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憐神
作:Siko



幕間


幕間



 暗い、どこかの廃ビルの中にある一室。二人の男が話している。
 時間は夜だろうか。照明は窓から入ってくる月明かりだけ。それに埃っぽい部屋が照らされている。
 窓の外にはネオンや車の明かりが見える。繁華街の中にある廃ビルだった。

「うへへへへー……そういうわけでこの街に送り込まれたのは女の能力者だぜ。なかなかいい女だったな。アイツは俺がもらう」

 そう言っているのは赤い髪の毛にサングラス。タンクトップにさらに腕には刺青をしている異様な格好の若い男。

「ふむ……そうか。タイプと強さは?」

 そうして相槌をうつのはその部屋の暗い闇に溶け込むような全身黒ずくめの長身な壮年の男。暗くなっており顔は良く見えない。
 大きな黒いコートを着ているせいで体型は良くはわからない。が、身長は二メートル近くあるのでどうしてもやや細身に見える。


「ああ、肉体強化型だ。俺のハッキングを防いだからかなり強力な能力者だ。でもまだ精神面で甘いところがあるぜ。俺とはちょっと相性が悪いけどアンタなら大丈夫だろ。まず負けない」

 返事をする赤毛の男。


「そうか……お前の能力を防いだか。しかし所詮は肉体強化型。強化されたとはいえ人体は人体だ。肉が皮を被って歩いているに過ぎん。所詮鋼鉄の刃や銃弾には勝てん。恐れるべき存在ではない」
「ヘッヘッへー、流石は「原典」様だねえ。言うことの重みが違うぜぇ。クヒ、クヒ、ウヒひゃヒハハハハ!」

 僅かに不愉快そうな男。笑い声が気に入らないのだろうか……。

「ウベヒヒヒ……フヒィ……。あ、そういえば報告し忘れてたけどこの街にはもう一人若い男の能力者がいるぜ?」
「ほぅ、それは興味深いな。そいつも国の狗の能力だけ獲得した出来損ないか?」
「いや、欲望に引きずられるタイプの純粋な能力者だ。ただおかしな所がある」
「なんだ?」
「そいつがその肉体強化型の女を殺そうとした事があったんだがギリギリで踏みとどまりやがった。まったく意味がわからねえ」
「む……そんなことが……?」
「ああ、そう言えば奴は研究所の存在を知らなかったな。もしかしたらアンタと同じ「原典」かもしれねえ」
「タイプは……?」
「超強力なハッカータイプだ。俺の能力が一度侵入してながらもそれを追い出しやがった」
「ふん、そうか」
「なあ……原典はもしかして殺戮を好まないとか欲望に逆らう力が強いとか……そんな特徴でもあるのか?」
「いや、そんな物は無い。むしろ研究所で精製された能力者よりさらに強く殺戮を好む傾向を持つ筈だ」
「へえ。じゃあなんであいつは殺さなかった? あいつ自身の精神力が強かったとか?」
「いや、原典の業はそんな物で払拭できるほどは甘くは無い。おそらく……暗示か……あるいはさらに強力な洗脳に近い物で脳のどこかにロックがかかっているのだろう。しかしそのロックを解除してしまえばあるいは……ふむ」
「へえ、気に食わねえなぁ。それ。殺戮をしない純粋な能力者なんて……クヒッ」
「ふむ、まだ敵になると決まったわけではないが敵になった場合はおそらくお前では太刀打ちできないだろう。コレは本腰を入れて準備をしておかなくてはな。敵にならないようにロックを解除するのも手だが……」
「ケッ、俺じゃあ太刀打ちできないって……ホザきやがれよ。ってオイ! なにアンタ能力開放してんだよ!」
「ふむ……いや、気にするな。ちょっとした娯楽の時間だ……」
「は?」


 カツ……カツ……カツ……カツ。
 下からだんだん近くなる足音。
 そうして階段を上ってきてドアを開けたのは……スーツを着たキャリアウーマン風の若い女だった。


「おいおい、どっから来たんだこの女?」
「なに、窓から下を見たときにこの女が歩いているのが見えたからな、呼んできただけだ」
「はあ? ここ6階だぜ? アンタの能力ってそんなに範囲広かったのかよ?」
「…………」
「あーもうシカトですかー?」
「邪魔をするな」
「へーい」

 カツ……カツ……カツ……カツ。
 そうして空ろな目をしたまま黒ずくめの男の目の前で立ち止まる女。
 そうして男はつぶやいた。

「戻れ」

 ガクン。

「へ、あ、わ、私は、あれ……ココは? アナタ誰?」
「ふむ。私は君を看取る者だ」
「へ?」
「絞まれ」
「あ……あぐうぅ……!」

 そうして突然女は自分で自分の頭を掴むと……反対側に向けて回そうとし始める。

 メキメキメキと音を立てて強く自分の手でありえない方向に動かそうとするために骨の軋む音が聞こえる。

「あ……いや……なんで……私……私の……手が……」
「あーあ、ケヒヒヒヒッ! 相変わらずえげつねえ能力じゃあねえか! 流石は原典!俺も誰かに誰かを殺させることは出来るけど相手の生存本能までは曲げられねえよヒヒヒっ!」
「…………」

 男は答えない。ただ無言で能力をこめていく。

「い……いやぁ……お願い……やめて……やめて……ゆる・・し……」
「安心するがいい」
「な……なに……が……?」
「今の君は美しい」
「へ?」

 バキベキベキッ!
 そうして女の顔は180度回転し絶命した。

「あーあ、やっちゃった。うわっ、ひでえ死に顔。相変わらず悪趣味だなアンタ」
「ふむ。褒め言葉として受け取っておこう。死体の処理は任せた」
「は? 俺が?」
「なんだ。嫌なのか?」
「チッ……やりますよ。やりゃー良いんだろう? マッタク……」
「ふむ」

 そうして死体を処理をする赤毛の男に思い出したように黒い男は話しかけた。

「そういえば、その原典とおぼわしき少年。名前はなんていった……?」
「ああ、ヤツならその女の能力者に最上零児って呼ばれてたぜ?」
「もがみ……れいじ……だと? まさか……最上の宗家の……か……。あの時の……まさかココで会おうとは」

 そうしてその男は口の中で名前を反芻する。

「なんだ、知り合いか?」
「ああ、ヤツはおそらく私を覚えていないだろうが私は良く覚えている。ふふふ……まさかあの時の最上の子供がとはな……フ……フフフ」
「フーン。まあ何でもいいけど」

 そうして赤毛男は死体の後片付けを続ける。

 窓の外はネオンが光り、社会無関心だ。他人が誰か一人いなくなったっても動き続ける。


「なに、それならば此方から会いに行ってやるか」
「はへ?」
「その最上零児は今は何をしているんだ?」
「あーん? 高校生っぽかったぜ?」
「そうか、一度会いに行ってみるか。昔馴染みの息子のよしみとして……な」
「なあ? それって学校にか?」
「ああ」
「俺も行っていい?」
「ふむ、来たいのなら好きにするが良い」
「えーマジー? やったね! いやさー最近街の女共の目も死んでるし楽しいことなかったし……何やっても詰まんなかったんだよべヒヒヒヒッ!久しぶりの刺激だ! あージョシコーセー……んーーいーヒ・ビ・キ!」
「いつ行くか決まり次第連絡をする」
「あのさー、まさかとは思うけどただ本当に挨拶行くだけじゃねえよなー!」
「何を言っている。挨拶に行くんだ。その最上零児が本当にあの時の子供なら簡単にはロックは外せないだろうからな……。ふむ、しかしどんな態度だろうとお前の勝手だがな。どのみちお前には最上零児のロックは外せん」
「へーい。解りましたセンセー! ボクちゃん学校行くの五年ぶりなんで良く覚えてないんですけどー!おやつは五百円までいいんですかー、あとバナナはおやつに入るんですかー!」
「ふむ、意味はわからないが好きにするが良い」
「ウヒヒハハハハッ! んージャアネー持ってクー! ウヒヒヒヒヘヘヘヘッ!」
「…………」


 もう深夜を回っている。しかし外ではネオンは光り続け、人の波も途絶えることは無い。


「えー……っとバナナは……ねえや。買ってくるか。じゃあ俺帰るからさー、日にち決まったら教えてくれ!」
「ふむ、前日にはしておいてやる」
「あははへへーありがたいねー!」

 そうして若い赤毛の男は出て行った。
 一人残った男は何事も無いように外を見続ける。

「フ……フフフフフ……。能力者としての矛盾を父親に抱えられさせて……苦しいだろう。今私が解放してやろう……最上零児」






 どうも、Sikoでふ。

 さて、今回は話中の段落がありません。

 でも勿論手抜きしたわけじゃないんですよ? 今回は時間が時間だけに他のキャラクターはみんなグッスリお休み中なんです。

 一応少し前まではたけだーゆりかーだけはだけは見まわってたんですがあまり能力感知が巧くない上、場所がずれてたので今夜はあきらめて帰って寝たところなんですよ。

 だから今回はまあ、ここで纏めるしかなかったと・・・。

 そう言えば「幕間」皆さん。コレちゃんと読めてますか?

 間違っても「まくま」とか読んではいけません。
 これは「まくあい」です。と言ったちょっとした注意なんかしてみたりしてー!

 ・・・まあいいや。

 さて、話は全然変わりますが・・・。

 先日恋愛の欄にアップさせていただいた短編小説「水」なんですが、改めて自分で読み直してみるとなんと言うか山無し意味無し落ち無しのすげえ作品になっております。
 
 しかし一応アレは初めて書いた短編なんですが私のパソコンの中のネタ帳にはそりゃああいう感じの尻切れトンボみたいなのがゴロゴロしてるんです。

 それで、まあ放っておいても自分の言った事はすぐ忘れる自身のあるSikoなのでそのうちウサギの糞のごとくポロポロ短編も出すとは思いますが、もしも今回のアレを読んで他のも読んでみた言うというウルトラマニアックな方が・・・まあいない気もしますが、もしそういう奇特な方がいらっしゃったら、メッセージがあればまた二三個転がしてみようと思っているしだいであります。

 ではまた。






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