約束の続き(7/11)縦書き表示RDF


約束の続き
作:マジックサイエンス



Atomic No.7:「兵庫県南部、大雪警報」


1996年3月14日 

まだ冬。飲み物:ホットミルクBGM:ガッツだぜ!/ウルフルズ

AM5:45、朝は一人だ。

3つ上の兄貴は、僕が高校に入ると同時に大学の近くに下宿。両親はこの時間にはすでに仕事。しいて言うなら姉ちゃんが、まだ寝てる。

サッカー部の朝練は強制ではなかったけれど、僕は毎朝、7kmのロードワークを欠かさない事にしている。

朝ご飯は自分で作る。

メニューは毎日同じ。目玉焼きと食パン。

朝、起きるのは早いものの、寝起きは悪い。しかし、その日は素晴らしい目覚めだった。

窓の外は、一面銀世界、大雪だった。しかもなんだか猛吹雪き。兵庫県の南部には、それはそれは珍しいことだった。

朝のテレビ、天気予報が僕に言う。

「兵庫県南部、大雪警報」

珍しい事があるもんだ・・・。

地方によって、違うらしいけど、「大雨、雷雨、大雪」の警報が発令されたら、学校は休みだ。僕は、急遽の休日をとりあえず「二度寝」に使った。後でビデオでも借りに行こう・・・

母からの電話が鳴る。学校が休みであることの確認だ。電話を切った直後、僕は眠りについた。三時間くらいして、また鳴る。母は早とちりをする人。「二度電話」はよくある。

「何?一回で済ませろよ」

「はい、じゃあ一回で済ませまーす。」

いつもの返事をしたつもりだが、少なくとも母ではない。

「今日みたいな日でもランニングするかなーと思って、学校で待ってたのに・・」

「え?!」

「嘘うそ。それはないでしょ。」

「それは無いな・・・。驚かすな。」

「何してるの?って大体わかるけど。貴重な睡眠時間を割いてしまってごめんなさい。」

「いや・・・いいけど。」

僕は、寝起きのため、事態が上手く飲み込めずに、適当に歌里那の言葉に返答した。

「すごい雪だね。」

「ああ、すごいな。珍しい。大雪警報だと。」

「遊びに行こうよ。」

「ああ・・・いいよ・・」

「じゃ、能勢口ね。待ってまーす。」

そう言って歌里那は電話を切った。

・・・・やってしまった・・・。

今からこの大雪の中を、僕は歌里那駅まで向かうのか・・・。

僕は、寝起きのため、事態が上手く飲み込めずに、適当に歌里那の言葉に返答してしまったようだ。

「ツイタヨ!」

ポケットベルが僕を少し驚かせる。嘘つけ・・・。僕は買ったばっかりのコートを着て歌里那駅に向かった。

大雪警報が出ても、電車は走っている。

不思議と、人は多くて、みんなどこかに出かけるようだ。

渓谷を通り抜ける田舎の電車は、雪景色が良く似合う。曇ったガラス越しに、

僕は少し遠くを見ていた。

平野、多田、鼓滝、鴬の森、滝山、絹延橋、川西能勢口

7つの駅を10分ほどで各駅停車しながら通過する間に、

僕はなにか不思議な気分になった。

僕と歌里那は、不思議と、お互いに自分の心の中の話をしたことがない。

底抜けに明るい歌里那の、不思議と僕はいつもその向こう側が気になった。

僕について、学校について、家族について・・・・いろんなこと。

ただ楽しい歌里那との時間は時々、僕を困惑させた。

「あ?」

駅に着くと歌里那はいない。僕は急いで公衆電話からベルを打った。

「ツキマシタガイカガイタシマシタ?」

「イマカライキマス」

着いたんじゃなかったっけ?歌里那の家は駅から5分。僕のベルの後でも十分に間に合う。

駅の窓ガラス越しに、まったく急がない歌里那が見えた。

僕は缶コーヒーを買って飲んでいた。

「間に合った?」

「・・・いやいや、さっきは着いたって言って・・・」

「どっか連れてってよ。」

歌里那らしいむちゃくちゃ加減。僕はいろいろあきらめて笑った。

「よし、行こうか。」

僕と歌里那は、大雪警報が発令されているその中で、

さらに箕面の山に向かうことにした。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう