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7月9日修正
第ニ章 俺達の戦いはこれから、だと思ったら既に開始。
第016話 2-5 俺達の戦いはこれから、だと思ったら既に開始。
 俺の部屋にて。

 姫城事件後は何も変わらないいつも通りのいたって普通の授業。視線はもちろんはといえば消えていた。
 諦めてくれたからだろうか? ……今思えば惜しいことをしたと思う。ゲームヒロインだからもちろんの美少女で学校の一二位を争うアイドル的存在なのだから。
 もしかするとこれはゲームで言うフラグ折りなのか、もしかするとゲームオーバーという扱いなのかもしれない。
 その後昼休みを迎え放課後になるものの姫城とは一切話すことも顔を合わせることもなく、彼女は直ぐに帰っていった。
 
 そうして家に着き、ホッと胸を撫で下ろす瞬間が来るはずだったが……まぁお決まりだ。 俺の部屋にコイツだよ。
 わかるよな? そう、コイツ。
 コイツは、不法侵入に罪悪感を一切感じないような堂々たる面持ちで、開口一番意味不明な事を呟いた。


「シリアスパートはウケが悪いな」


「は?」

 家に着いた途端にコレだよ。

「よくあるものじゃ。ギャグ調で進めていたのはいいものの物語の締めに入る為にシリアスを挿入する。未だ制作は勘違いしている、視聴者はそんなシリアス求めていないとなっ」

 ……その気持ちは分からないでもないが、それを言ったら深夜一クールアニメの大半を敵に回すから覚えておいた方がいい。

「というか、この話まだ序盤さえ抜け出せていないと思うんだが……」

 もちろんゲームオーバーを迎えていなければの話だが。

「そりゃ”クソゲエ”じゃからな!」

 だから嘘でも、お前がゆーなよ。登場人物からスタッフがそんな感想述べられたらどうする?
 ショックのあまりに五年間原作を出さなく――ここのスタッフなら喜びそうだな。考えた俺が馬鹿でしたよ、ええ。
 ……桐という登場人物の発言を差し引いても、確かに俗に言われるクソゲー的な印象が垣間見られるのは確かだ。

 まずはシナリオがおかしい事だな。 
 ゲーム開始数分で主人公に看取られながらヒロイン死亡バッドエンド。
 タチが悪いぞスタッフ。。いや、ヒロインが死ぬって展開は王道だけどさ……開始早々死んだら感情移入どころじゃないじゃんか! というか胸糞悪いわ!

 更には、好きすぎて殺しにかかる。それを拒否すれば自殺しようとするヒロイン……いや、ヤンデレとか流行してるとはいえさぁ。人の死を軽く見過ぎだろうよ。
 ご都合主義のゲームだから出来るけど、ダ○ーポの桜の奇跡とかH○Oの精霊会議とかで人が生き返ったりなーんてこと現実にはないんだからな?

 人が死んだら感動するなんておかしい話だぜ。
 何故ならそういう死ぬ役目のキャラは”シナリオ”に殺されているんだからな。
 まぁそれは大分譲歩して、割引いたとして。制作にとってはあくまで物語での演出の一材料で、例えその展開を使ったとしても終盤での使用が効果的で、その演出意図も分かる。
 序盤に使う当たりただ単にこの作品スタッフのストーリー構成能力が無いのか、それともスタッフがそういうシュミなのか(ヒロイン死亡バッドエンドを指す)
 後者だったら本当にタチが悪い、マジキ●だろ。

 それにイベント発生前に他のヒロインを出さなかったのは軽い失敗だと思うぞ。姫城さんのインパクトが大きすぎて他のキャラが薄れて―


「長いわっ!」


「!?」
「いつまでも一般人が分からないネタ引っ張りおって」

 心読まれたっ!?

「……まぁいいじゃろ、事実には違いないからの」

 いいんだ、心読むほどなのに。

「まず貴様。わしに謝ることは?」
「え?」

 そんなことあったか? 日本のスーパーコンピュータこと……げふんげふん……日本の七世代前ぐらいのOSこと俺の頭脳内を、サーチだ!
 ……一分ほど思考を巡らせた後。キッパリと言ってやった。


「ないな」


「”スターライトブ●イカー”」
「うおっ!?」

 なにか撃った!? 桐の手から何か光線みたいの飛び出たぞ今っ!

「あっぶねーなっ!」
「少し頭冷やそうか(CV:田村ゆかり)」
「徹底しなくていいぞ」
「あれほど他の女に手を出すなといったじゃろうに! それも幼馴染と……ほ、抱擁などっ!」

 まあ確かにね、あのときは結構むふふんでしたけども。あくまで不可抗力であって、そのせいで姫城さんがあんなことまで発展した起爆剤ではあるんだろうけども。
 いや……まてよ? こいつはそういえば少し前に俺に警告してきたな。

「……いや前『第三のヒロインのイベントが発生する』とか言ってただろ?」
「それの何処に関係がある!」
「そのイベントの発生にはどこかしら伏線があったはずだ」
「っ! そうじゃ……な」

 イベントの伏線もとい姫城の行動の起爆剤となった出来事――

「その幼馴染との抱擁がその伏線だ」
「……が?」
「つまり桐はイベント発生の予告をした、イコールその伏線となるヒロインのイベントの認識があったはずだ」

 桐は攻略情報を知っている。そう考えれば遠まわしに桐がヒロインの抱擁を進めたということにもなる……いやそれは言い過ぎか。
 まるでその事実を初めて知って驚き俺に謝罪を求める、ということは無いはずだ。それにイベントがその第三のヒロインとの遭遇に関して不可避の事象ならば。

「――っち、バレたか」

 やっぱりな。

「このまま脅し通して貴様を妹ルートに入れようとしたのに!」

 あ、あぶねぇ……っていうか相変わらずの黒さだな、コイツは。

「し、しかしヒロインの抱擁は確かにイベント発生の途中にあったのは認識しておった。貴様も役得だったじゃろうに」

「……ま、まぁな」

 うん、なんというかすっげぇドキドキした。女の子ってこんなにも柔らかくていい匂いなんだなぁとか、色々な感想が――

「フフフ、引っかかったな貴様! 貴様の返答次第で行動する、しないを決めるはずじゃった……しかし決まってしまったようじゃな」
「はて、その行動とは?」
「貴様を襲ってヒロインの出方を見る」

 某アサシンが言ってそうな台詞だこと。

「襲うってのは」

 次に出る言葉を今までの桐の挙動を考えておおよそ予測がついた。


「もちろん――性的な意味じゃ」


「ダッ(ダッシュ)」
 
 俺はその言葉を聞き終わるや否や無心に走り出していた。

「ガッ(キャッチ)」

 しかし律儀に聞いていたのが不幸と出た。瞬時に跳躍を繰り出した桐のほっそりとして小さな体を全て使うようにして俺の脚に絡みついた。
 重点を不意に掴まれたことで俺はバランスを崩し、まさに自分の部屋の扉の直前で大きく前のめりに倒れて顔面を軽くぶつけた。とっさに右手が出ていなかったら顔のどこかの折れていたかもしれない――ほどの勢いがついていたので手がビリビリと痺れている。
 
「あがっ!?」
「今夜は逃がさぬぞ、貴様……あんなことやこんなことをなぁ」※桐です。
「足捕まえんなっ、顔打っただろ!」
「さぁ一線を越えようじゃないか、はぁはぁ」※これでも妹設定です。
「なんかキモイ! 色々な理由をこめて断るっ」

 そういって足を掴む手を振り払って、俺はダッシュを決め込んだ。

「ま、まて へぶっ」

 振り払われた衝撃で、顔を地面にぶつけてしまった様子。後ろから聞こえるごつんという鈍い音……今なら言えるそうだぜ。


「床グッジョブッ!」


 床いい仕事したなあ。

「こら、待――」

 後ろを全く振り返らないまま、俺は二階の部屋から階段を雪崩のように駆け下りて玄関で靴を履き替え。そうして、外の世界へ――


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