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約束の続き
作:マジックサイエンス



Atomic No.8:「歩けども歩けども」


池田、石橋、石橋で宝塚線から箕面線に乗り換える。

桜井、落合、箕面。

川西能勢口から箕面まで、阪急電車で15分かからない。

箕面がどんな場所かもわからないまま、

僕らは「暑いときこそカレー」「寒いときこそ雪山」の精神で進んだものの、

石橋あたりでは、大雪の気配も無くなりなんとなく「そりゃそうか」の雰囲気だった。

近畿地方、特に兵庫と大阪の境目、阪神地区に大雪など考えにくい。

僕は歌里那のサラダプリッツを2本同時に食べた。

しかし、箕面線に入った途端、あたりの景色が大きく変化した。

まるで修学旅行で行った、長野県のスキー場のように

一面が雪でまぶしい。

不思議に、雪に感動したりして、僕と歌里那は目を合わせて喜んだ。

箕面駅は、まだ小学生の頃に来た記憶がある。

雪景色を除けば、駅付近の景色は、その頃と大きな変化はない。

さてどうしよう、ノープランでやって来たから、

進むべき方向すらわからない。

「こっち行こうよ」

歌里那が指指した方向には

「箕面公園」と書かれた看板と、急な坂道があった。

道々には土産屋が並び、観光地としての箕面駅。

大きなホテルもそっちの方向にある。

「あ、まって。」

僕は、急ぐ歌里那を引き止めた。

「どうしたの?」

「プリッツ無くなった。」

「私が買ったのに、結局、君ばっかり食べたからね。」

僕は駅の売店で「たけのこの里」を買った。

「チョコレートとは濃いね。」

「雪山で遭難した時用」

「それは必要ね。」

僕は早速、箱を開けて、中のお菓子を食べ始めた。

雪の積もった観光地。

高校生の二人には、大人がするような派手な旅行や

贅沢な食事は到底できない。

憧れつつも、それは将来の話として、

おのずと「高校生らしい」恋愛は完成する。

少し進むと、人はほとんどいなくなり、

土産屋のおばさんたちが、僕らに優しくしてくれる。

「気をつけてね」

おばさんたちの言葉に温かさを感じて、

僕らは雪山を登るのだ。

土産屋街道が終わりに差し掛かる頃、

左にホテル、右には「箕面公園」と書かれた看板のある分岐点に到着する。

僕らの進む「右」方向は、いよいよ「山」という感じではあったが、

足が滑らないように、道の雪はある程度除雪されていた。

すこし進むと、寺と谷間に民宿もあった。

「完全に観光地なんやな」

「うん、綺麗な景色」

歌里那はその雰囲気を満喫していた。

道に向かって生い茂る木に積もった雪が落ちて、時々驚かされながら、

少し行った所に小さな川にかかった橋があった。

そのとき、僕は無防備だった。

そしてそれは瞬間の出来事で、初めての経験だった。

山に住む猿に僕のお菓子を一瞬で盗まれた。

「・・・え?・・マジ?!」

「早いね。」

歌里那も驚いた様子だ。

盗人猿はすでに木の高いところに登って、僕らを見ている。

「返してくれー」

「言ってみただけって感じだね。」

「・・・あと4つしか残ってないけどな・・。」

僕は猿に負け惜しみを言った。

「すばしっこくて、身軽、あと、狙う相手を選んだね。」

歌里那はまるで、盗られた僕が、間抜けなような言い方をした。

「前川みたいなやつやな・・・。」

僕はお菓子をあきらめて、先に進むことにした。

少しづつ坂が急になって、木々も増える。

山の中にポツンと喫茶店があって、

僕らは帰りにその喫茶店に寄ることにした。

「しんどくないか?」

「大丈夫。でも、そろそろ体があったかくなってきたね。」

「ああ、なかなか急な坂道やな。」

「こっちの細い道はどこに行くんだろう?」

「九州」

「・・・いつかは到着するかもね・・・。」

山中にある「昆虫館」を超えて、雪の山道を歩いていると、

どうやら帰り道らしき人とすれ違った。

歌里那が頭を下げると、対向人も頭を下げた。なので僕も下げた。

そこからもうしばらく歩くと、

数人の観光客らしき人と、大きな滝があった。

滝は大きな音を立てて流れいた。

「ここが終点か・・・」

「わー、気持ちいい!」

歌里那が嬉しそうに、滝の方へ歩いて行く。

「ドーーー」

「ドーーー」

「ドドーー」

「ドドドドドドー」

「たきーーーー」

「それは無理あるよ。」

「ああ、無理ある。」

僕らはしばらく、雪の中の滝を見ていた。












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