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第十三章 気になる彼女は○○○で×××で。<手作り弁当633kcal>
第377話 √3-29 気になる彼女は○○○で×××で。
「え、私に――に――て欲しい? なんで? ……あー、そうなんだ。少し心配、と。うーん。少しお節介かもしれないー……うん、偶然かもしれないし。でもユウくんはやっぱり優しいね……だから少し聞いてみてから考えてみよっか?」


* *


 七月十二日

 生徒会でも暗躍しがちな姉貴はあまり表だって発言をしない。それでも実質会長を務める姉貴が発言したらでかなりの説得力を生ませる。
 まあ、会長は発言し過ぎなのもあるが。

「”生徒の昼食調査”の前段階として、生徒会役員のお昼を抜き打ち検査します!」

 姉貴がホワイトボードの前に立って、いつもの会長ポジを乗っ取るがごとくそう言い放つ。
 ちなみに”生徒の昼食調査”ありそうでなかった試みで、学食なのか購買なのか弁当持参なのか買い食いなのか……あまり把握できていなかったらしい。
 ちなみにテスト返しの日で時間も早く終わりだから、本来生徒は帰宅しているのだが、生徒会は構わず活動だ。
 せっかくはやく終わるのにいつも夕暮だからと帰ってしまう二時間ほどの活動時間しかないに比べれば、今日は十一時には全員が集合するので活動時間はたっぷりだ。
 そしてそれ故に昼を跨ぐ時間にもなる。
 
「私は弁当持参ね」

 鞄から取り出すのは楕円形の小さな二段重ねのお弁当箱。

「ちなみに中身はこれね」

 取り出すと、所狭しと色鮮やかなおかずやご飯が並んでいた。

「チサさんってこういうお弁当だったんだね」
「ミナは見たことなかった? 半手作りで、半分はお父さんに作って貰ってるの」

 なんか意外だ。半手作りということはチサさんが半分作ってるのか……思いのほか家庭的なんだなあ。

「私も同じ感じっ!」

 会長が取り出すのは楕円形の小さいまでは合っているが、平弁当。

「ただし全部おとーさん謹製」

 ドヤ顔で、である。
 お次は福島で、

「おう。アタシも似たようなもんだ」

 と、言いつつも福島のは男子学生が使いそうなアルミ製の長方形の二段重ね。結構容量あるんだよな。

「自分はコレですわぁ」

 ユイは持参弁当。それも俺製――ではなく姉貴製。
 夏だからと、スタミナが付きそうな生姜焼きや、梅肉と酢を使ったワカメやモヤシを和えた三杯酢。塩の効いたダシ巻き卵などなどな夏メニュー。
 このユイにつくるパターンは変わらないのだが、それじゃ俺とユイの同居がうんたらかんたら。
 そこで俺は――

「俺はカレーパンで」

 持ってきたのは好物のカレーパン。金座カリー(中辛)とヤマゼキの二種類だ。
 なんというか複雑なのだが、姉貴は俺製のものを、ユイのを姉貴がつくって、俺はカレーパンで済ませる。
 そうすることで、ユイ同居もバレないし。第一俺はカレーパンが食いてえからだ!

「あ、私は持参だよ」

 姉貴はやはり自前お弁当――でこちらは俺製。姉貴のどこはかとなく味で誤魔化さない、素材の生かし方色々含めて勝てる気がしないので味付けにこだわった。

「あれ、シモノとミナはなんで違うの?」

 この質問も想定済みだッ!

「カレーパンが食いたい気分だったんで、作ってもらうのやめました」
「ユウくんがそういうから仕方ないよね」

 で、ここまで色々と前談。

「クランナさんはどう?」

 姉貴がそう、促し。

「……コ、コンビニ弁当ですね」

 取り出すのはやはりコンビニかスーパーで売られている弁当。

「今日のおひるごはんは分かったけど、今日以外はどうしてる?」

 姉貴がそう言うと、クランナがビクと反応するのが目に見えた。
 「学食のおうどんとのローテ!」会長やチサさん「忙し時はウィダーもあるけど、最近は暇だからお弁当」や福島「たまにお握りもあるな!」は今はどうでもいい……ちなみにクランナは真面目だ。

「買ったコンビニ弁当と学食とかが殆ど……ですね」

 言わせてしまえばこっちのもの。

「クランナさん、女子高生のこの時期は大切な時期だよ? あまり偏ったものはダメだと思うな」
「そ、そうですよね……」

 そして姉貴が考え込むように目を瞑って、少し見開いて俺の方へとウィンクを飛ばす。

「……よし分かった! クランナちゃんここ一週間は私がお弁当を作るからっ」
「え……え」 

 衝撃の展開? あまりに唐突に決まったことにクランナ以外も固まる。

「大丈夫だよ、ちゃんと私のお弁当は栄養バランス考えてるから!」
「そうではなくてですね! なぜ、下之副会長が私のお弁当を……?」
「決まってるじゃない、生徒の模範の生徒会役員が不規則なお弁当ばかり食べてちゃダメだよ!」
「じゃあ、自炊してみます!」
「クランナさん来たばかりだから大変でしょ? だから、夏休みまでは私が作ります!」
「へ、いや、あの……」
「お昼時だね。じゃあちょっと私のお弁当食べてみて! それから答えは聞くからっ」

 姉貴は基本優しいが、優しい口調でも畳かけることが出来る。
 俺の考えた作戦だけに色々とおかしいのだけども反撃の隙を与えないのが、姉貴スタイルでもある。

「い、いただきます…………っ!」

 驚きの表情をみせるクランナ。冷めても美味しいよう考えた煮物に手を出したのが運のツキ。
 ホニさんから色々と教えて貰って俺も大分上達したのだ。

 こうして姉貴製の弁当(となっている俺製のもの)を、これから夏休みまでの間クランナに渡すこととなった。 
 姉貴に作らせるのは仕事増やすだけで、俺が考えたことで、今回は、これからも姉貴は協力してもらうだけ。
 
『え、私にクランナちゃんに演技して欲しい?』
 
 姉貴はさっきまでの台詞らしきものも俺が相談した直度に構築して、俺と姉貴が色々と考えた結果こうなった。
 倒れたのも一概に夏のせいだけではない気がした。食生活も関係あるのかも、と思わせたのが偶然にしては続くコンビニ弁当。
 決め手は購買に行く際にちらり覗いたクランナの食事風景。コンビニ弁当かパンの二択だったことだろう。

 こうしてお節介な俺は廻りくどいやり方でクランナの昼食をつくることになったのだった。


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