ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
更新頻度落ちて来ました。
第三章 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。
第038話 3-9 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。 
四月三〇日


 清々しい朝。 目覚ましの騒音に叩き起こされるも、温かい太陽の光が迎えてくれる。 うーん、爽やか。

「ん……」

 俺はバサリ布団を払い除け、起き上がると、まず時計に視線を移した。 時計は……と。

「……7時ちょうどか」

 久し振りにぐっすり眠っていたせいか、今日は思いのほか体が軽い。 よっしゃ、今日の俺はイケる!

「あー……制服のまま寝てたのか」

 よっぽど疲れていたんだな、と昨日の自分を思い出す。 これで、ゆっくりと起床すれば――

「ユウジー朝だぞー! 起きろー!」

 ……聞き慣れた友人の声。 ああ――

「ユ……イ? あっ」

 そうだったよ。 ユイが昨日引っ越してきたんだったな……

「おはようユウジ氏、清々しい朝だぞ! 起きるんだ!」

 イライラ……朝っぱらから叫んでんじゃねぇよ……頭に響くぞ。

「さぁ早く! 今日楽しい一日が始まるそ!」

 あ、そうだね……でも、その楽しいかもしれない一日の始まりで、不快になりつつあるんだけど。 一日のスタートを見事に失敗してる気がするぞ。

「なぁなぁユウジ殿ユウジ殿』

 温厚に定評がある、俺も流石にカッとなってしまった。 いや、仕方ないよね! だって寝起きにぎゃあぎゃあ騒がれちゃ、俺も怒っちまう訳ですよ!

「うるさいっ! とっくに起きてるわ」

 ったく……ユイのせいで、俺の爽やかモーニングが台無しだよ!

「おお、起きていたか」

「昨日はゆっくり眠れたかい? 凄い疲れていた様子だったからのう」

「ああ、おかげ様で」

 寝る直前、ブッ倒れる前に出来れば川やの位置を聞きに来なければ、言うこと無しなんだったんだがな。 寝起きに騒がれなければ尚更良かった。

「降りようぞ、ユウジ殿」

「はいはい」

 ……まぁ、制服のまま寝たせいで、着替える手間が無くて助かったな。 制服ヨレヨレだけども、ウチの学校はそこんところあまり厳しくないし。
 鞄と学ランだけを持ってユイと共に一階の居間に向おうとした時――

「お兄ちゃーん☆ おはよー」

「ああ……おはよう」

 朝からハイテンション猫かぶり……もう既に恒例だな。

「昨日はよく眠れたか?」

 猫かぶり終了。 ……というかユイと同じこと聞いてきたなぁ。

「まぁな、なんとか」

「そうだ、ユウジ耳を貸せ」

「え?」

 と、言って背の低い桐に合わせて身をかがめ、俺は耳を貸す。 ん? なんだなんだ?

「(今日はイベントがあるんじゃぞ)」

「(おお、そうか。 いつも情報ありがとうな、桐)」

 それは素直な気持ちだったりする。 だから、俺の表情も自然と笑顔になっているかもしれない。 なんだかんだ言ってその予告のおかげで心の準備をある程度出来るしな……

「(ば、ばかもんっ。 こんな時だけ優しい顔を見せおって……卑怯じゃ)」

 そう赤くなって呟いていた。 熱でもあるのか? ――そう聞こうとしたが、俺のフラグセンサーが警告し始めたので止めた。
 下手すると桐のフラグを……あ、折ってもいいか。 まぁ機嫌が良いのはいいことだし、その質問は胸の中にしまっておこう。

「みんなー! 朝ご飯出来たよー!」

 下から聞こえる姉の声……おお、飯か!

「では、ユウジのお姉さんの朝食を頂きますか」

 そうユイが言った……たまに入るシャッキリ一般人応対モードのユイだな。

「ああ、そうだな」

「(ほ、ほれてまうやろー?)」

 桐が何か呟いていたが気にしない。 下手にフラグを乱立するのもよくないんだぜ! こうして俺らは階段を下りていくのだった。


 で、だ。 朝食を食べ終えて。

「はいユウくん、ユイちゃん、桐ちゃんお弁当」

 と、言って姉貴が俺らに巾着入りの弁当を手渡し。 あらかた準備を終えると、玄関に移動して靴を各自履き始めた。

「行ってらっしゃーい☆」

 そして桐は、遅れながらも玄関まで見送りに来ていた。

「行ってくる」

 桐の見送りに答える、俺。

「よーしパパ、行ってくるぞー!」

 と、ユイ……随分若いパパですね。 って、突っ込みどころソコじゃねぇ! 

「行ってくるねー、桐ちゃん」

 で、姉貴だ。 久し振りの姉貴との登校……下校は最近一緒だが、昨日だけは姉貴が早く帰ってたな。 いつもなら、生徒会の仕事でいつも早めに出ているからな。
 まぁ、更にユイも一緒になった訳だけど。

「…………」

「どうしたユウジ? 私の顔なんてジロジロ見て」

「いや……常にその眼鏡なんだな、と」

 なんで、そう眼が隠れるような眼鏡をずっとしているのだろうなーと。 中学時代、それも一番最初に会った時からそうだ……ユイの素顔って見たことないんだよなぁ。

「ああ、デフォルトだー!」

 相変わらず何処で売ってるのやらなグルグル眼鏡、売ってたとしてもパーティグッズだろうな。
 そんなパーティグッズを日常生活で使う奴が現れるとは、製造会社も夢にも思わないだろう。

「そういえばユウジ」

「ん? なんだ?」

「キロリはずっと家に居るのか?」

 桐+ロリ=キロリで定着してしまったらしい。

「いや、少し遅れて小学校に通ってるんだ」

 話で話題になってなかったので言わなかったが、桐も立派な小学生で、俺らが登校した約10分後に自らも学校に向う。
 登校直前にしっかり鍵も締めて行くことや、学校での行いの良さから、学校では”しっかり者の桐ちゃん”で通っているらしい(噂だが)

 ごくたまに学校を抜けだしているが、それも理由をしっかり付けているらしい(桐供述)
 まぁ今後、桐の小学校の話題は出ないと思うので、念の為に補足しておいた。

「そうなのかー ……いつか小学校に行ってみるかな」

「いや駄目だから! それ下手すりゃ警察沙汰だから! 大体の小学校は「関係者以外立ち入り禁止」の看板があるだろ?」

「親族だからいいはずだ!」

「”親族だからで”下心が許されると思うなよ!」

「ちぃ、バレたか」

 大体想像着くわ。

「それにしてもユイちゃん」

 姉貴がユイに話かけた。

「ホント大きくなったよねぇ……」

「ミナさん、中学生頃は色々お世話になりました」

「いいえいいえ! ユウくんと、遊んでくれてありがとう」

「いえいえ! あと、昨日からずっと謝りたいことがありまして……ええと、親の都合とは言え突然押し掛ける形になり、ごめんなさい」

「ううん、ユイちゃんが謝る事じゃないよー? 私のお母さんも、結構唐突というか……なりふり構わずというか……ユイちゃんも色々大変だったでしょ?」

「そんなことはないです! それで、ええと……お世話になります!」

「こちらこそ、よろしくお願いしますねー」

 うーん……なんとも不思議だな。 

「話変えちゃうけど、ユウくんは学校でどう?』

「ユウジにはすごくお世話に――――」

 あれ? 俺空気? ……別にいいけどさ。
 それにしてもユイのしゃっきりモードってなんなんだろな。 いつものユイとどっちが本当のユイなのだろうかと時々思う。

 そんなことを、考えていると――

「ユウジおはよー!」

 黒髪ポニーテールをピョコピョコ跳ねさせてユキが駆けて来るのだった。




+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。