三幕、Kのこととか
俺が暗黒騎士になった理由。
ぶっちゃけ言うと、それは単に家系だ。
「あのディヴィルの一族などと…尚更信じ難いな」
「デ、ディヴィルと言えば名の知れた暗黒騎士ではないですか!」
「でもマジよマジ。へちょいけどKはちゃんと暗黒騎士なんだから」
……だから、こいつらが信じようとしないのもまぁ、頷けなくはないのだが…
「まぁ…その甲冑は本物だが」
「僕も、最初Kさんを見たときはちょっと怖かったです」
…それは何か。今は怖くもなんともないという事か。
「…俺は暗黒騎士だ」
「オーラないけどね」
「私が以前見た暗黒騎士はもっと邪悪だった」
「Kさんは、優しそうですよね」
………
何をどう説明すれば信じるんだこいつらは…。さっき会ってからずっと説明していたというのに全く俺の威厳が伝わっていない。
任務にむかう前からこれでは暗黒騎士の名が廃る…
とりあえず、みんなには解ってもらえるよう、もう一度今から俺の暗黒騎士としての逸話を聞いてもらおう…
まず、暗黒騎士という存在についてだ。
俺も幾度となく言っているが、暗黒騎士とは闇に身を染め、負を源に強大な力を奮う恐ろしい存在だ。
はっきり言って、共和国で最強の戦士である。
魔法も使いこなし、凄まじい破壊力を持つ俺達はある一国の貴族から輩出される。
俺の名はケイヴォス=ゾ=ディヴィル。
そして父の名はゴルドラス=ザ=ディヴィルだ。はっきり言ってこの名を知らないものは共和国で数少ない。
父ゴルドラスは最強の暗黒騎士だ。暗黒騎士としても戦士としても、そして支配者としてもだ。
実は、ディヴィルとは俺の母国を治める一族の名なのだ。つまり俺は一国の王子であるといえる。いや、本当に。
その俺の国は『ジャシン』と言う(そのまんまとか言うな)。世界の暗黒騎士と呼ばれる者達は、皆ここから輩出されるのだ。
で、正に暗黒騎士が恐れられる所以がこのジャシンという国にある。
宗教的な理由もあるのだが……とにかくこの国で育った暗黒騎士達は、皆一様に冷酷に、狡猾に、残虐になるのだ。
だから暗黒騎士は普通恐れられる。今の俺のようではなく、誰もが畏敬の目で俺達を見る。
その、筈なのだ。
「まぁいい。この際……Kと言ったか?使い勝手のいい暗黒騎士の方が我々の危険も少ないだろう」
なのにルーファスといえばどうも完全に俺を見下しているらしい。以前会ったという別の暗黒騎士とのギャップもあるのだろう、まるで子供扱いだ。
ルーファスは黒魔導士だ。だが専門でないとはいえ、俺も暗黒騎士だから黒魔法は使えるし、本来は俺の方が上位にいるはずなのだが…
「あの…Kさん、がんばりましょうね!」
何故か安堵の笑みを浮かべるロメオは白魔導士。攻撃的な俺達とは相反する職だ。
男の白魔導士というのは貧弱なイメージがある。元来回復や補助を専門とするこの職は、普通女の就くものだからだ。
そしてロメオもその例外ではなく、イメージに当て嵌まる気弱な性格のようだ。
……一応、これらの設定は某ゲームのパクりであることは間違いないと言っておこう。
「うむ…そうだな、頑張ろう」
俺はそんなロメオに頷いて見せる。こいつは逆に怖がらなくてよかったかもしれない。下手をすると逃げてしまいそうだ。
ここで白魔導士がいなくなれば戦略的に厳しくなる。残る俺達三人は回復魔法を使えない。
「またぁー、そういうのは普通暗黒騎士ならシカトよシカト?」
ベテラン兵、武闘家ラ・ジンがいるので、全滅する心配もないとは思うが。
いや俺が役立たずというわけではないぞ。俺は新米だからな、自重だ。暗黒騎士は常に打算的なものなのだ。
「しかしジン、何度も言うが暗黒騎」
「んじゃKは暗黒騎士ってことだから、いきますよ」
…で、やっぱりジンは俺の騎士道を聞く気は全くないらしい。
ジンにルーファスとロメオも同調し、三人はさっさといってしまった。
残された俺は騎士道を語ろうと人差し指をたてたまま、間抜けに突っ立っていた。
「……ふぅ……」
なんか最近ため息が多い気がする。
…こんなんで暗黒騎士の王子は勤まらん。暗黒騎士たるもの、負を糧にして己が力とするのだ。しゃきっとせねば。
俺は死神の兜をガンガンと叩いた。
「……よし、行かねばな」
――俺についての詳しい事情は、後に節々で語る。ここではまだ言う必要はあるまい。
とにかくも、すっかり柔らかい印象がついた暗黒騎士の俺は任務にむかうのだ。そこで俺の真価を発揮して、あいつらの鼻をあかしてやろう。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。