ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第25話 死神とお散歩
いつものように朝飯の支度をするオレ。
死神はキッチンからは見えないが、どうやらベランダで歌をうたっているみたいだ。

「もうすぐはぁ〜るですねぇ〜♪ちょっと杉の木見ませんかぁ〜♪」

見ねぇよ。死ぬよ。


「やれやれ準くん。今日もいい天気だねぇ。」

「そうだなぁ、この天気なら洗濯物もよく乾くだろうな。」

オレがベランダに様子を見に行くと・・・


「・・・何してんだお前?」

「洗濯物の気持ちになってみようかと。」


ローブを着たままベランダの物干し竿に袖を右から左へ貫通させて吊されているアホな死神がいた。
なんか磔みたいで良いなコレ。

「で、感想は?」

「降りられない。ぐすん。」

自分でやったのに降りられないとは・・・。
仕方なく死神を抱き上げて物干し竿を外してやった。このまま一日放置してやっても良かったが、やかましそうだからな。

・・・物干し竿に磔かぁ。ナルホドね〜。


「おっ、和風味噌汁かい!?」

味噌汁は既に和風だよ。

「ねぇ準くん!」

「何だよ?」

「良い天気な日はやっぱり散歩だよね!」

「ん?まぁな。」

大体言いたいことはわかる。おそらくは散歩に連れていけということだろう。

「じゃあちょっと外行くか?」

「やったぜー!」



というわけで、早朝とも昼前とも言えないなんともポカポカとした時間帯にマンションを出たオレ達。
散歩といってもどこへ行こうか?

「適当にぶらぶらするのも散歩だよ準くん!」

それもそうか。

それからオレ達は遊歩道をぶらぶらと歩き、見慣れない住宅街まで来ていた。塀に囲まれた家が沢山立ち並んでいる。
その時突然死神が立ち(浮き)止まった。

「どうした?」

「あ!アイツ!」

死神が指差す先には塀の上であくびをしながら眠る猫がいた。
そう、以前死神とナイトメアを猫パンチ一発で倒した驚異の猫だ。

「あいつ〜、仕返ししてやるぅ!」

よせ。相手は小動物だ。

止める間もなく死神はそ〜っと寝ている猫に近づくと、ローブの中から何やら棒を取り出した。そしてネコの背中に当てた。

「くらえ必殺《その時私の背中に静電気が走ったのだ》!」


バチバチバチッ


『ギニャァー!!(敵襲〜!)』


うわぁ〜バカヤロー!動物虐待の部類に入るぞ!


「ヤッター!持ってて良かったエナメル棒!」

『ニャ・・・ニャフ(き、貴様等・・・覚悟はできているな?)』

猫の背中から邪悪なオーラが吹き出た。

「うひゃぁ〜逃げよう準くん!」
「てめー典型的なイタズラっ子じゃねぇか!」



なんとか最強猫から逃げ切ったオレ達は息をあげて座り込んでいた。
こんな散歩って・・・。


「あ〜楽しかったぁ、ざまみろ猫型ネコめ!」

だからそれはネコだ。

「今度はどこ行こっか〜?」

『あ、ロシュと準くんだ!おーい!』

突然呼ばれて後ろを振り替えると、そこには両手に買い物袋を下げたヴァンパイアがいた。
またパシられてんのか。

「バンプ!今日は何の買い物!?」

「・・・《シロワッサン》というパンが無くて・・・。とりあえずいろんなパンを買ってきた。」

うん、クロワッサンのクロは色じゃねぇ。
故にシロワッサンなんてもんは存在しない。

「大変だったね、バンプ!アハハハハ!」

「ギリギリ《アカワッサン》を見つけてきた。」

赤!?

「ところでロシュ達は何してんだこんな所で?」

「今日は準くんとラブラブデートなの〜♪」

ただの散歩だ。

「ヒューヒュー!・・・と風が吹いてるね。」

何が言いたいんだ吸血鬼よ。
死神はヴァンパイアの袋の中を覗いた。

「うわぁ〜、いっぱいあるね〜!一個ちょうだい♪」
「うん、いいよ〜。ちなみに僕のお薦めは《ガーリックパン》だよ。」

皆さん、吸血鬼にニンニクは効かないことが証明されました。


気が付くと昼時になっていた為、オレ達はヴァンパイアと一緒にマンションへ帰ることにした。

死神とヴァンパイアはなにやら話し込んでいるようだ。


「・・・でさ、この前言ってた件はどうなったのバンプ?私は結構待てないタイプなんだけど。」

「僕もせっかちなんだ。結局目覚めさせるのが早すぎたみたいでさ、不完全な状態だったよ。」

「やっぱ規定を守るべきなのかなぁ?」


・・・何の話だ?


「う〜ん、やっぱカップ麺は3分がベストなの?」


カップ麺を開けるタイミングの話でした。ややこしい言い方すんなよ。
しかも二人は固めが好きらしい。


マンションに帰り、オレ達は部屋の前でヴァンパイアと別れて部屋に入った。昼時だから飯作らないとなぁ。

「むぐむぐ・・・うん、このアカワッサン美味しい。」

死神はヴァンパイアから貰ったパンを食べている。よりによってアカワッサンかよ。

「今日のお昼はきっとカルボナーラなんだろうなぁ♪楽しみだわ〜!」

いや、ハンバーグのつもりだったんだけど・・・。
仕方なくパスタを取り出して調理を始めた。


「パラリラパラリラ〜!おいてめぇどのヅラ下げて歩いてやがんだ!パフパフ〜♪」

うっせぇ。


「死神もう少し静かに・・・」
「ヴォンヴォン!ブルルルル・・・勝負は一回きりだぜジョセフ!イーヤッホー!!」


「死神頼むから・・・」
「ベビーブーム!ベビーブーム!エイリアンのベビーブーム♪」


・・・。





「さて、飯にするか。」

オレは一人でテーブルについた。


「準く〜ん降ろして〜!ごめんなさ〜い!」

あんまりやかましかったから死神を朝みたいに物干し竿に吊してやった。
ベランダから叫び声が聞こえるが、完全無視だ。

「キャー準くん!泥棒だよ〜助けに来て〜!」

何!泥棒!?どこだ!


「セクシーな死神ばかりを狙う《美貌泥棒》だよ〜!助けに来て準くん〜♪」


・・・あと一時間あのまんまにしとこう。

うむっ、我ながらナイスアルデンテ♪


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。