FILE.6 進み、すべきこと
「Cool kid!大丈夫ですか?…この部屋に、誰か居るの?」
コナンは後ろ手にドアを閉めて、慌てて探し物だと弁明した。ジョディは少し不審そうに眉をしかめたが上着の中、拳銃へと伸びた手を抜く。もし、黒幕が中に居るとじかに知ったら、きっと彼女は威嚇射撃でもするつもりだったのだろう。
「事情があるのね? 今はそっとしておいてあげる」
苦笑いしながら見逃してくれた彼女にコナンは一礼した。
自分は、何故庇ってしまったのか。コナンは、少し俯いた。大事なときに感情を捨てきれない自分に少しばかり嫌悪を抱く。
「先生は、どうして此処に?」
わざとらしく話を変える。ジョディはコナンの異変に気付いた様子もなく、険しい表情で、螺旋階段の方へ目を向けた。
「あの女を捜しているんだけど、見なかった?」
宿敵、ベルモットの事を指しているのだと、怒りに燃える熱い瞳から窺い知る事が出来る。
ベルモット…コナンはさり気なく腰に手をやり、彼女からの贈り物―拳銃が確かに存在することを確かめた。
「さっき此処で会ったけど、何処かへ行ったみたいだよ」
階段を指差す。
「シュウはジンを追っているわ。他の捜査員達も、銃撃戦に入った。あなたは危険だから、建物の外へ出てなさい」
ジョディは親指を立て、ウィンクして階段の方へ駆けて行った。だが、彼女に甘えるわけには行かない。これは、自分にとっても闘いなのだ。父親が手を染めていたのなら尚更だ。
「さて、俺はジンを探すか。データだけでも手に入れないとな…」
恐らく無傷では済まないだろう。FBIの統制下にある彼らと違い自分には防弾チョッキなどは支給されてない。たった一人きり、音を立てないよう注意を払いながら更に下の階へ進んでいく。
上の方は、ジョディの言ったとおり、惨事になっているようだ。時折連射されるライフルの音、飛び交う英語の叫び声が、暗い暗い影に抵抗するように聞こえていた。それらの悲痛な叫びを振り切って、ゆっくりと、慎重に階段を一段一段下りていく。何となく、下に行けばジンに会える気がした。
漠然とした靄が胸を覆い、息苦しかった。それは、何かの予感を指し示しているようで―身震いするような冷気の中で、コナンは体の底から沸き上がる得体の知れない感情を押さえ込んでいた。
驚嘆、憤怒、それとも悲哀。
とにかく、今は下に行くしかないのだ。 |