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流血の終焉
作:深月姫季



FILE.21 心境の変化


そして、その数日後にコナンは退院した。何度か蘭が見舞いに来たが、コナンが面会する事は無く、その度に蘭はメッセージカードと差し入れを残し、肩を落として帰っていった。

「新一、一体どういうわけじゃ。蘭くんに会わんとは」

何度目かの後姿を見送りながら博士が咎める視線を送っても、コナンは無表情に、その話題を避けたがった。哀はそんなコナンを観察する事に終始し、たまにこれ見よがしなため息をつき、コナンを苛々させた。

「灰原、言いたい事があるなら言えよ」

そう言うと決まって哀はコナンから顔を背け、別に…と釈明する。そ

「博士、しばらくオレ蘭の所には帰れねーんだ。結論が出せるまでは。だからオレはしばらく隣で生活するから、蘭には博士の家に泊まるって電話しといてくれないか?頼むよ、博士」

真顔で頼み込んだコナンに博士は困惑を隠せない。そんな博士をよそに、隣の哀は、深刻な表情でじっとコナンを見ていた。

「いいじゃろう、蘭くんにはわしから適当に説明しておこう。君も父親を失ったばかりじゃ、あの家でゆっくりするのもいいかもしれんし」

博士はコナンをいたわる様な目で見ていた。様子から察するに、まだ優作の事を引き摺っていると考えたのだろう。コナンは弁解することもなく、ただ礼を言う。

「サンキュ、博士」











「もしもし。あ、阿笠博士。こんにちわ、あの、コナンくんの怪我ってどうですか?え、退院した?はい、はい。わかりました。コナンくんの事、お願いします」

蘭は受話器を置くなり大きなため息をついた。

「どうした、蘭」

缶ビールを呷りながら普段と違う、元気の無い姿に気付いた小五郎は、見ていたテレビから視線を外した。

「コナンくん、しばらく博士の家に泊まるんだって。私、コナンくんが退院した事も知らなかったんだよ?何で、教えてくれなかったのかな。いつもいつも、秘密にするんだから」

珍しく落ち込んだ蘭に、小五郎は一抹の不安を覚えずに居られなかった。コナンが怪我をして入院していると聞いた日から、蘭は日に日に刺々しくなっていった。

「あいつにも、何か事情があるんだろ。放っておくんだな」

蘭が三階へと姿を消した後、心配になった小五郎は受話器に手を伸ばし、ある番号へかけた。


「お久しぶりです警部殿、あの〜少し気になる事が。コナンの事なんですけどね、最近大きな怪我をしたものですから、あのガキがまた何か余計な事に首を突っ込んで、警部達の邪魔をしたんじゃないかと―え?ここんとこ見てない、そうですか。―え、いえいえ。何でもないっスよ、警部殿。では」

静かに受話器を置くと、小五郎は短い間考え込んだ。しかし、元々長続きするタイプではなく、直ぐにまた関心をビールに向けた。

「ったくよォ、フラフラしやがってあのガキ、今度会ったらただじゃおかんぞ」

酔いが回り、ふらつきながらも冷蔵庫にビールの缶を取りに行った小五郎を、向かいのビルからじっと監視しているものが居た。



「フンッ、やはり奴はただのヘボ探偵か。全て工藤新一の所業だったんだな」

双眼鏡を手にしたジンは所々ボロボロになりながら、屋上に座り込んだ。

「野郎、今日退院した筈だ。戻ってくるまで待たせてもらおうか。直ぐに地獄を見せてやる。この傷の礼だ」

手で、銃弾が貫通した場所を押さえる。辛うじて止血できたが、そのダメージは半端ない物だった。数日は安静にしていたが、腹の奥で言いようも無い屈辱が蛇のようにうねる。体力は、じわじわと削られていく。ジンが額の汗を拭った時、足元で何かが動く気配がした。白い毛を身に纏った猫だ。迷わず腹を蹴飛ばすと、猫は鳴き声を発する事無く倒れ、二度と動かなくなった。無表情にその死体を見下ろしながら、ジンの心には強い憎しみが宿っていた。

「待ってろよ、工藤新一。お前は確実に―」

その目は、激しい怒りに燃え、その体は、激しい屈辱に打ち震えていた。
 































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