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理想のヒモ生活 作者:渡辺 恒彦

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第七章1【外での活動、そのために】

「騎士ナタリオ。貴様を我が直衛騎士に任命する。貴様の武勇と忠誠に期待する」

 数日後の昼下がり。王宮の奥まった一室で、善治郎は目の前に跪く若い騎士の前に立ち、精一杯威厳を取り繕った声で言葉を掛けていた。

 ナタリオ・マルドナド。

 それが、善治郎の前に膝を付く騎士の名前である。
 年の頃は二十代の中盤、善治郎とほぼ同世代だろうか。焦げ茶色の髪と瞳、褐色の肌という典型的なカープァ王国人の色彩を持つその男は、神妙な面持ちで、神妙に膝を付いて畏まっている。

 引き締まったその顔つきは、実直で生真面目そうな印象を受けるが、直系王族の前で忠誠儀式を行う際に、表情を弛緩させる剛の者はそうそういない。第一印象でその性格を推し量るのは、危険だろう。

 善治郎は、預かったナタリオの剣を、スラリと革鞘から引き抜いた。
 よく手入れのされている鍛鉄製の刃が、窓から差し込む陽光を反射し、ギラリと光る。
 刃渡りは50~60センチほどだろうか? 柄の長さから見ても片手剣のようだが、そのずっしりとした重さは、簡単に片手で振り回せるようには思えない。

 善治郎はその抜き身の剣の腹で、膝を付くナタリオの両肩を一回ずつ叩き、ゆっくりと鞘に締まった。
 そして、善治郎が差し出す鞘に入った剣を、ナタリオは床に片膝を付いたまま、両手でうやうやしく受け取り、答える。

「はっ、主命に背かず、道義に反せず、困難を怖れず、陛下の手足となり一命を賭すことをここに誓います」

 こうして、騎士ナタリオの忠誠の儀式は、滞りなく終わりを迎えたのだった。





 騎士ナタリオが去った王宮の一室で、善治郎は周囲に聞こえないように小さく安堵の溜息を漏らす。

 どうにか、これといった失態を犯さずに事を終えることが出来たようだ。

「ご苦労様です、ゼンジロウ様」

 後ろに控えていた細面の中年男――ファビオ秘書官の言葉に、ついサラリーマン時代の常識で「上役に向かってご苦労様はないだろう」と言いそうになるが、すんでの所で善治郎はその感情を呑みこむ。

(危ない危ない。『言霊』のおかげで違和感なく言葉が通じるからつい忘れがちだけど、ここは異世界なんだよな)

 労を労うのは、上役が下に向かってすることであり、その逆は失礼に当たる。というのは、あくまで日本社会の常識だ。
 善治郎は頭の中でオクタビアの授業で習った王族としての正しい受け答えを思い出しながら、口を開く。

「いや、大したことではない。あれで良かったのだな?」

 後ろに向き直り、そう問い返す善治郎に、ファビオ秘書官は小さく頷き答える。

「はい。以後、ナタリオ卿は弓騎兵団の一員であると同時に、ゼンジロウ様の直臣としての役職を担うことになります。王族直臣の俸禄は、年間で大型銀貨二十枚ですから、マルドナド家にとっては大きな助けとなることでしょう。

 実際にはアウラ陛下の懐から出ていますが、形の上ではゼンジロウ様がナタリオ卿にお支払いしていることになっておりますので、記憶にとめておいて下さい」

「ほう、特別手当が出るのか?」

 少し驚いたような声を上げる善治郎に、ファビオ秘書官は表情筋をピクリとも動かさないまま、首肯する。

「はい。騎士の忠誠は金銭で買うものですから」

「そういうものか?」

「無論、金銭だけで完結するわけではありません。忠誠を高めるのは主君の言葉ですし、持続させるのは主君の行動です。しかし、根底を支えるのはあくまで金銭です。金銭という土台なしに、忠誠は成り立ちません」

 きっぱりと言いきるファビオ秘書官の言葉は、ひどく即物的なものであったが、その分善治郎にも分かりやすかった。
 夢のない話ではあるが、領地を持たない騎士達は、王国から支給される俸給だけで生活しているのだ。武勇と忠誠は文字通りの売り物であり、可能な限り高値を付けてもらう必要がある。

 納得したように頷く善治郎の様子を、仮面じみた鉄面皮で見つめていたファビオ秘書官は、ふと思い出したような口調で問いかける。

「ああ、そう言えば、ゼンジロウ様は領地や爵位をお持ちになる予定はないのですか?」

「領地や爵位? どういうことだ?」

 怪訝そうな表情で首を傾げる女王の婿に、女王の秘書官は丁寧な口調で説明する。

「はい。我がカープァ王国には、王都とその周辺以外にも、飛び地の王家直轄領が存在します。それらの領地の領主は現在アウラ陛下が兼任し、現地には代官が置かれていますが、王族であるゼンジロウ様にもそれらの継承権はございます。無論、その継承権はゼンジロウ様一代のものではありますが」

 王や王族が、王位や王位継承権とは別に、独自の領地や爵位を併せ持っているというのは、珍しい話ではない。むしろ、独自の領地を持ち合わせていない王の方が少数派だろう。一国の王が他国の伯爵位を所有しているような、ややこしい例もある。

「これまでのように、後宮に引きこもっておられるのでしたら不要でしょうが、今後外での活動を増やすのでしたら、肩書きや自由に出来る資金は必要でしょう。まして、ナタリオ卿のような直臣を増やすつもりがあるのならば、独自の財源は必要不可欠です」

 淡々と説明するファビオ秘書官の言葉に嘘偽りはないが、『女王の腹心』の言葉としては明らかにおかしい。
 女王の夫である善治郎が形だけでも領地や爵位を得て、独自の財源を手にすれば、それだけ善治郎の制御がアウラの手から離れる。そもそも、現在アウラの元に一本化されている飛び地の収益を、一部とはいえ善治郎に分け与えるということは、単純にアウラが自由に出来る金が減るということでもある。

 王配が独自の地位と財源を持ち、その財源で独自の戦力を整える。
 どう考えても、女王の側近が言い出す提案ではない。

(こちらの出方を窺っている? いや、そうだとしてもあからさますぎるな。どっちかというと釘を刺しているんだろうな。ちょっと遠回しな言い方で)

 善治郎がアウラの味方であるのならば、この申し出に「否」と答えるしかない。
 言質を取ろうとしている秘書官の態度は、正直少々不愉快なものであったが、ここは意地を張ってひねくれた答えを返す場面ではないことぐらい、理解できる善治郎は素直に否定の言葉を返す。

「無用だ。財政と権限の一本化は、組織の健全化における必要不可欠な要素だ」

「しかし、ゼンジロウ様はアウラ陛下をお助けするために、後宮から出る覚悟を決められたのでは? 失礼ですが、いかに陛下の伴侶であり、直系王族と認められているゼンジロウ様といえども、無位無冠のままでは、出来ることは限られるのではないでしょうか?」

 平坦な声と、表情のない顔。そこから紡がれる挑発的な言葉に、内心苛立ちを覚えつつ、善治郎は感情を殺した声で答える。

「だとしても、それは私と陛下の間で話し合うべき懸案だな。陛下の頭越しに、貴様が私に提言する筋合いのものではない」

 棘と苛立ちの隠せない善治郎の返答は、ファビオ秘書官にとって満足のいくものだったのだろう。

「……はっ、ご無礼申し上げました」

 殊勝な言葉と共に、慇懃に頭を下げた中年の秘書官は、ニヤリと口元を笑みの形に歪めていた。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆





 その数時間後。窓から差し込む日差しが僅かに夕焼け色を帯び始めた頃、執務室で軽めの業務をこなしていたアウラの元に、ファビオ秘書官が訪れてた。

「陛下、只今戻りました」

 小さく頭を下げるファビオ秘書官に、アウラは執務机に向かって座ったまま、ちらりと視線だけをそちらに向けて、小さく頷き返す。

「ご苦労、ファビオ。アレハンドロ、お前もご苦労だったな。下がって良いぞ」

 アウラの後ろに控えていた、年若い生真面目そうな青年――第二秘書のアレハンドロ・ニエトは、主君の言葉を受けて手に持つ竜皮紙の束を、ファビオ秘書官に手渡す。

「ファビオ様、こちらが本日の記録です」

「分かった。後は私が引き継ぐ」

「はい、よろしくお願いします」

 竜皮紙の束を、中年の第一秘書に手渡した年若い第二秘書は、生真面目そうに一礼をすると退出していった。
 バタンと若い第二秘書がドアを閉める音を背中で聞きながら、ファビオ秘書官は机に向かってペンを走らせている女王に話しかける。

「いかがでしたかな、陛下。アレハンドロの仕事ぶりは」

 ファビオ秘書官の問いに、アウラはボールペンを走らせる手を止め、視線を手元の紙面から前に立つ秘書官の細面の顔へと向け、簡潔に答える。

「悪くはないな。貴様と違って、言動にかわいげがある。だが、仕事ぶりはまだ『打てば響く』とまではいかん。私の体調が良いときであれば、しばらく横に置いて鍛えてやっても良いのだが、今は代役がせいぜいだな」

 手厳しい評価を下す女王に、ファビオ秘書官は小さく肩をすくめて答えた。

「了解です。ご満足戴けますよう、今後も指導に力を入れるとしましょう」

 若い秘書官達の指導も、第一秘書であるファビオの責務である。
 付き合いの長いアウラは、ファビオが鉄面皮の下で後進教育に情熱を燃やしているのを敏感に感じ取り、少し若い秘書官達に同情した。
 とはいえ、若い秘書官が物足りないのは事実である。

「そうしてくれ。ところで、そちらはどうだった?」

 急な話題転換に慌てることなく、中年の秘書官は「打てば響く」ように間を置かず言葉を返す。

「はい。ナタリオ卿の忠誠の儀は滞りなく終了しました。ゼンジロウ様はすでに後宮にお戻りです」

 取り合えず問題なしという秘書官の報告に、アウラはホッと安堵の溜息を漏らす。

「そうか。それは何よりだ。それで、聞かせてもらおうか? お前の目には、婿殿はどのような人物に映った?」

 善治郎がこの世界にやってきてからすでに半年近くがたっている。今更といえば今更な問いであるが、ずっと男子禁制の後宮に引きこもっていた善治郎と、ファビオ秘書官が本格的に会話を交わす機会が、今まで無かったのも事実だ。

 善治郎が無理のない範囲で後宮外の活動を増やすと決意した以上、この鉄面皮の腹心が婿殿にどのような印象を抱いたかは、把握しておく必要がある。

 女王の問いに、中年の秘書官はすでに答えを用意していたのか、考えることなく答えを返した。

「はい、表情や言動を取り繕うことには、元からある程度慣れておられるようです。あれならば、公的な場をお任せしても、致命的な失敗は犯さないかと。

 また、王家の保有する領地や爵位を譲り受けるように唆してみましたが、一蹴されました」

 悪びれずそう言ってのける秘書官の言葉に、アウラは渋面を浮かべ、手で顔を覆った。

「またお前はそうやって挑発的な言葉を……。しかし、領地と爵位か。今後の婿殿の活動を考えれば、検討の余地はあるな」

 顔を覆っていた手を顎にやり、真剣な表情で考え込む女王に、秘書官は口元を小さく笑みの形に歪め、冷やかすように言う。

「それは、陛下とゼンジロウ様との間で十分話し合って下さい。なんでも、そういうことは『陛下の頭越し』に、秘書官に過ぎない私ごときが口を挟む問題ではないそうですから」

 ファビオ秘書官の物言いから、善治郎がそう言ったのだと悟ったアウラは、小さく笑い返す。

「それは、慎重な婿殿らしい言葉だな。おかげでこちらは動きやすい。箔を付ける意味でも、爵位だけでも早めに用意した方がよいかもしれんな」

 善治郎としては、特別慎重に行動しているつもりはない。ただ、私的には自分とアウラは同格でも、公的には明確な上下関係があると自覚しているだけだ。
 正確な情報の共有と、命令系統の一本化が成されていない組織が、どれほど迷走するかは三年ちょっとの社会人経験で、身に沁みている。

「陛下の夫という立場ならば、『ワレンティア公爵』の爵位を継承しても、問題はありませんが」

 挑発的な秘書官の言葉に、アウラは笑みを浮かべたまま威嚇するように、低い声で言葉を返す。

「こちらを試すような言動は、控えろ。心配せんでも、そこまで婿殿に実権を与える気はないわ。少なくとも、私が玉座に座っている間は、『ワレンティア』公爵位と『ポトシ』伯爵位は、私が兼任する。他人に譲る気はない」

「賢明な判断です」

 女王の叱責を受けた秘書官は、恐縮するそぶりも見せず、小さく肩をすくめてそう女王の判断を評価した。

『ワレンティア』は王国でもっとも栄えている港街であり、『ポトシ』は王国随一の銀山を保有する地である。

 王家には、俗に『五本柱』と呼ばれる収入源が存在する。すなわち、『陸上貿易』『海上貿易』『塩の専売』『銀山経営』に、『各領主からの徴税』を加えた五つのことだ。

 その五本柱の内の二つ、『海上貿易』と『塩の専売』の中心地である第二都市ワレンティアが、王国においてどれほど重要な意味を持つかは、今更言うまでもないだろう。
 いかにアウラが善治郎を信頼していても、ワレンティア公爵の位を譲り渡すことはあり得ない。カープァ王国の歴史においても、ワレンティア公爵位を兼任していなかった王の方が少数派なのだ。

「しかし、身重の陛下では、しばらく現地に『跳ぶ』ことができません。代官任せも、それはそれで危険です」

 秘書官の指摘に、アウラは苦い顔で首を縦に振る。

「ああ、分かっている。婿殿が、『瞬間移動』を使えるようになれば、爵位継承はともかく、監督官くらいはやってもらいたいところだな」

 本来、不正や反乱の温床となりやすい飛び地の管理を、カープァ王国が問題なく行ってこれた理由に、カープァ王家の人間が使える魔法、『瞬間移動』の存在がある。
 いつ、抜き打ちで視察にやってくるか分からない人間の下で、不正や反乱を企むのは、かなりの度胸と才覚が必要だ。

 だが、現在のカープァ王国で『瞬間移動』の使い手は、女王であるアウラ一人きり。そういった意味でも、善治郎の魔法習得と、直系の血をひく子の量産は望まれる。

「そうですね。そのくらいの働きは、期待したいところです。もっともゼンジロウ様に求められる最大の働きが、陛下との間に子をなすことであることは変わりませんが」

「まあな。幸い子は順調だぞ。つわりも今日は一度も来ていない。ミシェル医師が言うには、一番つわりのきつい時期はすでに過ぎたのだそうだ」

 今日一番嬉しそうな表情を浮かべるアウラに、ファビオ秘書官は、

「それはようございました。そう言えば、本日は双王国の使者と、直接顔を合わせたのでしたな。いかがでしたか、向こうの出方は?」

 そう話題を転換して、アウラに問いかける。

「そうだな。取り合えず、感触としては、私と婿殿の子を制限する気はなさそうだ。ただやはり、婿殿が私以外の人間と子をなすようなことがあれば、介入してくる気配だな。あれは」

 アウラは、椅子の背もたれにギシリと体重を預け、一度凝りをほぐすように頭を回した後、そう答えた。
 その辺りは、こちらとしても当初から予想していたラインである。納得しつつ、ファビオ秘書官はさらに問う。

「しかし、そうなりますと陛下とゼンジロウ様の御子には、間違いなく今後『シャロワ王家』の血が残ります。ゼンジロウ様が側室を作らないだけで、双王国が矛を収めますかな?」

 アウラは、小さく肩をすくめ、素直に首を横に振った。

「無理だろうな。実際、使者殿は婿殿に、シャロワ王家の傍系の姫を嫁がせることを匂わせてきたよ。その間に産まれた子は、向こうが引き取ると言う前提で、な」

 そうすれば、カープァ王家にシャロワ王家の血が混じるのと同様に、シャロワ王家にもカープァ王家の血が混じった王族が誕生することになる。これでおあいこだ、と向こうは言いたいのだろう。

 無論、それは向こうの言い分であって、こちらにはこちらの言い分がある。
 善治郎が潜在的にシャロワ王家の血をひいているというのが確定情報ではない以上、下手に向こうの言い分を丸呑みすれば、『時空魔法』の血統をただ盗まれるだけの結果になりかねない。
 そもそも、こちらとしては向こうの血筋を意図して盗んだわけではないのだから、必要以上に譲る必要はないはずだ。

「果たして、どの辺りが落としどころになるますかな」

「分からん。現時点では、何とも言いづらいな。正直、しばらくの間は平行線のやり取りが続くだろう。掛かっているものが、『血統魔法』だからな。互いに譲れないものが多すぎる。不幸中の幸いは、あちらも開戦は最悪最後の手段と認識してくれていることくらいか」

 カープァ王国とシャロワ・ジルベール双王国。どちらも、南大陸に覇を唱える指折りの大国だ。下手な火遊びは火傷ですまないのは、お互い理解している。しかし、掛かっているものはメンツのような実利のないモノではない。国の根幹を成す力、『血統魔法』だ。 簡単に落としどころが見つかるとは思えない。

「場合によっては、陛下とゼンジロウ様の世代では、決着が付かないかも知れませぬな」

「……出来れば、それは避けたいがな。この手の問題は、時間がたてば立つほど、お互い自分の主張に正当性を見いだし、譲れなくなっていくものだ。私の子の世代が、次の大戦のきっかけを作ることは、避けたい」

 とは言っても、アウラも王である。王の責務として、自国に不利となる密約を結ぶことは出来ない。そんなことをすれば、アウラの権力基盤に揺らぎが生じ、今度は内乱の危機である。

「この件は長期戦を覚悟するしかないな。私も出産までは自由にならない身体だし、早急に結論を出すのは危険だ。万が一にも秘密が漏れると、厄介だぞ。プジョルなどがこの話を聞けば、何を言い出すか、想像はつくであろう?」

 アウラの言いたいことを理解したファビオ秘書官は、小さく溜息をもらし、同意を示す。

「……間違いなく、嬉々としてゼンジロウ様に側室を押しつけてくるでしょうな。積極的に『付与魔法』の血統を盗む為に」

 野心家のプジョル将軍が、他国の血統魔法を取り込める機会を逃す筈がない。さらに厄介なのは、プジョル将軍がそう提言すれば、同調する貴族は多数派になると予想されることだ。それだけ、『付与魔法』の血筋は魅力的なのである。

 双王国に配慮する慎重派は、脇に追いやられる可能性が高い。

「慎重に、あくまでも慎重に、な」

 自分に言い聞かせるようにそう呟いたアウラは、無意識のうちに右手で我が子が宿る腹部をなでさすっていたのだった。
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