼び出されて来た男が俺達の方を向いた。

「……こんにちは」

「うわっ!」

いきなりその男が流暢に話し出したので、ジンがあからさまに驚いた。俺もびっくりした。

「通訳か?」

「はい。通訳です」

あ、成る程。

ルーファスが前に一歩出て男と話し出した。

「任務を受けてきた兵団の者だ。ジン、確認を」

「あ、はいはい」

ジンは気付いたように懐から任務の要項を取り出し、男に手渡した。

…手際のよさはルーファスの方が上かも。

「…はい、確認しました。兵団の人ですね」

「任務は近年急増殖したスチールドラゴンの退治。間違いないな」

「はい。間違いないです。私達ドラゴンと生きてきました。しかし最近急に数が増えました。私達困っています」

どうでもいいがこの男もコテコテの原住民の通訳だな、喋り方が。

「わかった。スチールドラゴンは我々が駆除する」

「はい。でも全部は殺さないで下さい。ドラゴンは友達だから」

「と、友達……」

その言葉にロメオが怯え、ルーファスはただ了承した。

男は頭を下げて続ける。

「この村の先の岩壁でドラゴン増え続けています。何か原因があります」

「岩壁ね。よし、じゃ行くベ」

場所を聞いた瞬間ジンが出発した。相変わらず気が早い。

が、ルーファスはまだ少し話そうとした。

「原因とはなんだ?」

「わかりません。でも今までこんなことなかった」

「何か、最近変わったことは?」

「ん〜…………あ、ありました!」

通訳の男は何か思い出したようだ。

「この前、森にとても大きなドラゴンがいました。普通のドラゴンとは違いました。あれ、きっと森の神様だと思います」

ちなみに、スチールドラゴンとはさほど大型ではない。大きさでいえば大の大人と同じ程度が普通だ。

「大きなドラゴン………か」

「森の神様……?」

ロメオは神という言葉に反応したようだ。わかりやすい白魔導士だ。

「…わかった。増殖は止めて見せよう」

「ありがとう。…村の戦士、たくさんドラゴンと立ち向かって死んだ。気をつけて」

ルーファスは頷くと、すぐに踵を返してジンの後を追った。

神か…よくわからんが、行ってみるしかあるまい。俺もロメオと共にそれに続く。

………
ん?

『『『パラカッケオーニチャ!!クークラベルボケェアホォ!!』』』

「…………」

いつのまにか村人が総出で俺達を見送っていた。

うむ、これぞ兵団の勇ましい姿だ。俺達は甘んじてそれに手を振り返しながら、ドラゴン討伐にむかったのだった。

……ていうか、なんか最後の節が罵声に聞こえたんだが。気のせいか。うん、気のせいだ。



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