来年の元旦は射殺しまくるぞ!
今年はホントいいことがなかったからな。うっぷん晴らしに射殺しまくってやる。
ふっふ。ニヤけてしまうなァ。楽しいぞ。ふっふ。拳銃をよく磨いとかなきゃ。
弾もたくさん用意しておこう。とにかくたくさんの人を射殺せねばならない。
しかし、問題は果たして元旦の日に射殺してもいいのか、という話だ。
なにしろ、元旦というのはとてもおめでたい日だ。そんな日に拳銃をぶっ放しまくると、そりゃオレは気持ちいいかもしれんが、他の人にとっては迷惑なんじゃなかろうか?
うーん。これは迷うところだ。
わからん。ちょっと神様に聞いてみよう。
ぷるるるるるるるる。
「はい。神ですけど」
「あ。もしもし。ボク、たけし」
「なんだ。いたずら電話か」
「違いますよ。ふざけないでください」
「ごめん、ごめん。最近、忙しいからさつい」
「ほんとにもう。まァいいや。ところで、神様。ボク聞きたいことがあるんだけど」
「なんや」
「元旦の日って射殺とかしても大丈夫ですか?」
「射殺!」
神様は受話器の向こうでビックリして輪っかが飛び上がって落とした。
あわてて拾う。
「お前、物騒なこと言うなァ」
「どうなんですか?」
「うーん」
神は腕を組んだ。
「まァ。通常ならね、そんなんされたらわしの仕事が増えるからな、いかんのやけども、しかし、来年はとにかくテロやらイラクやら北朝鮮の問題やらトヨタの過労死の問題やら温暖化やらとにかく仕事が山積みだから、まァええんちゃう?」
「てことは射殺とかしても天罰はなしと」
「うん。なし。わしも忙しいねん。そんなことしとるヒマない」
「わかりました。ありがとうございます」
「あいよ」
なんだ。あっさり許可が出た。
しかし、許可が出ると逆にやる気がなくなるなァ。やっちゃいけないと言われるから燃えるんだ。
しかし、男に二言があってはいけない。射殺すると言った以上は必ず実行しよう。
しかし、めんどくせえなァ。
元旦くらい、こたつでノンビリしていたいなァ。
あ。いいこと考えた。
代わりに射殺に行ってくれる人を募集しよう。
こういうのはヤクザがいいだろう。
ぷるるるるるるるるる。
「はい。こちら、暴力団事務所です」
「あ。ボク、たけし。あのですね」
「はい」
「元旦の日に仕事を頼みたいんやけど」
「どんな仕事ですか?」
「射殺です」
ヤクザは受話器の向こうで腕を組んだ。
「一応、射殺する相手と理由を聞いておきましょう。できれば、正月は危険な仕事は避けたいんで」
「相手? 別に誰でもいいよ」
「は? え?」
「理由もないよ。ないとダメ?」
「ダメって言われても、もし捕まったらうちの若い衆が臭いメシを食わにゃならんでしょう。それくらいは聞いておかないと」
「ふーん。そうか。じゃーいいや」
「すみません。お役に立てなくて」
「ううん。こっちこそごめんね。急に頼みごとしちゃって」
「いえいえ。また今度の機会に頼みます」
「うん」
ガチャ。
なんだ。ヤクザも軟弱になりやがったな。昔の無鉄砲さがねェぞ。
ああ。どうしよう。もたもたしてると、元旦になってしまう。
やはり自分で射殺しに出かけなきゃならないのか。
くそめんどくさい。うーん。やだなァ。疲れる。引きこもりそうだ。
しかし、男が一度やると決めたことをやらないのは何かダメだ。
なんとかして、元旦は射殺をがんばらねばならない。
あ。いいこと考えた。
子供にやらせてみるか。
公園に行く。
ちびっこたちがわらわら遊んでいた。
「おい。君たち」
「なーに。おっちゃん」
オレは拳銃を見せびらかした。
子供たちの目がキラキラ輝いてる。
「わーすげえ!」
「ワルサーP38だァ」
「これ、ホンモノなの?」
ふっふ、とオレは笑った。
「当たり前さ。どうだ、お前ら。これをぶっ放してみたくはないかい?」
子供たちは一斉に腕を組んだ。
オレは一斉に、やりたいやりたいと群がってくると思っていたので拍子抜けした。
「でもなァ。それホンモノなんでしょ?」
「ホンモノだよ。気持ちいいぞ。スカッとするぞ」
「でもお父さんに怒られちゃうし」
「この歳で殺人犯になりたくないよね」
「そうそう。遊びとは違うものねェ」
なんだ。なんだ。なんだ。最近のガキは何て腰抜け野郎なんだ。
オレがしょんぼりしてるなか、その中の一人の女の子がオレに尋ねた。
「おじちゃん。それって誰を射殺してもいいの?」
お。なに? 女の子のくせにやるじゃん。かっこいい! 骨がある!
「いいとも、いいとも。好きに射殺すればいいんだよ。これはおじちゃんからのお年玉だ」
みんなが、やめなよやめなよと言って女の子を止める。
それでも女の子は拳銃を受け取る。
ほっ。これで一安心。正月は寝て過ごせるぞ。
ぱあああああああああああああああああああああああああああああああああん。
女の子が放った弾がオレの心臓を貫通し、まもなくオレは地面に倒れた。
「き、気持ちいいわ・・・・」
女の子の目がギラギラしてる。こ、怖い!
「わー」
みんな一斉に逃げ始めた。
次々と鳴り響く銃声。そして、断末魔の叫び。
買い物帰りの天パーおばちゃんがそれ見て微笑んでる。
「ふふふ。子供は風の子ねェ。元気だ、ぎゃあ!」
流れ弾がおばちゃんに命中した。(了)
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