第三章 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。
第030話 3-1 ルート分岐は、気付かぬ内に。 超展開、目前に。
キーンコーンカーンコーンと授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
その後一分経たぬ間に担任が教壇へ滑り込み、僅かな伝達事項を伝えた後に起立・礼を終えると颯爽と教室を去った。
何か用事でもあったのだろうか?(※伏線ではありません、多分)
そんな思考を巡らせていると、俺の席の近くにユキはやってきた。
「ユウジ帰ろー」
「おお、帰る――」
帰るか、と言い終わるその前に。
ピーンポーンパーンポーンと会話をブチ切る呼び出しチャイム。
なんだ、ただのアナウンスか。そう他人事で構えていると――
『副生徒会長補佐代行、下之ユウジ。今すぐ生徒会室に集合』
……副生徒会長補佐代行って長え名称だな。そんな自分で言うのも恥ずかしいぐらいの長い名前の役職なんて、居るかよ――
っておい! 副生徒会長h(ry ってのは俺のことかっ!
「えっ! ユウジ生徒会の人だったの!? 初耳だよっ!」
「ああ……そうらしいな」
「え、えと……なんか曖昧だね?」
「いやぁ昨日の放課後、何故か俺、拉致られてな」
軽い暴行を受けた後、気絶させられて生徒会に拉致られた……昨日の事なのに忘れようとしていた俺が居ましたよ。
すげえ文章にしただけで完全に犯罪だな。
「ねぇユウジに何があったの! 昨日の放課後という時間に一体何が起こっていたの!?」
「拉致されて、そのまま副会長補佐の代行に就かされたな……」
「一年なのに副会長の補佐!?」
考えたらそうだよなー……というか生徒会役員総合的に少なすぎだろ。人員削減とかする必要があるのか微妙だし……不景気は生徒会でさえ食らうのかと。
というかなぜ『でも……思ったよりは、やっていけそうだな』などと、血迷ったことを抜かしたのだろうあの頃の俺は。
タイムトラベル出来るならば、あの頃の俺と事の発端の姉貴をフルボッコにしてやりたい気分だけど、タイムトラベル出来ないので後で姉貴を殴っておこう。
畜生め……これがシナリオの矯正ってやつか。
「……よし、行ってくる」
この強行を抗議する為にもな!
「ごめんなユキ……悪いが、先に帰っていてくれ」
これはユキフラグ折れたな……ああ(泣)
「うん……ユウジ。もしかしてこれから忙しくなる?」
「どうだろうな……まぁ今日行ったら分かるさ」
「そっか、わかった……じゃあねユウジ、また明日ね」
ユキの言葉から、そして表情から分かる”寂しい”という感情に俺は胸を締め付けられながら、無言でユキの背中を見つめ続けた。
…………。
ちょっと生徒会室に行ってくる。
え? 手に持ってる鋭いものはなんだって?
ただの鉈だよ、鉈。
なぁにちょっくら役員のいる中で素振りの練習をしてくるだけさ。心配はしなくていいぞ_
まぁ、死なせはしない。
ええ……なんか主人公が病み始めたんですけど、大丈夫なんですか!?
え、私ですか? ユウジじゃないですよ?
誰だよって? ……それは後ほどにでもね。
よう、みんな。俺だ。
今から生徒会室に乗り込んで、鉈でちょっと素振りをする予定なのだが……さてと。
「(どうやって生徒会室に入ろうか)」
なんというか普通に入ったら負けな気がしてきた。昨日の鬱憤を晴らす為にも、少々練った入り方をしなければ。
1、ドアを蹴り飛ばしながら入るか。
2、何か叫びながら入るか。
3、普通にドアを開けて入るか。
4、扉かと思ったか? 残念ながらそれはフェイクだ!
の中ならば……よし――無難に「2」だな。
「さてと」
息を吸い込み、目を見開いて――
「どっせーいっ!」
生徒会の扉を開いた。
「…………」
扉を開けるとそこには――誰も居なかった。
「あらユウ、来てたの?」
後ろから書記こと紅さんの声が聞こえた……誰も居ないなんて。チクショウ……チクショウ……うわあああああああああああああ!
「ねぇユウ、なんで泣いてるの?」
「ちょっと……虚しくなっただけです」
一人でただ熱くなっただけという……傍からみれば寒いノリ。ああ、なんと果てしなく虚しいものだろう。
「……わかったわ、ごめんなさい。今は心を読まないから」
「なんですか! その哀れみが、たっぷりこもった言葉は!? 今ってことは、またいつか読むつもりがあるんですね!」
「もちろんよ」
なんと見事にも即答だった。
「それで……来たのは紅さんだけですか?」
「チサでいいわよ」
「じゃあチサさん」
「それで、なに?」
「さっき俺が聞いたこと無視しましたね!?」
「ごめんなさい……私にとって無利益なことは耳に入りにくいの」
「…………」
はいそーですね。無利益ですもんねー。
「拗ねちゃだめよ」
あ、心読まれてる。いくら即答したからってここまで早く読むことないじゃないですかあああああああああああああ!
「私とユウだけ。アスちゃんもコナっちゃんもミナもまだ来てないわ」
というか聞いてたんですね。そういえば――
「……というか、いつの間にか俺の呼び方決まってたんですね」
ユウ、って呼ばれてるのな。
「他のがいいの?」
「候補があるんですか?」
「ユウを和訳して――」
「ちょっと待ってください、ユウジです。俺の名前はユウジです!」
「――あなたクンなんてどうかしら!」
「なんか……それは、嫌です」
「あなたはこれから、あなたクン」
「あなたが被ってますよ!」
ちなみにチサさんの中では”アスちゃん”は飛鳥の(あす か)から。”コナっちゃん”は戸夏の(こなつ)。”ミナ”は姉貴の名前そのまま、となっているらしい。
「噂をしてると来たみたいよ」
「どっせーいっ!」
福島が勢いよく扉を開き、大声で叫んだ……というか、俺のネタ。俺は成功すらしなかったのに――
「おはようございます、チサさん! ってユウジ、何泣いてんだ?」
「いや古傷を抉られたというか……成功してるし」
「は? 意味が分からないぞ?」
わからなくていいんです。自分の持ちギャグがパクられて成功している芸人を見ているようなのが俺の心境ですよ。
「要訳すると”ドーント・タッチ・ミー”みたいよ」
え。
「そういう風に要約するのは、エキサ○ト翻訳だけで間に合ってます!」
あの日本語が崩壊したような訳し方はあんなフリーソフトは結構だ!
「”私に触れるな”か、いい度胸だな……ユウジ」
「ちょ! お前も真に受けんな!」
「そろそろ手を垂直にして誰かの首を殴りたかったところだ」
「えらくピンポイントですね!?」
「覚悟しろ、ユウジ」
「そんな覚悟出来ないから!」
「どっせーいっ!」
「ぐぼぉっ!?」
意識が落ちていく。ああ……この表現、何度目だろうか。
「今日は――やるよ!」
チビッ子生徒会長の声が、俺の耳が捉えた最後の音だった。
「――――」
「あれ? シモノは、どうかしたの?」
……ゆっくりと意識が戻ってきた。会長の声が頭に響く。
「死んでるみたい、土葬か埋葬それとも火葬か……迷うわ」
まてまてまて! 俺死んでないから! というか葬式吹っ飛ばしていきなり葬るの!?
体が動かないだけ……って本当に動けねぇ! ……まあいっか。面倒臭いし、このの会話は流しておいて俺は寝ていることとしよう。
「私は土葬がいいな、土に還ってエコロジー!」
還り始めるのには、一体どのぐらいかかるんでしょうね。
「アスちゃんの意見もいいけど……私個人的には、コンクリート詰めにして東京湾に沈するのがいいと思うのだけど」
どこのヤクザだ! ってか発想が一々恐ろしい!
「あたしは、親指を上に突き出しながら焼却炉に沈んでいくのがいいと思うぞ!」
某映画を侮辱しているとしか思えない。そう脳内でツッコミをしている頃。
「ごめんみんな遅くなったー ってあれ? ユウくんなんで寝てるの?」
姉貴が来たのか。寝てるんじゃないです。また下手したら骨髄損傷する攻撃を同級生の女子から受けた訳ですよ。
「違うわ美奈、これは死んでいるの……たった今、私が皇居のお堀から引きずり出して来た所なのよ」
俺、水死体の設定かよ。てかなんでそんな場所で溺れてたんだよ俺。本当だったら色々国際問題になりそうな場所だな……
みんな遊び感覚でやってそうだし、こんな超設定信じるわけないよな、姉貴もバカじゃない――
「ユウくんが死ん……今すぐ人工呼吸をしなきゃ!」
残念ながら超設定を信じる。どうしようもないバカだったようです。ああもう! というか死んでたら、人口呼吸全く効果ないから!
……なんとか、この状況を打破せねば。姉が人口呼吸を始める前に俺は起きなければ――
「俺死んでないからっ!」
起き上がり必死の抗議をした。その瞬間だった。
「死になさい、ザ●」
チサの攻撃。●キ、だれかひとり、いきたえた。
「がっ!?」
ザ●キじゃなくてザ●かよ! バト●ンの中だと上級な魔法を使うのも憚られますか……そうですか。というか、その前に技の効力が若干違うぞ!?
「わかった」
薄れゆく意識の中でも突っ込みざるを得なかった。で姉貴は、何がわかったのだろう。多分分かって欲しくないことが分かったに違いない。
「……お姉ちゃんの人工呼吸が”べほ〇み”になるんだね!」
言えてない言えてない。何そのノリの良さ、そして発想が突飛過ぎて俺には到底理解出来ないよ!
「ジンコウコキュウチャーンスだね!」
何言っちゃてるんですか。なぜ、生徒会長も乗ってきたし!
「美奈さんが誇る最強の肺活量で、ユウジの肺を破裂させてやってください!」
なぁなぁなぁ福島さん。こんなの読者は求めてないんだよ。グロなんか求めちゃいないんだよ。
俺がこんなの全く求めちゃいないんだよ!
「……まかせて」
任されちゃった! マズイ。これはさりげに命の危機に瀕し始めてるぞ。
「お姉ちゃんが助けてあげるから」
肺活量で例え破裂しなくても、弟を社会的に死においやるつもりですか!
「行くよ!」
来るな! っていうか体動かねぇ、チサさん……何かやりやがったな!
「着陸まで残り……9…8…」
そんな、実況要りません。
「イッキ、イッキ、イッキ」
もはや宴会のノリになってないかい!? そんな空気をぶち壊す、刺客がやってきた。
「おにいちゃーん☆」
「(なんかきたー!?)」
明らかに少女な声、しかしどこか取り繕ったその高い声は――紛れもなく桐。キャラセレクトが予想外すぎる!
「おにいちゃん探したよ?」
あーもう。面倒な事態になりそうな臭いしかしないぜ。しばらく出てなかったからって、ここで出ることないだろ!
「おにいちゃんおきてー」
――――っ!? 体の縛りが無くなっていく。なんだ、これ……今なら言える、起き上がれる!
「お前ら良い加減にしろっ!」
「「!?」」
なんとか体を起こせたぜ――
「あら……どうして、ユウ。動けるのかしら? へぇ――もしかして、あなたが?」
誰もいないとこで喋ってるぞチサさん。大丈夫か……いや、そうか誰かの心を読んでるのか。あなたが、ってことは――
「すごいですね、おねーさん」
こいつかー。
「私の魔法を解くなんてね。大したものだわ」
魔法だったんだ! ここに来てまさかのジャンル内にあったファンタジー!?
「まほう? 私は、おにいちゃんの背中に触っだけだよお?」
それだよ。その魔法(仮)を解くとしたら桐が俺の背中に触ったからだ。というか初めて桐の能力が役に立ってるな。
「(はじめてではないわっ!)」
って、俺の思考にいつもの桐が乱入してきた。
「(ふふ、面白い妹さんを持ってるのね)」
なんでチサさんも乱入してくるんですか! チャット広場ですか、ここは!
「(あなたみたいな娘。是非、我が家に5人は欲しいわ)」
その「一家に何台あっても困らないの」的ってどうです!?
「(値段の交渉次第じゃな)」
出来るのかよ、自分を五人複製! よく考えたら人身売買だ!
「(ではお金を用意しておくわ……ユウをつかって)」
俺に何させる気ですか!?
「(ちょっと……ね?)」
黙った、発言的に危ないこと言っても大丈夫なチサさんが黙った。そして同意を求めてきた。
いやいや知りませんから。
というかチサさんの押し黙る、お金の稼ぎ方って一体何だ!?
「(しかしコイツは著作権で保護されておるからの、そう安くは出来ないのう)」
なんでだよ。誰か権利者が居るみたいな言い草するなよ。というか売るつもりはあるんだな! この鬼め!
「(使用料を払えばいいのね? いくらかしら)」
「(プライスレス)」
お金で買えない価値がある以前の問題だよ。
「(わかったわ、お金を貯めておくわね……あなたくんを使って)」
呼び方変えてるだけー、ってさっきのまだ続いてるのかよっ!
ああ、オチがねぇな! とりあえずは強制終了だ!
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