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位置が高いほど魔力の濃い世界で、空の彼方に生まれました~航空機チートによる物流革命~ 作者:八針来夏

第三章『陰謀編』

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第四十六話『対策』

「な……」

 今まで主人であるフェズン公の傍で立っていたノザルス執事がワナワナと震えている。
 以前、あの金貨の価値を見抜いたこの主人に忠実な執事は……それが自分の歴史への探究心を満たす相手と思ったのか、目を輝かせている。
 しかしそんな配下の心情を知ってか知らずか、フェズン公は言う。

「……シオンのご母堂、師匠となると……やはり詮索は控えたほうがよろしいか?」
『できれば』
「そうか。……では一つだけお伺いしたい。シオンによれば、原因不明の船の炎上が古代王国時代に生み出された人造魔獣によるものだと言った。ならば……彼にその知識を教えたのは貴女なのか?」
『はい』
「……貴女は、古代王国人か?」
『……惜しいですね』

 その後ろではノザルス執事が興奮を隠せない様子であった。
 が……フェズン公は冷静に頷いたのみ。
 モモが言う。

『姿を見せもせず声だけを発し、そして自分を滅亡した歴史の生き残りだという怪しげな女の言葉を、信じてくださるおつもりですか?』
「……いやいや。正直な話、貴女の育てたシオン=クーカイという少年の常識外れっぷりを見ると、それぐらい突拍子のない生まれぐらいでちょうど良いと思ったし」
「……ねぇエクエス。僕そんなに常識ないかしら?」
「最初あった時から、シオンは常識なしでしたよ」

 エクエスの一刀両断な返答にショックを隠し切れない僕。
 そんな僕らを無視してフェズン公は会話を続ける。

「……それに我々は光獣(ラディアス)という怪物に対する有効な手立てを持たない」

 フェズン公は目に、冷静な怒りを滲ませる。

「わたしは戦争なら人が死ぬのは仕方ないと考える。だが光獣(ラディアス)が狙うのは、常に民間人だ。群島諸国から塩を輸送するだけの商人を狙って殺す。そういうのは戦闘ではなく殺戮と呼ぶべきで、わたしは弱いものを狙って殺す下種が大きらいで……だが残念なことに、そんな下種を追い詰める手段を持たない。
 だから……民間人への殺害を行う外道を処分できるなら、多少あやしい人でも手を組むし……」

 フェズン公は、少し笑って見せる。

「シオン=クーカイという性根の優しい少年を育てた女性なら、人を騙すようなまねはすまいと思ったのさ」
『フェズン=バルアミー公。あなたに感謝を。そして謝罪を……大昔の人が残した災厄の後始末を、貴方達に押し付けることになってしまい、誠に申し訳ありません。……シオン、地図を』
「うん」

 僕は通信機越しに聞こえるモモの言葉に頷いて、地図を広げる。
 連合で購入したものではない。僕が<ムーンボウ>から地上へと降下する際、手荷物の一つで用意していた、天蓋領域から撮影した高解像度の『地図』だ。
 隣でエクエスが『あれ? ……今あの地図の中に、我が連合を滅亡に導きかけた鉄道用トンネルの位置が記載されていたような?』と首を傾げていたが無視である。

『先日、ギュスターヴ氏が乗っていた飛行機械の撃墜位置から予測できる敵位置を中心に、コンパスの針を立ててください』
「うん」
『そこから半径4.5センチに円を描いてください。……それが、一晩で移動できる光獣(ラディアス)の行動範囲です』

 僕の描いた円を覗き込み、フェズン公は考え込む様子。

「意外と移動力はないな」
『視界すべてが射程距離とも言うべき光獣(ラディアス)は移動力は不必要と判断されているのです』

 そんな中、空軍の魔女(ヘクセ)でもあるエクエスが手を上げた。

「あの。義母さ、ひひゃん?! ……い、いえ、モモさん」

 エクエスめ、僕がわき腹を突いて誤魔化さなければモモの事を義母と呼びかねなかったぞ。

「そ、それでは……視界全てを射程距離とし、また強力な光学迷彩(クローク)で姿を隠す魔獣をどうやって倒せばよいのですか?」
『はい。エクエス=バルアミー嬢。貴女の使用する飛翔甲冑(メイル)白銀嶺(シルバービュー)というのは本当ですか』
「ええ、我がバルアミー公爵家に神君デュナンナータ公が下賜された、古代王国期の逸品です」

 エクエスの言葉に、モモは少しの間沈黙する。
 不意に出た、デュナンナータという名前。モモが何百年も昔に育て上げた少年が――まるで過去の歴史書に出てくるかのように語られることが、どこか寂しかったのだろう。
 人と違い、永遠無窮を生き続けることの悲しさに触れたような気がした。

「あの……モモ様」
『いえ。失礼を。ですが素晴らしい。光獣(ラディアス)に対し、白銀嶺(シルバービュー)の相性は最高に近いです。
 これならば……勝ち目があります』

 彼女は言う。

『それでは、作戦内容(ミッション)の概要を説明します』 




光獣(ラディアス)


 古代王国期に製作された制空用人造魔獣。
 全長は33.4メートル。体表には縦長の蛇を思わせる眼球を幾つも供えており、睨んだものを『燃やす』『加熱する』という凶悪な邪視を持つ。
『睨む』だけで相手を殺傷可能であり、回避機動は実質的に無意味。
 亀を思わせる強靭な装甲を備える。
 眼球は幾つも備わっており、360度をカバー。
 また常時、光学迷彩(クローク)を展開しており、肉眼による目視は実質的に不可能。
 魔力消耗の関係で光学迷彩(クローク)を発動しながら魔術障壁(シールド)を展開する事は不可能。
 補助武装として威力は高いが数に限りがあるマンティコアの尾針(生体ミサイル)を搭載。対地攻撃、対空攻撃の双方に適応。


 重装甲に加え、必中必殺の邪眼を持つが、その代わり機動力は最悪の一言。
 また光獣(ラディアス)自身には高度な知能などは存在しておらず、憑依(ポゼッション)の魔術を用いて人間が遠隔操作している。

EX=超スゴイ。A=かなりスゴイ。B=優秀なレベル。C=平均的。D=悪い。E=最悪。


攻撃能力=EX
機動性能=E-
防御性能=A+
操縦性=D
魔力効率=A
拡張性=E-
+注意+
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