FILE.13 瓦礫と傷痕
深く大きく、まるで大地を揺るがすような爆発音が起こった。
地上に出て、広いロビーに辿り着いたばかりのコナンたちは、反射的に顔を見合わせ、柱に掴まって座り込んだ。大きなトルネイドのような爆風がビル全体に巻き起こり、一瞬のうちに大きな音を立て全ての窓硝子が割れ、吹き飛んでいく。コナン達もその煽りをくらい、顔に、身体に幾つもの切り傷が出来ていく。
「掴まれ!」
赤井が差し出した手を、コナンは極限の疲労の中で掴んだ。爆風に巻き込まれ、吹き飛ばないように掴んでいた柱から、血と汗に塗れた手が離れそうになっていたのだ。
力を振り絞って、赤井に手を伸ばす。赤井はそのままコナンを引っ張り上げ、抱きかかえた。そしてもはやその意味を成さぬ扉へ走ると、凄いスピードで外へ飛び出した。その時一瞬赤井の顔が苦痛に歪んだのだが、コナンは既にそれに気付く余裕は持ち合わせていなかった。
「シュウ…! 無事だったのね?」
ジョディを始めとするFBIの面々が、赤井を取り囲む。赤井たち探しを断念し、一足早く脱出していたようだ。
「…悔しいけれど、ベルモットが爆発が起こる事を知らせてくれたのよ。組織の黒幕も、無事に搬送されたわ」
コナンは胸を撫で下ろした。
「それより…早く、助けに行かねーと…まだ、地下に二人が―灰原達が」
疲労困憊の身体に鞭打って、コナンが立ち上がる。しかし、既にビルは、
原形を留めずに崩れ去っていた。一歩足を踏み出そうとするコナンを、ジョディが無念そうに首を振りながら押しとどめた。
立ち込める炎の呻きが、コナンの叫びと重なる。ビルを飲み込み、まるで食べたり無い獣のように喰らい尽くしていく。誰もが息を呑み、蒼ざめていた。
「…畜生!」
赤井はコンクリートに向かって拳を突き出した。
明らかな、"敗北"。
組織を壊滅に追い込んだことさえ、小さく見える。何の犠牲を払わなかった事こそ、"勝利"と呼ぶ最低条件。それに、我々は失敗したのだ。
完全なる、"敗北"。
後ろからジェイムズとアンドレ=キャメル捜査官二人掛かりで押さえつけられるまで、赤井は自分を甚振り、血の滲む拳を瓦礫のコンクリートに叩きつけ続けた。
コナンはただ茫然と、成り行きを見ている事しか出来ない―
そして業火の中で瓦礫が一斉に崩れ落ちた瞬間、コナンは意識を失った―
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