第三章 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。
第031話 3-2 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。
「ついにアイツが目を覚ました?」
「ああ、僕が実際に見てきたからな」
「そうか……ならば我々も動かなければな」
「野放しにしておいたら……」
「早急に確保しようか」
「じゃあ向かうと、しますか」
* *
「なんだ、この意味深な冒頭は」
今までのノリはぶち壊す謎過ぎる会話。なに? 野放しって? 退治モノ?
「これは未来を見ることができる”予知夢”を使って、わしが声マネをしたものじゃ」
え、桐が今喋ってたのか? ……明るめな声域の高い男子と、冷たく真意の見えない女子の声があったんだが。ああ、これこそ才能の無駄遣いって言うんだろうな。
「お前の能力の一つ……とか言うんじゃないだろうな?」
心を読む力とか、あったけど。まさかな――
「よくわかったな」
「……わかったつもりはなかったな」
また、えらいファンタジーな能力だな。 未来予知って。
「ということで。 今の声マネは、今後の伏線じゃ」
え!?
「フクセェン!? こんな展開が、この先あるってのかよ!」
「ああ、楽しみにしておれ」
……正直、声マネ内容から察するにロクな展開じゃなさそうなんだが。
「そして二期へ繋がっていくのじゃ」
二期って何だ!? このゲームがか? それは二期とは言わんだろっ!
「クソゲヱRとして来春すたーとじゃ☆」
「爆死臭しかしないな、そのタイトルだと」
アマ●ンのDVDランキングが、一万ケタで発売中止になったあのアニメを思い出すな。
「それにしても厄介そうだな……なぁ、回避できないのか?
「諦めるんじゃな。一回は通らぬといけない道じゃ」
渋い言い方すんな。
「なにせ、お主に寄生するからな」
「えっ! 俺は一体どうなるんだ!?」
寄生とか、もう只事じゃないじゃん。下手したら命さえ、落としかねないルートな気もしてきたぞ。
それにしても……なんだろうか。そのシナリオは……出来れば関わりたくないのだが。
まぁ無理だろうな。
「とりあえず……前回の続き辺りに戻るぞ」
前回の続き? ……ああ、生徒会でテレパシーチャットしてたっけか。
「え? じゃあ、ここどこだよ」
生徒会ではないし。他の生徒会役員の姿もないし……一体ここは何処だ?
「それはな、閉鎖空――」
そこで、一旦意識は途絶えた。
「……」
とりあえず辺りを見渡す。うん……生徒会だな。
で、先程の冒頭は伏線らしいな……まぁその伏線が生かされる頃には、俺は忘れてるだろうけど。
「で、ユウジくんその娘は誰?」
と、生徒会長が聞いてくる「妹です」そう答えようとした時だった――
「隠し子らしいわ」
そう、書記のチサさんが――!?
「隠し子ォ!?」
骨髄反射のごとく、即刻反応してくる福島。
「お姉ちゃんそんなこと知らないよ? どういうことユウくん?」
副生徒会長こと姉貴は、またまた笑顔で聞いてくる。
へぇ、俺に隠し子が。まさか、あの時あんなことになるなんて、俺はなんて取り返しの――いるわけねーだろっ! どこにそんな伏線があったんだよ! 少なくとも、今までの人生の中で、その伏線となるべきである出来事は心当たりがないわ!
「チサさん何言ってるんですかっ!」
「あら、ごめんなさい……隠しておくべきだったわね?」
また誤解を生む言い方を!
「そんな事実は存在しませんから!」
「この年でユウジ、オマエ……人として軸がぶれてんな!」
俺の軸がぶれてるんじゃない、この生徒会役員らの軸がぶれてるんだ!?
「ユウくんのはじめてが……」
……なに言っちゃってるんですか、この人。ああ、姉貴です。言ったのは姉貴です。でもこんなのが姉貴と認めたら、色々秩序が崩れると思うので認めません。
「はれんちだよ! それは大人になってからだよ!」
大人になっても、隠し子はいけないと思いますよ?
「ふふ、このリアクションがたまらないわ」
……意図的過ぎて感動した。狙ったんですか。そうですか! 狙ったんですね! いや、そうですよね!
「お前を、さっき信じたあたしが馬鹿だった……」
「いや! さっきのは嘘偽りないから!」
「ねぇ……ユウくん」
おい、なんか話しかけてきたぞ。無視するか? 無視するか? ……一応は聞いておくか?
「なんだ……姉貴?」
「お姉ちゃんは……お姉ちゃんは二番目でもいいからっ! ねぇユウくん! 私と子作」
「ああああああああああっ!」
「急患だっ! この人は、重症なんだ! 医者はいないのかっ! 誰か、姉貴を助けてくれぇぇぇ!」
病院が来て! もう手遅れなぐらいなんです! だからこんなに血迷ったような、弟にかける言葉として不適切なことを言っているんだよ! 先生、誰か来てー!
「もう! ユウくんったらぁ」
「……」
「いくらなんでも、産婦人科に行くのは早すぎるわよ……?」
「精神科に行く必要は十二分にあるけどな!」
なにこの酷い有様。俺はプレイするゲームのジャンルを間違えたようだ。俺のやりたかったのは”ハートフルストーリー”なんだ。
”ハートフルボッコストーリー”じゃねえんだよ!
さっきから俺に集中放火。
チサさんが爆弾を中心に投下し、生徒会長が誤解して、誤情報を流して周囲を混乱させ、更に福島がその誤情報を鵜呑みにし、姉貴が更に爆弾で燃え盛る炎にガソリンを投入した。
現実にそんな事があったらが大惨事だな。しかし、ええ。 生徒会と、俺の印象は大惨事ですね。
どんだけ精神的に抉れば気が済むの!? 一人もう姉貴とは呼べない、重度の変態になっちゃってるし! 流れを変えるんだ……とりあえずは本当のことを話さなければ。
「……コイツは俺の妹の桐です」
「よろしくですっ☆」
猫かぶりに拍車がかかってるな。そして内心、俺の集中砲火を見て笑ってるんだろ! 凄い嬉しそうだもんな!
そしてかつての火種ことチサさんが、口を開く。
「イモウトってのは”義妹”と書く方で合ってるわよね?」
「どこからそんな選択肢持ってきたんですか……」
どうやってもイモウトとは読めませんね。ギャルゲーとかラノベで強引にフリガナ振って、は見たことあるけどよ。
「義理なら……別にやっても、大丈夫なのよね。羨ましいわ」
何を!? という単純な突っ込みで返そうとしたら感づく。これはチサさんが地面いっぱいに仕込んだ地雷であると。
踏んだ(聞いた)瞬間”ハート(ドクロマーク)フルボッコストーリー”が再開されること間違いなし。意味さえ聞かなければ被害を被らずに済むんだ。なぁに簡単なこと――
「ねぇチサ、やっても構わないって……何を?」
ダークホォォォォス!? まさかの生徒会長の追撃。無垢な子供による純粋素朴な疑問だとぉ!? うわぁ、チサさんがニヤリって笑い始めたよ。本当、この時のチサさんは生き生きしてますね!
「それはね……ユウジ。ね?」
アイコンタクトで、同意を求めないでください。意味を聞き出そうとしないでください!
しかし、こんな時に限って。ロリ生徒会長の勘の良さが発動……先程のアイコンタクトで、生徒会長は理解(誤解)したようで、
「シモノ、不潔だよ!」
全くもって俺の意思なんかじゃない!
「っ! 信じなければ……傷つくことも、なかったんだろうな」
諦め始められてる!?
「それなら……姉弟でもいいんだよね?」
もう、アンタ黙ってて。
「……ぅん! わかったよ! 会長こと私の判断で、とりあえず今日は解散にする!」
何に頷いたんだろ。何がわかったんだろ。ああ、誤解だって――
と、いうことで、今日の生徒会活動は終了……ただ駄弁ってただけじゃねえか。
しかも俺フルボッコで、チサさん以外に誤解を植え付けたまま。このノリが続くとなると、先が思いやられるな……
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