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ぼそっとエッセイ
作:春晴秋明



かまいたち


いつだったか、それほど前じゃないし、それほど最近じゃない時の話し。


どこでだったかも忘れちゃったんだけど、ふと、私の手を見て、


「どうしたんすか? その傷?」


多分、結構親しくしているどっかの店員さんに言われた。


「どうした? 何でしょ?」

その人の目線を追い、ふと手を見ると、見事に横にピーっと傷がある。手の甲と腕が始まるところ辺り。(この説明わかりにくっ!)

裏返すと、手首辺り。


「うわっ!なんじゃこりゃ!」

そうそう、自分じゃ気付いてなかったんだな、これがまた。

結構な傷だし、普通気付くだろうって傷なんだけど、言われるまで気付いていなかったの。


「知らない。何これ?」

自分のことなのに、店員さんに聞いた。

「いや、そう言われても・・・」

困っている。 苦笑いを浮かべながら。

「あ!違いますよ。 自傷行為とかじゃないですからね。知らないんですから、ホントに。」

何故か、言い訳していた。 焦りながら。 焦る必要もないのだけど。

「そりゃ・・・もし、自分で、ならその裏側でしょ?」

さすがに呆れ気味に言う店員さん。

「そうですよね。 しかし、ナンだろう。私、しょっちゅう傷だらけなんですよ。青アザとか、火傷とか。」

「はぁ、大変ですね。」

「えぇ。でも、気付いてないですからね。 それほど痛くなかったってことですよ。」



私の言い分に少々困ったのか、

「あれですかね、その傷は。」

「何?何?ナンだと思います?」

「かまいたち。」


か、かまいたち・・・

久しぶりに聞いた。 でも、言われてみるとそんな気もしてきたから、


「そうだ!きっと、かまいたちですよ。あ〜、すっきりした。ね。」


また、苦笑いしてたよ。

こいつは・・・・みたいな顔で。



だれか、おっちょこちょいが治る薬を知らないかな。












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