追記
……修正したら、なんかユウジが変な性格になってるな
第一章 プロローグのプロローグ
第009話 1-9 プロローグのプロローグ
一日の授業が終わり、足早に教室を後にして帰路に着く俺ら。
俺、桐、マサヒロ、ユイ、ユキのいつものメンバープラス桐の五人で通学路を歩いていく、そしていつものことだが歩いて数分経たずに――
「ではワタクシは失礼サセテモライマショウ」と謎のカタコト喋りを展開するユイが去り。
「さらば」とさっくりマサヒロも消え失せる。
そうして順に俺と桐とユキの三人で日が落ちる中を歩いてゆくのだが……
「――――」
桐は俺の手を握って一緒に歩いている。傍から見れば兄妹どうしが手を繋ぐ仲睦まじく、大変微笑ましい光景なのだが、しかし……
「(ゴゴゴ)」
こいつは無言だったが、俺の第六感が何かを感じた。今までと雰囲気が違う……どこかが違う。
桐は無表情に近く、微妙に笑顔が見える程度で不気味だった。更にはドス黒く言葉では表現できない奇怪なオーラを醸し出す桐は、俺から見るに明らかに不機嫌だった。今までのこいつの性格を考えるに今は怒ってることになるだろう。
ええと、なんか言ったほうがいいのか?
「桐、学校はどうだったか?」
「とても楽しかったです(棒)」
まずいな、ご自慢の演技力が事務所ゴリ押し新人声優のごとく棒演技になってらっしゃる。これはかなりキレとるな。
「おにいちゃんってほかの女の子と仲いいんですね、女の子と」
強調して言った。今回に限っては大事なことは二度も言わなくていいですから。
ああ……絶対その”俺と女の子との中の良さ”が不機嫌な原因だろうな。まったく、こいつの独占欲の強さには呆れるぜ……ヤレヤレ。
と、ため息をついていると、隣を歩くユキが呟く。
「あのさ」
「ん?」
桐がいるのに気をつかってくれたのか、今までだんまりだったユキが――
「なんか妹さんを中心に挟むと、子連れみたいだよね」
「……え?」
まさかの爆弾発言。思わず声が漏れてしまった。というかその発言は――
俺とユキさんが夫婦ってことになってしまうのでは?
「?」
俺、若干照れ気味である。ベッタベタだけど、そこがいい。……ユキに言われるとか本望だわあ。でもそれは相当に恥ずかしいことでもあるわけでして。
一方で最初は首を傾げていたユキ。しかし、ゆっくりと、自分の呟いた言葉の意味を考え出して――
「あっ!?」
どうやら気づいたようで。
……やっぱ意図してなかったかー、少し残念に思うけども仕方ない。
「な、なんでもないっ! 今の忘れてっ! 消去してっ」
「え、あ? わ、わかった」
消去は出来ないというか、出来ればしたくないな。これこそ脳内メモリーに保存して夜、布団に入りながらニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべながら思いだしたいわけで。
まあ、でも意味を既に理解していた俺としても恥ずかしいことこの上ない。だから眠りに就く時だけにしか思いださないつもりだ。
それと、桐さんや、次第に握る力が増してますぞ。さらになんか手じゃなくて手首に掴み変えたね?
血ぃ、止まる。いや、マジで。なんか手が黒く成り始めてるから。壊死するって、本当に。
そんなこんなで痛みをこらえている頃。
「じゃ、じゃあねっユウジ! また明日っ」
と言って駆けていった。照れた表情のユキは至高だった。そしてユキの背中が見えなくなるのを確認してから、今かと言わんばかりに桐が動く。
「ぅん?」
桐はヤクザ顔負けの睨みを俺に向ける。睨みで人を殺せそうな勢いだな。もうどっかの組長になれよ、ロリヤクザって斬新だぜ?
なんか凄い一部の層に大受けしそうだな……主に大きな子供の入組希望者続出?
「このクソ主人公がっ」
イン通学路、古い喋り方第一声は俺への罵倒の言葉でしたとさ。
「個性豊かな女の子といちゃいちゃいちゃいちゃ(以下二分に渡って続く)……しおって! この女ったらしが」
……ひどい言われようだ。俺がそんなにベタベタしていたか、それはないね。分別は弁えてるさ。
それに女子って言ってもユキ一人じゃないか……あ、一応ユイもか。だから桐の俺へ向ける怒りは納得がいかない、それは極めて理不尽だと俺は思うね。
だからこんなことでは折れるわけない……一番の有効策は相手にしないこと、とりあえずスルーしとけばいいだろう。
「…………」
「あんだけ幼馴染ルートに入るなと言っているのに、もう入りかかっておる」
「え、マジで?」
いぃぃよっしゃぁとりあえず幼馴染から攻略だぁっ! ユキはめっちゃタイプだし、やったっ!
さっきまでの冷静な自分グッバイ、ハイテンションな俺こんにちは。もう嬉しいね、ユキと付き合えるチャンスだって。もう素晴らし痛っ!?
ガシガシガシ……気付けば俺の足は桐の小さいけれどなんともパンチの効いた力で足踏み式空気入れのごとく踏みつけられていた。
「足を集中して踏むなっ」
「黙れ、クズ」
俺はエムじゃあないですよ。だからこんな老人喋りの出来そこないみたいな奴に言われても嬉しくもなんともないわけよ!
というかクズまで言われて嬉しいのはある特殊性癖を持った一部の人々だ! そこまで卑下されて引き下がるものか、俺も反論だ。
「うるせぇ! なんといわれようと俺は幼馴染街道を突き進んでやるぜっ」←全力でダッシュ
反論と反抗。逃げるが勝ちだ、言い逃げすればこちらのもの! はは、高校生の脚力と小学生の身軽さ、果たしてどっちが早いかな?
「あ、待てっごふ!?」←全力で転倒
ばーかばーか転んでやんのー、誰が待つかばーか←クソガキの典型。
「許さぬぞっ! なにがなんでも妹ルートに入れてやるからなああああ 」
逃げ切った。思わずガッツポーズを取ってしまうぐらいに勝利の気に満ちている。なんとか家にたどり着き俺の部屋に入れた……どうなることかと思ったぜえ。
「どうなること、とは?」
「わっ!?」
桐がそこには居た。神出鬼没とはこのことを言うのだろう。俺を追い抜かすってどんな技使ったんだよ、瞬間移動かなんかか?
あれか、ワープポイントとかが俺のタンスやら机の引き出しに入ればあるってのか? ……それは流石にないか。
「さぁ観念して妹ルートに入れ」
なんだろう。既にこの会話の時点で「妹」とコイツを認識出来ない、したくない。本当の妹ならそんな”妹ルート”なんてメタなこと言わねえよ!
「ふざけるなよ」
「な、なんじゃ」
「妹がルートとか言わねえよっ」
「今頃いうか!? 一部には需要があるのじゃ!」
「一部の存在は認めるけど、俺にとって需要は全くないな。他を当たってくれ」
「う、うるさいっ! わしもす、好きでお前なんぞの嫁にされとうないわ」
なんと嫁とは、いきなり飛んだな……ああ、勿論俺はお断り。
「俺の嫁にする気はさらさらねぇ」
「なら婿がいいか」
性別なんて些細な事ですか、そうですか……って、そういう問題じゃねえし!
「べ、べつに貴様のために婿になってあげるんじゃないんだからねっ☆」
無茶苦茶だ……もう突っ込みきれねえ、せめて嫁には戻せ。
「いいかげん同じ展開は飽きてくるぞ」
桐、私の嫁になれっ。俺、断るっ。桐、黙ってわしの婿になれっ。俺、全力でNo thank you!。……の以上無限ループのこと。
「むむう……ならそこに寝ろ」
「はい?」
何を言ってるんだこいつは。てか、ここは俺の部屋だってーの、指図すんじゃねえ。
「わしが押し倒――」
「アウトォォォォォォォォォォ!」
「なら深い接吻でも、ディー」
「あうとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! このゲームの対象年齢一五歳以上だから! それやるとR-18指定が入るからっ、絶対に」
今日ぐらい動転せずに冷静に事を対処したかったというのに、このエセ妹は……っ!
「なら、どうしろと」
「まずそこに座れ」
「こ、こうか?」
「それで待機」
「分かった」
さてと……俺はパソコンでも立ち上げるか。
「で、俺がパソコン机に座る」
「それで?」
「俺がネットサーフィン」
「で」
「待機」
「わかった」
さてとー。とりあえずこのギャルゲの攻略サイト見つけんとな。先をある程度知っておかないとショックで気か理性を失うかもしれん。
「…………」カチッ、とマウスのクリック音。
「なぁ」
「…………」カチッ。
「わしは……」
「待機」カチッ。
「し、承知した」
変なとこ従順なのな……一応桐は自分の益の為だから利には叶っているんだろうけど。
「…………」カカ――、とスクロール。
「…………」
「…………」カチッ。
「わしはどうすれば」
「待―― へぶっ!?」と、桐の拳が顔に入る。
「っ、いってぇな!」
「馬鹿にするのもたいがいにしろ貴様! この動作に一体何の意味があるのというのだっ」
「意味ならある」
そう、重大な意味だ。
俺が今まで無意味なことを言ったか? ……前例が少ないから何とも言えない? だとしても、これは俺も満たし、桐も満たす。メリットに溢れた動作なのだ。
俺は休息を、桐も気を紛らわす。そう、それは――
「言ってみよ」
「これもプレイの一つだ」
「…………」
「放置というプレイの―― ぐあっ!?」桐の足が俺の顔へめり込んだ。
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