桃色の花縦書き表示RDF


桃色の花
作:まりも


 汗が滴り落ちるのがわかる。僕は汗を紺色のハンカチで拭った。僕は今営業で外を歩いている。僕には家族はいない。彼女も。欲しいとは思うもののこの人だという人に出会わない。特にこれといった趣味もない。幼い時から僕は運動能力、学力、全て平均的だ。
 そろそろ腹がへってきた。僕は昼を食べるために公園に入った。その公園は滑り台とブランコしかないどこか寂しい公園だった。
 僕はベンチに腰をかけ、コンビニで買った、おにぎりを口へと運んだ。
すると桃色の小さな花が目に入った。小さいがとても可愛い桃色だった。僕は思わず、笑みを浮かべた。
「その花…好き?」
可愛い子供らしい声が耳を通った。僕の目の前には真っ黒な髪でおかっぱの白いワンピースを着た小学校二年生位の女の子がいた。
「好きだよ。」
僕がそういうと女の子は嬉しそうに微笑んだ。
「君も好きかい?」
僕がそう言った時にはもう彼女はいなかった。
次の日、僕はまたあの公園へて向かった。そしてあのベンチに座り桃色の花を眺めた。するとまた彼女が現れた。
「やぁ。」
僕は少し微笑んで言った。すると彼女は僕の隣に座った。
「あの花をみてるの?」
「そうだよ。」
そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。そして彼女はまたいなくなっていた。次の日、またあの公園に行き、ベンチに座り、あの花を眺めた。すると、また彼女が現れた。
「あの花を見てるの?」
「そうだよ。」
すると彼女はまた嬉しそう微笑んだ。
「あの花はきっと幸せだね。」
「えっ?」
「おじ…お兄ちゃんに見られて。」
彼女は笑顔で明るい声口調で言った。
「僕に見られて…?」
「うん!だってここの公園他に人来ないし、こんな小さな花だれも見ないもん。」
彼女の顔は少し寂しそうに口を重々しく動かしながら言葉を発した。
「だとしたらもったいないね。こんな可愛い花なのに。でも、もう一人、この花を見てる人…いるじゃないか。」
僕は少し微笑んで言った。
「えっ!?」
彼女は目を丸くして反射的にそう言った。
「君…。君もあの花を見てる。」
「私は…」
彼女はそう言うと口をポカァンと開けたまま何も言わなくなってしまった。
「その花は君に見られて幸せだよ。」
彼女のほっぺは赤く染まっていた。
「違うの。私はその花自身なの…。」
「えっ!?」
僕がそういうと彼女はまた消えてしまった。彼女は何者なのか…。気になって僕は次の日もその次の日もいったが彼女は現れたなかった。てやがて桃色のあの花も枯れてしまった。
僕は会社の同僚にその話をした。
「その子…花の精だったりして…」
同僚の美恵子はワインを一口飲んでぼそりと言った。
「花の精?」
僕は思わず、目を丸くした。
「そう。花の妖精さん。都市伝説ってやつかな。その花を本当に好きになった人にだけ現れるだって。自分の一番の願いをきいてくれるとか。」
美恵子は目を細めてそう言った。
「へぇー。美恵子、そういうの、信じるんだぁ。」
僕はそう言って白ワインを一口流しこんだ。
「まさか。あなたの夢じゃないの?」
彼女がそう言うと僕は少し苦笑いした。
「だな。」
だが僕は美恵子のような女性と出会えたのは、花の精のおかげだと思っている。














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう