驚愕の出来事って言うのは、夢とみなしてしまうのかもしれない・・・・
というわけで、
「・・・」
真っ暗な部屋の中で、布団にこもる僕。エル・ローテル
現在就寝時間の十二時。早い気も遅い気もするけど、僕にとってはこの時間が妥当だ。
ぬくぬくと温まる布団の中で、うとうとと眠り始め・・・やがて・・夢の・・・なか・・・に・・・?
・・・ん?
何だろう?目の前に大きな物体がある。
あんなもの置いたっけな?・・・暗いからよく見えない・・・
・・・
・・・
・・・
「・・・誰?」
何でこんなことを聞いたんだろう、僕
人だと限らな―――
「サンタデース!」
その物体は大声で・・・え?
「うそォん!?」
慌てて電気をつけた目の前には、真っ赤な服に白髭付きの巨大なおっさんがいた。
どういうわけだか、僕の目の前にはサンタクロースがいるらしい。
と言うかこれはサンタと認めていいのだろうか。
何かを間違えたような赤白い(ほぼピンクの)服に、明らかな付け髭。何故か正座はしていながらも、巨体 とも言えるが如く僕の座高ははるかに超える、ざっと二メートル半だろうか・・・。
「さぁてこの不審者をどうするか」
「マジデスカ!?」
やはり通報すべきなのだろうか。この状況は。
家宅侵入罪と言うか何と言うか・・・
うーん・・・・
「貴方は誰?」
しかたないので、まずは事情聴取である。
「私ハサンタデース!」
・・・
「ええと、本当ですか?」
「ホントデース」
・・・
「じゃあ、この家に来た理由を言ってください」
「モチロン!子供タチニプレゼントヲ――」
「通報するか」
「エエ!?」
うそ臭い。というか嘘だろう。
このサンタは偽だ。うんそうだ。
「信ジテクダサーイ!」
「やかましい」
「エェ!?」
ん?まてよ―――
「サンタクロースって事は、プレゼントがあるんだよね?」
「ソウデース!ヨク気付イテクレマシタNEー」
・・・喋り方どうにかなんないかな。
「なりまーす!」
「あっそう」
「えぇ!?希望通りなのに!?」
夢なら覚めて欲しいと言った感じだ。さっき本当に寝たんだろうか、僕は?
「そう言えば、プレゼントのこと聞きましたよね?エルさん」
「ええ、そうですけど、本当にくれるんですか?て言うかなんで名前知ってるんですか?」
「もちろん!私はサンタですから!」
答えになってるのか、これ?
というか名前知ってるのは、いかにサンタと言えど怪しさが増す。
でも、プレゼントをただでくれるんなら、それはそれで嬉しい。
「確かアナタは―――これですよね?」
「あっ!それは・・・」
僕が前から欲しいと思っていて――いや、むしろ小さいときから欲しがっていた・・・
「・・・メガネ?」
「違いますか?」
・・・
・・・ええと・・・
・・・
「ちげぇぇぇぇぇ!!」
「えぇ!?」
自分は何を考えてたんだと疑うばかりだ。まさかこのサンタは洗脳術でも持ってるんじゃないのか?
いや違うだろう。多分自分のボケだ。うんそうだ。
「では、これですか?」
サンタは僕の焦りなど微塵も感じ取らず―――て言うか自分の失敗も認めないのかこのおっさんは。
と、言うか、今出したこれは・・・
「ただ柄が違うだけのメガネじゃん!」
「えぇ!?度も違いますよ!」
反論すべきところが違うだろ。と思ったが、ちょっとこれは言わない事にする。
つか、このサンタは「エル君が欲しいのはメガネ」というのに固定しているらしい。
目なんか悪くないし、メガネフェチでもない。どうにかしてくれこの勘違いを。
「あ、まさか・・・」
いきなりひらめいたような素振りをサンタは見せて、口笛を吹いた。
何で口笛?
・・・と思ったのもつかの間、最悪の光景が目に入った。
「うわぁぁぁ!」
―――サンタが増えた。
正座をしていたさっきのサンタの、斜め後ろに二人。更にそれらも正座している。
何者だよ・・・この人たちは・・・
というか本当にどこから入ってきたんだ?瞬間移動のように瞬時に現れるし・・・
「107号と118号さん、このエル君が欲しがってたのって何だっけ?」
しかも確認の為の呼び出しですか。しかも号数からしてサンタは相当な量がいるようですね。
そして、あまり間をおかずに、107と指差された左後ろのサンタが言った。
「メガネじゃなかったっけ?」
更に、後押しをするように118サンタが言う。
「メガネでしょう」
そして最初の正座していたサンタは、手をポンと打って、
「そうですよね。エル君はやっぱりメガネですよね」
納得した。
・・・
・・・
ああ、そうか。僕が欲しがってたのってメガネなんだね。
「ではどうぞ、メガネです」
「・・・」
貰っておこう。
「ええと、ありがとうございます」
そして僕は、悪趣味相当のめがねを貰った。正直いらない。
「では、受け取ってくれてありがとう、エル君。では私たちの存在は忘れてくれるかな?」
という事は、運悪く出会ってしまった人は皆こういう忘れろ催促をされるのか。
「・・・ええ」
嗚呼、なんだか色々と嫌になってきた。
「では、御休み」
・・・やっと、やっとこれで現実に帰れるのか・・・
「おやすみなさい、サンタさん達」
僕は電気を消してベッドに潜り込んだ。そして目をつぶった。
―――次起きたときには現実でありますように。と、僕は願った。
そして、うとうととしたとき、サンタは言った。
「Good night(良い夜を)」
――せめてメリークリスマスと言ってくれ。
寒い。
「布団から出たくない病」が毎朝のように発症したが、こもっていても治らないので、決意して布団から出た。
相変わらず寒い。
―――そういえば昨日の事は嘘だったのだろうか?
本当だったら嫌だが、本当だと言い張るだけの「証拠」が無いだけに、嘘だとか虚像だとか言い張れる。
・・・証拠?
・・・
・・・
・・・
・・・
なんで僕、メガネかけてんだ?
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