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7月20日修正
第ニ章 俺達の戦いはこれから、だと思ったら既に開始。
第026話 2-15 俺達の戦いはこれから、だと思ったら既に開始。
 生徒会後、俺は昨日と同じように姉貴と下校した。隣を歩く姉貴の姿は笑顔でいつもよりも一段と嬉しそうにも見える。
 そうして帰宅。玄関には桐の姿はなく、自分の部屋にでも居るであろうと考え何気なく自分の部屋を目指した。

 そして愛すべきかどうかはわからない、マイハウスのマイルームにて。

「来たか」

 俺が扉を開けたのを見計らい、パソコン机に付けられているオフィスで使っていそうな回転するイスに机に対面で座っていた。
 すると、そこからぐるりと一八〇度回転して俺のところに向きなおったところでグゥと拳を前に突き出して片目瞑ってキメポーズをしてくる桐。

 当然、俺は何のリアクションもしない。

「(キリッ)」

 いや、かっこつけてるけどさ。体の小ささから足浮いてる、地に足付いてないぞ。

「イベントはどうじゃった?」
「いや、お前既に知ってるだろ」
「こういうことは本人から聞くのが一番おも……その状況描写が分かりやすい」
「”面白い”って言おうとしただろ。ソウナンダロソウナンダロ?」
「”おもち”って言うつもりじゃった」
「脈略一切ねぇっ!」

 すると桐はいきなり妖艶――幼艶に笑った。てかいきなりどうした。

「ふふ……かかったな」
「いや、なにが?」
「今までは、ただの前置きに過ぎない」
「何の前置きなのかさっぱりわからないな」
「ツッコミじゃ」
「ツッコミ? ……が、どうした?」

 コイツは一体、何を言っているんだ? ――というような行動は今までにも数多にあったのでそれほど驚きはしないが、なんだろう遠まわしの言い方がイラっとくる。

「お主にとって以前と何か違った様子は無いか?」
「ツッコミでか……?」

 ……俺のツッコミはいつもキレが良くて、相手のボケを抉るようにしていたことは確かだが。

「少し前とお主自身のテンションが違う気がしないのか?」
「そういや――」

 基本冷静に切り返している俺が、生徒会では結構熱くなってしまっていた気がする。
 ありゃなんというか全員が俺視点でボケに回っていて、それでいて俺が不利になる展開へと向かわせようとされていたので仕方なく――

「これは”シナリオの矯正”が、働いている証拠じゃ」
「シナリオの矯正? いやいやそんな大それたものなんかじゃないだろう」

 意味はわからんけども。

「この元のゲーム内でも今日お主の体験した生徒会ルートは特殊でな」

 まぁ一目というより一聞きで特殊なのはわかるけども……どちらかといえば掛け合いが重視されたシナリオかと。

「もともと別のソフトで企画していたシナリオを、このゲームのルートに整合性考えずぶちこんでいるのじゃ」 
「は? 別のゲーム」
「そうじゃ。だから主人公のキャラが若干異なっておる、テンションの上昇もそれが原因じゃろ」

 ……なるほど、そんな理由だったのか。生徒会だけでゲームを作るとすると若干内容が薄くなるような気もする。または資金の問題でそうせざるを得なかったとかスタッフのやる気とかでその方針なのだろうか?

「そうしてその生徒会シナリオの性格が、ユウジのキャラを少しじゃが変えてしまった。それが、シナリオから来る矯正じゃ」

 そうか。
 ゲームの設定が現実に反映される以上、主人公である俺にそのシナリオの主人公の性格が反映された――という解釈でよさそうだ。
 それにしても性格が変わったという自覚があまりないな。何も知らず気付かずに水面下で変わっていたのだとしたら……それはもう恐怖だな。 

「……それで、お前が何でそんな話を俺に?」
「スタッフに言われたからな、説明しとかないと読者がわからないと」
「また出たよスタッフ……って読者って何の話だ?」
「なんと今までの会話や、展開はすでにノベル化しておるのじゃ!」
「!!」
「WEB小説でな。二つのサイトで連載してアクセス数をガッポガッポ稼いでるそうじゃ」
「止めろ! 内輪ネタを出したら、その媒体はお終いだ!」
「まさかの打ち切りか?」
「……いや、まぁ。ノベル版が終了しようと、俺らは関係ないけども」
「関係はあるぞ!」
「どこが?」
「スタッフのモチベーションが――」
「いや、だからこういう内輪ネタは寒いだけだって!」
「内輪ネタほど、見ていて痛々しいものはないからのう」
「……本当にこれ、終わるんじゃないか?」
「まだ、妹ルートにも入っていないのにのう……」
「同意を求めるな! 俺に入るつもりはないからな!」
「むむぅ! わしは諦めんからな、貴様はわしが貰う!」
「それなら、俺は逃げる!」
「それを、捕まえ、縄で縛る!」
「……甘いな、桐。覚醒した俺にとってこんな縄などただの貧弱な糸にすぎ――」

 以上の下らない争いが十数分に渡って繰り広げられたが、本当に下らないので省略。
 まぁ、なんだ。
 生徒会が別ゲームのシナリオを挿入しただけ、と考えるとまだまだ別のルートが沢山ある訳で。
 少なからず……いや、多いか。姫城シナリオの時点で色々危なげだっただけに、膨大な不安が俺の中を渦巻いていくのであった。

 そして、その不安は残念ながら見事に的中し、かつ、別の面でも問題が浮上。 
 そうしてその出来事達は、俺の体力を大きく削っていくのだが……まだ、それは先の話で。



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