PIECE1:終わりの予感・始まりの結果
私には癖があった。
といって正しいのかは、よくわからないが、ソレは言わば決まりごとのようなものだった。
流れで言うとこういった感じだ。
まず始めに、私は目に映る対象の結末を一つ、当人のその存在の傍らに浮かべて並べる。
それらでそれは成り立っていることを独り黙認する。
そして最後に受け流すようにして目をそらす。
これらが私にとって、欠かせないことだった。
意味など私にだって分かりはしない。
だけれど気づいたら私は、シているのだ。
その行為に好意など無いのにやってしまう、それはいわゆる、癖と言えるのではないか。
…いずれにしても、厄介であることに変わりはないが。
こんな事もあった。
これから花を咲かすであろう植物の芽がある。
そのすぐ横には甘い蜜をつくりそれ目当ての昆虫共に自分の分身を運ばせた後の、種族として延命の可能性を高めたことに満足気になったかとおもうと。
あとは自身が肥やしとなるばかりだというふうに衰弱し頭を垂れる姿が浮かんで見えた。
その虚像は霞んでいながら時々ぶれたかと思うと、瞬く間に本来の姿に被さり実体であるかのように見えたのである。
またあるとき、日常的な自分の買い物コースで、お互いに気心は知れているが親友ではない、微妙な位置の友人に出くわした時のことである。
その傍らには個人的主観を持って言わせてもらうと悪い意味で不釣り合いな男がのさばっていた。
彼女いわく最近出来た彼氏とのことだった。
私はこの時、この二人が他人目からしても明らかに、お互いに対しての嫌悪を浮かべ茫々へと散るかのように去っていく姿を見た。
いや、見ることになる気がしたといった方が正しい。
なぜならそれは今いる彼女らの立ち位置を中心に展開されていく様を自分が浮かべているに過ぎなかった。
さりとて付き合い始めのカップルにそんな事を悟られてはたまらないと、私が彼に対する適当な美辞麗句を並べていると、何を思ったか彼女は彼の腕に手を回し、知ってか知らずか、私のルートから離れるように歩き去ってしまった。
私がそのカップルを見たのはそれっきりで、彼女との話題にそのことが上がらないことから、実際の所、私のこの性質は本来の結果との因果関係をはっきりとしていない。
数としては相当なものなので、妄想としては精度の高い物と思われるのだが。
先程、自分の持つ感受性のことを癖であるように私は表現していた。
私自身この行為のことを精神病の一つぐらいとしか考えていない、これは誰しもが持っている癖のなかにあり、特殊なのは、他人の目には決して映らないだけなのだと。
私は戯言もしくは虚言としか思われないこの行為を誰かに干渉されること忌まれることを恐れて知らん顔をしてきた。
しかし事実、それが浮かびたしたのは随分と昔の話、それに最近では感受性が乏しくなったせいからか、それがあることは私にとっても、珍しいことになってしまった。
幼い頃に持っていた癖というやつは成長すると共に意識下、無意識下を問わず抜け落ちていくようなので、今の私になるに当たってそれは生理学的に不必要といったところもあったのだろう。
私にとってのソレはあって得したことなどもなく、なくなったとしても、あった記憶も一緒に失せてしまいそうなほど儚い存在にあった。
もうじき無くなるという確信さえもあった。
そうして、
ソレが消えるどころか私に付きまとうことになろうことに……
……始まる始まりの私は気づけずにいたんだ。 |