表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋の詩

「コイノウタを歌おう」と、君は言った


そのカタコトな響きが、僕は好きだった


歌っている君は、溶けていた


空に大地に空気に、溶けていた


僕には君と世界の境がぼやけて見えていたんだよ


ただ君は、とっても音痴だったね


不協和音


君の声だけが世界と混じることができず、一人ぼっちの三角座り


僕は目をつぶって耳を済ます気にはなれなかったから


耳をふさいで目を済ましたんだ、あの日


無音の中、君はより一層輝いて


それはまるで、無音がはびこる深海で最古の巨生物に遭遇したような景色だった


僕には君が大きく見えた


だって、君と世界の間に境界など存在しないのだから


どこまでも世界に溶けだす君は、どんどんどんどん大きく広がった


気がつくともう、僕は君に飲み込まれていた


君が僕の境界に触れた瞬間、怖かったんだよ、本当は


でも、飲み込まれた今は、心地い



恋の詩は最後にこう、締めくくられる


「君のことが好き」


この言葉を言ったのは僕だったのか君だったのか


でも、二人の心は溶けあっていたのだから、それは大した問題じゃない




「ちゃんと聞いてたの?」


歌詞はわからなかったけど、僕は君の歌う姿に恋をした


「次は僕に歌わせて」


歌詞なんかなくても、メロディーなんかなくても


”恋の詩”は今ここに、完成した



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 若い感性、とてもよかったです。こちらも勉強させて頂きました。これからも頑張ってください。
2013/07/19 13:56 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ