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憐神
作:siko



決着


 1
 
 言葉と言うのは重要だ。口に出す事で、自身に暗示を掛ける。
 特に、能力で自分の身体のリミットを越えた動きをするというのは、能力による実利的な部分と、自身への錯覚と言う意味での暗示的な部分が両立して可能となる。
 だから、そう、もっと早く、もっと強く、限界など無く動けと。

 そうして俺は戦っている。ただの戦闘のための機械として。
 状況は刻一刻と脳に行き処理され戦闘のために最適な次の動きを導き出す。
 

 敵の拳を受け止めるこちらの腕、痛みは無いが損傷が激しい。
 もう30秒以上は続いているであろう戦い。敵の早さは何故かは解らないがこちらと同等の速さを以ってして応戦してくる。
 短期決戦のつもりが、これでは予定と違う。しかし考えても見れば奴も強力な産まれながらの能力者だ。
 例え自らの身体が痛もうともこちらと同じ手段で自らを強化することもありえなくは無い。
 しかしそうなると問題はどちらの身体が先に持たなくなるかと言う事になる。
 つまりこの人体の限界を超えた動きに先に肉体が持たなくなったものが負けると言うわけだ。 

 余計な事を考えるな。五月蝿い。
 
 五月蝿い、今は敵を倒す事だけを考えろ。
 でも解っているのか? このままでは「負ける」ぞ。五月蝿い。まだまだ開始30秒だ。
 
 そうして放ったこちらの攻撃を避ける敵。やはり未だ速さが落ちる事は無い。
 次の敵の攻撃を避けるため後ろに下がる。左足首に負荷が掛かり損傷。移動速度低下。
 
 次のこちらの攻撃はかわされたが今の一撃を放った事により肉体の許容運動量を超えたため右手首損傷。
 出力低下。
 
 敵の攻撃は……かわしきれず左手で受け止めるも衝撃を殺しきれず左肩及び腰激しく損傷。
 こちらは攻撃する暇も無く敵のローキック、これも避けれず右足で受け止めるも右足大きく損傷。
 大幅に移動速度低下。
 しかし敵も連携して動きを行ったため一瞬の隙が出来る。

 今の隙に大きく後ろに下がり敵を観察。

 おかしい。こちらと同じ速さで動き、なおかつ敵の動きには衰えが無い。
 明らかに異常だ。先ほどまでの奴の動きとは速さが全然違うのだから。
 それはまるで肉体強化型の動き。
 しかしそんなわけは無い。アレだけ俺に強力に侵入しようとした男だ。奴はハッカータイプだ。
 しかしならば奴は何故こちらと同じ早さで動き続けることができる?

 例えば奴が俺と同じように自らの脳に侵入して自らを強化しているとすれば、敵の動きが衰えない事への説明が出来ない。
 こちらも徐々にではあるが肉体が損傷してしまい、すでにかなり速度は落ちているのに。
 となると考えられるのは能力の制御の仕方の違いか或いはさらに単純に肉体の強度の差か……。

「どうした、足が止まってるぞ?」
「ハッ……!?」

 そうして気が付いたら目の前にある拳。
 そうして必死にそれを後ろに飛びのき避けようとしたその瞬間……。
 
 左足首の筋が「ぶちり」という音を立てて言う事を効かなかくなった。
 必死で目の前に腕をクロスして頭部への直撃だけは避けるものの衝撃と共に後ろへ吹き飛ばされてしまう。
 が、能力のおかげか空中でなんとか体勢を立て直し地面の接地も受身を使い転がりながらもなんとか大きな隙を作らずそのままの流れで立ち上がる。
 そして状況確認。左足首から先の動きがかなり重く上手くコントロールできず、両手は今の衝撃ですっかり痺れていてナイフを手放していないのが不思議なくらいだ。

 このままでは……なんとかけ活路を見出さなくては。取り合えず、時間稼ぎと状況判断だ。

「宗全、貴様、何故そんなに速く……」
「ふむ、貴様はなにか勘違いをしているようだな。私がお前如きと戦うために自らの肉体を危険に晒すとでも思ったのか?」
「なっ……。と、言う事は、貴様は俺とは違う方法で……?」
「ああ、貴様のやっている事は解る。自らの脳に自らの能力を侵入させたのだろう? 勿論かなり高等な技とは言え私もそれをしようとすれば不可能では無い。しかし、全く持って無茶な方法だな。そんな事をして肉体が無事なわけがあるまい。よって私にはそんな方法をとる必要は無い」
 
 な、そんな馬鹿な、だって先ほどまでの動きは明らかに人体の限界を超えている。説明がつかない。
 
「な、ならいったいどうやって。」
「ふむ、手札を晒す事になるが……まあ構わんか。私はな、肉体強化型の能力者でもある。無論、もとはハッカータイプだがな」

 そ、

「そんな馬鹿な。里の能力者は一人残らず能力者は精神干渉型か肉体強化型、そのどちらかの血筋で、一人が複数の能力を持つなんて」
「ふん、流石はあの石頭の武烈の息子だな。そんなことだから前に進めんのだ」
「なに?」
「こうして能力者は外に出て広義な知識を詰め込む事で先に進めるかもしれん。私がその例だ。私は研究所でこの力を授かったのだからな」
「研究所……研究所では、そ、そんな事が……可能なのか?」
「ふむ、可能……か。可能とは言いがたいな。不可能では無いと言っておこうか」
「……どう言う意味だ?」
「能力者が能力者たるために使用している脳の領域はほんの僅かにすぎん。しかしかしその領域を最大限に活用する事によってどちらかの能力者となれる。しかし普通の人間はそのどちらか一つの能力を使うだけでもそこの領域をオーバーロードする程に使役するのだ。二つも能力を詰め込んだら只では済まんだろう」
「な、ならどうしてお前は……?」
「運が良かったのだよ。私はな。研究所の中では人権など存在しない。無論、私は志願してもう一つの能力をつけたのだが、副作用無しで能力が付けれると解ったとたん研究所では理論上は両方の能力を付加することが可能と言った仮説から、さらに強力な能力者を作ろうと次々と人体実験が行われた。一種類目の能力を付加するところまでは上手く行っても二種類目の能力を付加しようとして成功したのは私だけだったよ。もともとの能力者としての素体が在ったからか、或いは単に運が良かったからかはわからんがな。なに、なかなかの見物だったぞ? 自分の周りで自分と同じ実験をさせられた人間が次々と死んだり廃人になっていくのはな」
「お、お前……そんなことを良く平気で」

 と、憤ったフリを見せても油断する相手でもなし、問題は解決しないから冷静に考える。
 しかし難しいな。状況が解った所で解決策は思いつかん。この時間を取った事によるプラスの材料と言えば僅かに肉体が回復した事くらいだがそれすらこの最悪の状況では大して好転させる材料になりはしない。

「ああ、少しお喋りが過ぎたか。そろそろ殺さしてもらう」
「ま、まだ、やらせはしない!」
「ふむ、まだ解らんか。貴様では私に勝てる事は無いという事が」
「そんな事、やってみなければ……」
「いや、そう言う意味では無い。とにかく今の貴様では根源的に私には勝てん」
「なんで、そんな事が……」
「言えるのだ。そうだな、解りやすく言おうか。今の状態でも貴様のほうが能力者としての力も戦士としての力も恐らく上だ」
「ば、馬鹿な、ならば今なんで……」

 今なんでこんな状態になってるんだよ……!

「そう。現実はこう言う状態だ。ふん、意識してか、或いは無意識では判らんが「急所を僅かにズラして狙う」貴様にやられるほど私も弱くは無い。一般人ならどうかわからんが、元の最上の武術、更に幼いころの貴様を知っている私から言えば、今の貴様の攻撃には威圧感が無い。」
「お、俺は、そんな事はしていないっ!」

 だってこんな極限状態でそんな相手に有利に働くような事をするわけが……。

「いや、確かに貴様は急所を外して攻撃している。しかし……やはり無意識にか。ふむ、そう言う所も武烈に似て……。やはり気に食わんな」

 そう言い捨てると宗全はこちらに向かって歩いてくる。

「ク、クソッ!」

 身体がもう、動かん。クソッ、せめて敵のあのよくわからない体術の規則性でも読めれば……。

「しかし最上の血筋というのも救いようが無い物なのだな。貴様も酷い偽善者だが、やはりそれは武烈譲りのもの。全く、武烈も罪な事をした物だ」
「何故父さんの名前が出てくる。父さんが、なにか関係あるって言うのかよッ!」
「ふむ、貴様のかせは、全てが外れたわけでは無いと以前言っただろうが。その枷が敗因になっているとまだ気付かんか。全く、御しがたいな」

 そう言うと宗全はこちらへ向かう歩を早めた。

「貴様をその枷から解き放って完全なる能力者にする事も或いは面白いかもしれんと思ったが……しかし、ここまでの男か。やはり貴様はここで死ね。最上零児」
「ク、ク……ッ!」

 チクショウ、せめて、せめてあと少し俺が強ければ、ここを切り抜けられるだけの力があれば、俺も死なずに、そして皆も無事に外に出せれて、それなのに、このままじゃ、このままじゃあ……ッ!

「さあ、今度こそ終わりだ。まずはその苛立たしい頭から潰してくれる」


「そこまでだ。全員両手を上げて壁に身体をつけろ。反抗する者には発砲する」



 幕間1


 全く持って手を出せない戦いだったんだ。その戦いは。
 自分も何年も剣道をやってきて、そして手には木刀を持っていて、肩には真剣もぶら下っている。
 長年の鍛錬、そして一年前から能力者となった今の自分の身体能力。更に得物もそろっている。まさに自分にとってはベストの状態。
 今の自分ならきっと、そう。銃弾の行き交う戦場の前線ですら生き残れるとそう思えるほどだったのに……。

 なのに目の前の戦いはまるで別世界だった。それは人間の動きを超えた戦闘。まさに伝説に聞く英雄達の戦いの再現のような、人知を超えた動きだった。
 今の零児は今まで見た彼の動きの中で一番速い。私が彼と初めて手合わせしたときですら今ほどの動きはしていなかった。
 しかし最初こそ相手をも圧倒する速さだったのだけどそれはやはり人としての規格外の動き。
 隣で見ているだけで彼の肉体が急速に損傷していくのが解った。そしてその度に鈍くなる動き。
 彼とは、短い付き合いだけれども、私のことを素直に受け止めてくれて我侭も聞いてくれて、そして強く生きる彼に私は好感を持っていた。
 それは、もしかして今まではそう呼べる存在が一人しかいなかった、二人目の「友達」って呼べる存在だったのかもしれない。
 だからだろうか、心が、痛い。何も出来ない自分が酷く歯痒くて、悔しい。

 でも、ダメなんだ。彼を手助けしようにも脚が竦んで動かない。これが格の違いと言う奴だろうか、以前酒場で感じたのと同じ感覚。
 今動けば、死ぬ。あの戦いに入って言ったらすぐにでも死んでしまう。そんな動物としての感が生きようとする肉体を動かす事を拒んでしまう。
 そして相手の黒ずくめの男が何かを話してそれに零児が激昂して返す。そんなやり取りが何度かあったときだろうか、その声が聞こえた。

「そこまでだ。全員両手を上げて壁に身体をつけろ。反抗する者には発砲する」
 
 ああ、何てことだ。そこまで自分が無防備だったとは。コレだけの気配に気がつかないなんてどうかしているとしか思えない。
 前も後ろも、廊下には芋の子を洗うように盾を構えた警官隊が主に戦い続ける二人とついでに私たちに銃を向けて狙いを定めていた。
 後ろから光と先生の脅えた空気が伝わってくるし、零児も動きを止めて観察している。
 
 しかし宗全とか言う男は特に気にした風も無く口を開く。
「ふむ、あと少しで終めと出来たのだがな。誰であろうと、私の邪魔をするならば……」
 そこまで言い右手を高く上に上げる。

「動くなっ!」
 警官隊全員の銃の照準が不審な動きをする宗全に向けて定められる。だが……


「排除するまでだ」

 そんな一言を呟き、世界を一変させた。


 2



 何てことだ、このタイミングで警官隊が来るなんて。
 奴のことだ、このまま彼らを無事に帰すとも思えない。そしてその予想通り……。

「排除するまでだ」

 そんな残酷な言葉を奴は言った。
 そしてその瞬間に廊下中に充満する能力。こ、コレはッ!

「う、うわわああわあああっ!」
「な、ななななな、手が、手が勝手にっ!」
「銃口がぁ、と、止まれよおおぉぉっ、いやだあああぁぁぁっ!」

 警官隊全員の手が銃を持ったまま強い力によってその銃口を彼ら自身の口の中へと入れていくと言う異常な状況になっている。
 そういうことか。 奴は彼ら全員の精神に進入して自殺に追い込む気なのか!
 そんあコト、許せる筈が、無い。

「させるかあぁっ!」

 気づけば知らずの内に右手を前に突き出してそう叫んでいた。
 もう、これ以上の能力の行使には俺自身が耐えられない筈なのに、能力を開放してしまう。
 だって、こんな、コレだけの人が命を失うのを、そして何よりそんな酷い光景を自分の後ろにいる三人に見せるわけにはいかない。
 そうして警官隊一人ひとりの情報を調査ロードする。
 彼らは自分の脳からの行動情報の命令すべてが宗全によって誤認させられて袋小路のように何をやっても自殺へと向くように書き換えられている。
 コレを破るには、宗全を倒すか、或いは、さらに強力な能力で彼らの行動情報を書き換えるかのどちらかしか、無い。
 そして今可能な方法は、後者のみだ。勿論そんなことは自殺行為だ。何しろ奴の能力は超強力だ。
 だからそれ以上の強力な能力行使などすれば、俺自身がが無事である保障は無い。
 今ですら能力の行使のしすぎで脳はオーバーロード直前。
 それにコレだけの人間に同時に能力を使うとなると出来るかどうかすら怪しいし脳も肉体も持たないだろう。
 でも、そんな迷いを許す時間は無い。
 気づけば……。

「全員、眠れえぇぇっ!」
  
 そう叫んで、全員の精神に進入し行動情報をシャットダウンした。
 同時に頭の中で何かぶちりと言う音がした。
 
 目の前で警官隊全員の動きが止まり銃を持ったまま全員が倒れた。
 そしてその周りに人が倒れている世界で俺は一人立ち竦む。何も出来ない、何かをする力はもう無い。何かを考える力も無い。
 そのままただ立ち竦む。その瞬間……。

「グヴァッハッ」

 猛烈な嘔吐感と痛みと共に、自分自身から鳴ったとは信じられないほど奇妙な音がして口から血が溢れ出した。
 まさに吐血、立っている事も叶わず、思わずそのまま倒れそうになった時。

「「最上君っ!」」

 両脇から誰かに抱えられて地面につく前に受け止められる。
 霞んだ視界には二人の女性が写っている。うん、なんつうかコレはそろそろ流石の俺も終わりかもしれん。
 でもまあ、最後に見るのが嫌なモノじゃなくて自分の好きな人間の顔を見ながらなら逝くのも悪くないかもしれん。

「最上君っ、何で、何でこんな事になってるの、何が、何で……!」
「血が、血が止まらないよう、血が、あ、ダメ、血が、ダメだよぅ、死んじゃあダメだよぅ…………」

 そんな泣きそうな声で言わないでくれよ、なんか俺が悪い事してる気分になるじゃないか。別に気にする事は無いのに。
 あーそんな、俺なんて地面に置いておいてくれればいいのに、血で服汚れますよー?
 それにしても無理を言う、死ぬなとは……ほとんど感覚はなくなってきてるし、碌に働かない頭でもわかるよそれは無理だって。
 だってさ、もうなんか血ぃ止まらないし今もギャポゴポとか変な音がずっとするから多分ずっと血ぃ吐いてるんだろうし。
 
 こんだけ血が出りゃぁ人間は死にますよ、そりゃあもう。だってコレじゃあまるでポンプだもんゴポゴポ。
 は、あはははは人間ポンプだぞうおれはははははは、あは、あははは、あははははは、なんか愉快だよ。
 目の前がだんだん白くゴポゴポいいながらもナッチャウンダモンアハハずぶずぶ。ハハッはハッははっハッハッははっ……
 
 そして、最後に自身の頭の中で「何か」が切れた感触がしたあと、五感は消滅し、「俺」は深く沈んでいった。



 幕間2

 私は、何を見ているんだろうか、それは本当に夢か幻かとしか思えないような風景だった。
 教師になるって言う事は色々な事を経験しなくちゃいけないだろうから、何を見てもすぐには動揺しない事、それを目標にずっと頑張ってきた。
 でもさすがにコレは反則だ、こんな中でで冷静に行動が出来るはずがない。
 まずは最上君と謎の黒い男の戦い。それは今まで見たどんな人間の動きとも違っていた。
 もはや目で追うことすら難しい、何が起きているかも解らない、そんな世界だった。

 しかし何より解らないのは警官隊が到着してからの一連の出来事。
 異常なまでに背の高い黒い男が排除すると言いながら手を上げた瞬間、えも言われぬ圧迫感と共に警官隊全員が銃口を口に突っ込みだしたんだから。
 何が起きているのか理解できない、理解できない、本当に、解らない。
 しかしそれは彼ら自身も同じようだ。みな「何故」だとか、「嫌だ」とか、「死にたくない」とかそんな言葉を脅えた顔で叫んでいる。
 でも事態は進んでいく。私はそれを口をあけたまま呆然と見守る事しかできなかった。

 そんな中、彼が、最上君が右手を前に突き出し叫ぶ。眠れと。
 そして、その言葉に呼応するように自殺しようとしていた警官隊は糸の切れた人形のように倒れ、眠りについた。
 沢山の人が倒れている中で右腕を突き出したままの形で立っている彼は、まるで知らない人のようだった。
 理解、できない。解らない、解らない。

 でも、そんな異様な光景すら、その後に起こった事に比べれば、些細な問題だった。
 彼が猛烈な勢いで吐血し始めた事に比べれば。

 だって、それはもう、人間とは思えない、ポンプだとしか思えない勢いで吐血しているのだから。
 理解できない、理解できない。いや、違う。理解……したくない。
 そんな時、彼が血を吐いたままぐらりと倒れそうになった。

「最上君っ!」

 解らないけど、理解できないけど知らずの内に身体は彼の身体を支えるために走る。それは隣の片山さんも同じらしい。
 そうして倒れる前に彼の身体を支える。不思議と近くにいる黒い男への恐怖心は感じなかった。そんなものを感じている余裕は無かった。
 でも、彼の吐く血は止まらない。理解できない、したくない。解りたくない。
 でも、コレは現実。

「最上君っ、何で、何でこんな事になってるの、何が、何で……!」
 自分でも何を言っているのか解らない。わからない現実の前に私はあまりにも無力だ、だって、ああ、血が、血が、ダメよ、ダメなのに。
 わからな過ぎて、まるで無力な自分を遠くから見下ろしているような、そんな錯覚に陥った。

「血が、血が止まらないよう、血が、あ、ダメ、血が、ダメだよぅ、死んじゃあダメだよぅ…………」
 隣から片山さんの錯乱している声が聞こえる。でも錯乱しているのは私も一緒だ。
 こんな形で、何もわからずに、生徒を、最上君を失うのは嫌だ。

 そうしていても血は止まらない。そうすると彼が、何かを話している。
 何も出来ない私は、せめて最後になるかもしれない彼の言葉を聞こうと聞き耳を立てる。

「ゴッポゴエプ。ゆかに……おい……て、ゴゲボッホッペゴプ……ふく、よご、れ」
 こんな時まで、いつかの様に彼は彼だった。本当にどうでもいい、人の服なんかを気にしたりする、最上君のまんまだった。
 でも血は止まらない。現実が、怖い。

 本当に理解したくない、だって、もう地面は一面血の海だ。
 本当に、本当に止まって、止まってよ!

「………」

 その願いが届いたのか彼は血を吐くのをやめた。
 でも、それは、吐く血が無くなっただけ。いや、むしろ血を吐くという動作さえ出来なくなっただけだという事が解りたくないのに解ってしまった。

 だって、彼の目は、もう何も映していないのだから。

「ふむ、我が身を捨ててまでも無関係なものを守ったか。最後まで気に食わない、流石は最上の血族といった所か」
 黒い男が口を開き近付いてくる。

「そこの女たち。さっさと「ソレ」を置け。お前たちが抱いているのはもう最上零児ではない。死体だ」

「嘘よ」
 知らずに口が動く

「嘘ではない、全く、現実を直視できんか。ソレはもはやただの肉の塊だ」

「嘘よ」
 そうよ、そんなことはありえない。だって、そんなことは理解できない。

「まだ言うか。早く理解しろ」

「嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ」
 理解できない解らない。だから、嘘よ。

「最上零児は死んだ」
 
 その言葉と共に、まるで頭を銃で撃たれたような衝撃が私に響き渡った。



 まさかの主人公死亡か。知らねえよそんなん。
 ソレよりお詫びしなさいよお詫び。
 え? 何の? 
 
 って嘘ですごめんなさい。
 いや、死にそうに忙しくて、今もコレかいてたら徹夜ですよ死にますよ。
 でも待たせてすみません。罪悪感はいつも持ってました。早く書かなくちゃって。
 今後長編書く時は完結してから投稿するって決めましたもん。いっぱいプロットあるんだけどさ。
 にしても読めば読むほど恋愛から離れる謎のカテゴリ「恋愛」小説。
 最初はさ、ジョジョ読んでてコレっぽい超能力バトルで現代でラブ米って面白うそうじゃね?
 って思ったんですけど書けば書くほど恋愛から離れる。
 なぜだっ!

 でもジョジョの奇妙な冒険面白いよね。最高!
 小説書くってムズカシい。

        /´〉,、     | ̄|rヘ
  l、 ̄ ̄了〈_ノ<_/(^ーヵ L__」L/   ∧      /~7 /)
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