俺の名前
時刻はもう夜の11時過ぎ。
いつもなら久しぶりに推理小説でも読もうか。なんて
思っているかもしれないけど、・・・今日は蘭がいる、しかも俺の部屋に。
宮野達は10時ぐらいにみんなを連れて帰っていった。
多分蘭のことを想ってだろう・・・・・ ・・・・で、
あとは寝るだけの俺は今、俺のベッドの上で寝ている蘭の目の前にいる。
別に、深い意味はないのだが・・・・
足が動かない。それに、頭に浮かんでくる3文字の言葉・・・・
罪悪感
頭の中で否定し続けても
心の何処かではそれを認めている自分がいる・・・
そのとき、蘭が目を覚ましたのか、ゆっくりと起き上がった。
蘭は右で立っている俺を見つけると、
嬉しそうに俺に向かってこう言った。
「・・おかえり・・・」
と、幸せそうな笑顔で。
途端、瞬間的に俺は蘭を抱きしめていた。
強く、優しく。まるで壊れ物を扱うかのように・・・・
「どう・・し・・た・・・の・・?」
俺の腕の中で蘭が弱々しく言った。
俺は返事の代わりにもっと強く、蘭を抱きしめた。
蘭はこれ以上何も訊かず、安心したのか、俺の背中に腕を回した。
でも、俺は何か他の違和感を感じた・・・・
何かが・・・・足りない・・・
その何かが分かったのは蘭の次の発言・・・・・
「今日は・・いろいろと・・ありがとう・・ね・・
・・く、・・工藤・・君・・・」
語尾はとても小さかったけど、俺は確かに聴いた。
違和感の正体は名前。
蘭は俺が助けた後から一度も俺の名前を発していない・・・
蘭が「新一」から「工藤君」と呼び名を変えた・・・
それがこんなにも俺は絶望感を感じる・・
蘭も俺の名前を言うのが辛かったみたいで、
名前を呼んだ後すぐに顔を伏せた。
俺は抱きしめる力をもっと強くして言った。
「ごめん・・・」
蘭を守れなかったのは俺の責任だ・・・
「ごめんな・・蘭・・・」
守る・・って決めたのに・・・
間に合わなかった・・・
「大・・丈夫・・だよ?・・ね?
だから・・謝らないで・・・?
・・・シンイチは・・悪くない・・・だって・・
間に・・合ったんだよ・・・?・・ね・・・だから・・
自分を責めちゃだめだよ・・・?」
蘭は俺の頬に手を当てながら優しく言った。
天使の様な・・微笑みで・・・・・
どうして・・・どうしてオメーは、いつも、今一番ほしい言葉を・・
言って・・くれるのだろうか・・・・
俺はそんなことを思いながら、眠りに落ちた・・・
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